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靴ブランド、リーガルが1972年に世に送り出したローファーの型番。ブランドの名定番としてファンから愛されている。
革靴に関するワードをまとめた用語集です。記事中に登場するショップやブランド情報をはじめ、革靴を楽しむのに欠かせない素材やディテール、デザインなどの用語を詳しく解説します。気になる用語から、それに関連する記事も選べます。
靴ブランド、リーガルが1972年に世に送り出したローファーの型番。ブランドの名定番としてファンから愛されている。
オーナー兼靴職人である八巻(やまき)裕介氏が、2015年1月に同じく整形靴の修行を積んだ奥様の貴子さんとAndanteを設立。医学的根拠に基づいた機能性と、美しいフォルムを兼ね備えた靴を実現。 -- 八巻裕介氏の経歴 -- 高校卒業後、兵庫県にある日本唯一の整形靴技術者養成校にて、ドイツの国家資格であるオーソペディシューマッハマイスターの称号を持つ、エドワルド・ヘルプスト氏に師事。 養成学校卒業後、本場ドイツで整形靴を学ばれたバイタルフス高知の関 耕二氏に修行入り。 京都の義肢装具会社に就職し、大学病院、京都市内の病院で、医師やフットケア特定看護師と連携して、病気による足の様々なトラブルを抱えた方のオーダー靴や足底板の製作を行う。
靴職人の長谷川さんが大阪・梅田に開いた工房。 オーダーメイドの靴作りから、革靴の修理まで、技術に裏付けされた丁寧な仕上がりが評判である。 ===靴職人・長谷川さんの経歴=== 2002年 渡伊 シルバノ・ラッタンジで靴作りをスタートし、ラストメイキング、パターンメイキング、底付けを含む、すべての工程を学ぶ シルバノ・ラッタンジ在籍中からミラノの靴職人の元を訪ね歩く。 コモリ、メッシーナ、バリーニ(スティバレリアサボイア)等に通ううち、バリーニとメッシーナのアウトワーカーだったアルドやバッリチェリと出会い、2人の元を頻繁に訪ずれて、その腕を磨いた 2006年 帰国 中国のメーカーに就職 (2006〜2008年在籍。日本社がギルドから50メートル程の場所に有り、会社から出向しギルドで学ぶ) 2007年 山口千尋氏主宰のギルドで、イギリス式ハンドソーンウェルテッドを学び、附属の靴専門学校で約 1 年間講師を務める 2010年 Bontaを創業
井の頭線 新代田駅から徒歩5分、下北沢駅から徒歩10分のところにあるBRASS。ブーツのリペアやカスタムをはじめ、オリジナルブランド「CLINCH」の製作・販売もしている。 革靴が「一生もの」として付き合っていけるよう、リペアに関してはオールソール交換からアッパー縫いまでの全工程に対応。 ヴィンテージシューズなどでも柔軟に対応してくれる為、直すか迷っている方は一度、足を運んでみてはどうだろうか。 BRASSによる革靴のお手入れ記事は<a href="https://muuseo.com/square/articles/158">こちらの記事をチェック</a>
東京の青山にある靴磨き専門店。靴好き、靴磨き好きから絶大な支持を受けており、まるで隠れ家風のBarに来たようなオシャレで落ち着いた店内。 事前に予約をすれば、カウンターでスタッフがバーのマスターさながら滑らかな手さばきでその場で靴を磨いてくれる。
フローリウォネ(floriwonne)は、国内カラリストの第一人者である藤澤宣彰氏の革靴ブランド。染め上げるだけでなく、藤澤さんが素材の選別から靴型の作成、デザイン等まで手がけている。日本における革靴の染色を牽引し、2019年「靴磨き選手権大会」のカラリスト部門では、コメンテーターを務めた。
ヘラクレス(HERCULES)はシアーズ(Sears)のプライベートブランドとして、1908年から1965年頃まで存在していたワークブランド。価格が安く高い品質、更にその展開の幅広さにより非常に多くの流通量を誇っていた。良品であれば非常に高額で取引されるなど、古着愛好家から多大な支持を得ている。 シアーズ(Sears)は、1893年にアメリカ・イリノイ州に本部を設立し、アメリカ・カナダ・メキシコに多くの店舗がある百貨店。高級店のイメージがある百貨店とは異なり、少し安価な大型スーパーといった印象で、ほとんどの店舗が郊外にある。
1999年ワールドフットウェアギャラリー・神宮前本店の中に、ビスポークシューズのアトリエ「Works on the knees」を設立。2008年に移転し、名前を「HIRO YANAGIMACHI Workshop」に変更した。 イギリスの靴学校の名門校、英国コードウェイナーズカレッジ(Cordwainers College)を主席で卒業後、ジョンロブ・ロンドン(John Lobb London)で技術や文化を学び、自らの工房を構えた。「無垢のデザイン」で、靴全体から細部に至るまで作り手の思いや考えが詰まっている。ハンドソーンウェルテッド製法を基本としており、アッパーにはヨーロッパのカーフを中心に様々な革を使用している。
J.PRESS(Jプレス)は、1902年ジャコビー・プレス(Jacobi Press)によってアメリカ・ニューヘイブンで、アイビーリーグとして有名なイエール大学近隣に設立されたアメリカのファッションブランド。 ファッションや生活を「変化するもの」という概念ではなく、「完成させるもの」という概念でとらえ、伝統と歴史をふまえつつ、時代に応じた感性を加えながら着る人にとって快適な服となるように、上質で品格のあるライフスタイルを提案している。 1916年にニューヨークのブロードウェイ、1931年にはケンブリッジのハーバード大学内にそれぞれ支店をオープンしており、長年に渡り有名私立大学の教職員や学生、そして卒業生のためのカスタムテーラーであった。 現在は、株式会社オンワードホールディングスの子会社になっている。
Jaguar E-typeは、イギリスの高級車メーカーであるジャガー(Jaguar Cars)のスポーツカーラインナップとして開発されたタイプ。1961年にジュネーブモーターショーで登場し、1975年まで生産された。 15年間の生産で大きなモデルチェンジを3度行っており、1961年から1968年までがシリーズ1、1968年から1971年までがシリーズ2、1971年から1975年までがシリーズ3と区分けされている。当時は流麗なデザインと卓越した性能の人気が高く、いくつかの映画作品にも登場している。
LEATHER PORT(レザーポート)は、千葉県印西市に店舗を構えるレザーショップ。 確かな腕を持つレザー職人たちに直接働きかけ、自身がPort(港)となることで、世界中に眠る心くすぐるレザー製品と、顧客を結ぶ役割を果たしている。 代表ブランドには「名も無きビジネスシューズ」を始めとした、中国各地の名も無き職人が生み出すマスターピースを数多く取り扱う。当初は中国製であることに対する不安の声も多々あったが、良いものは良いと素直に評価され、徐々に口コミで広がっていった。
ノーサンプトンは、イングランド中東部の都市。 「紳士靴の聖地」と呼ばれてお理、世界的に有名な紳士靴メーカーである、ジョン・ロブやエドワード・グリーン、クロケット・ジョーンズ、チャーチ、トリッカーズといった英国を代表する高級靴の製造工場がある。
心斎橋駅から徒歩6分ほどの場所にある靴修理屋「OLD HAT」。お店にある修理のパーツを実際に手で触ってもらい、お客様自身がイメージを作りやすいように心がけている。また、OLD HATではお客様が希望する靴を対話形式で一緒に作ることが出来る。”大事な靴を、長く使っていけるようにお手伝いさせて頂きたい””そんな思いを語る店長さん。関西で修理して欲しい大切な靴がある方は高井さんに相談してみてはいかがでしょうか。
RENDO(レンド)とは、東京・浅草に工房と店舗を構える株式会社スタジオヨシミの靴ブランド。2013年に設立。ブランド名は「連動」という意味を考えつけられた。 グッドイヤー・ウェルテッド製法のドレスシューズを中心に展開。日本人の足の特微を踏まえ、履き心地を一番に考慮し、足形の採寸データをもとに何度も検証を繰り返しながら削り上げられた靴型がベースになっている。 浅草の熟練した職人技を持つ工場と連携し、円滑なものづくりができるよう企画の段階から何度も職人と話し合いを重ね、試作と検証を繰り返すことで、よりイメージに近く高いクオリティーを持つ靴を制作している。 熟練した職人の技術で作られた靴は高品質でありながらも、自社店舗及びオンライン販売に限定することにより、価格が押さえられている。紳士靴のエントリーモデルとしても、ワードローブの一足として幅広く長く使用することが可能。
中古革靴だけでなく、ヴィンテージ服の取り扱いも豊富なため、全身コーディネートを楽しむことが出来るお店。1920年代~1970年代頃までのLEVI’S、WRAMGLER、 LEE 、CHAMPION などのビンテージアイテムが多く、その中でも特に希少なアイテムを取り揃えている。気になる商品には、気軽に問い合わせも出来るので納得の行くお買い物ができる。 ★SAFARI3号店(高円寺)では現行品の中古紳士革靴を豊富に揃えている。こちらも要チェック!
シアーズ(Sears)は、1893年にアメリカ・イリノイ州に本部を設立し、アメリカ・カナダ・メキシコに多くの店舗がある百貨店。高級店のイメージがある百貨店とは異なり、少し安価な大型スーパーといった印象で、ほとんどの店舗が郊外にある。 2002年には老舗のチェーンストアであるKマートと事業子会社となり、ウォルマート(Walmart)やホームデポ(The Home Depot)に次ぐ、全米第3位の小売業者となった。 しかし、アマゾン(Amazon)などネット通販の台頭による業績悪化により、2018年には破産申請を行った。
10年以上の靴職人としてキャリアのある後藤さんが始めた「STANDARD」。店名には、街に馴染んだ定番の靴修理のお店にしたいという願いが込められている。お店で一番大切にしていることは、”必ず値段以上の事をして、靴を返す”。お客様に修理した靴を返す時に、”満足”をしてもらうためにお客様が気付いてくれなくても、丁寧な仕事をやり続ける。細やかな心配りと職人技にあなたも”満足”すること間違いなしです。
尾山台にある「Shoes Box」。店員の山梨さんは靴修理職人として合計で10年以上のキャリアを持ち、難しい修理でも時間をかけて丁寧にやりきることを大切にしている。難易度の高い修理を依頼されることも多く、その技術は確かである。しかし、本音は”お客様自身で日々のケアをするのが一番経済的で良い”のだそう。靴とお客様の事お客様からリクエストがあれば日々のケア方法も店頭でレクチャーも行っている。
新中古品、または新品に近い状態の革靴を多く取り揃える中古革靴専門店。直売店はなく通販専門だが、サイトの見やすさは格別。生産国やブランドで分かれているため、気になるアイテムの検索もスムーズ。迅速で丁寧な対応が評判で、電話対応も可能。初めてでも安心して購入すことができる。また、販売だけでなく買取も行っており、高級靴専門のため査定額も高い。
中古革靴通販専門店。アイテムの写真点数が多く、画質もクリア。サイト上で実際の靴の状態をしっかりとチェックできる。アメリカヴィンテージシューズをメインに、FLORSHEIM、Allen Edmonds、ALDENなどのブランドや既に存在していない40~90年代のメーカーのデッドストックも多数揃える。修繕のセット価格もあり、自分好みのリペアも出来るのが魅力。日本ではまだ流通していないリペアパーツも取り揃えていて、カスタムが出来る数少ないお店の一つ。
お客様のために全力、事実はしっかりと伝える「The Garage 中目黒」。「靴の修理結果に対して過度の期待をもたせない。最悪なケースを事前に伝えておく」と、しっかりとしたスタンスがあるからこそお客さんからの信頼も厚い。修理用の機材が豊富に揃っており、パーツも一部イギリスから取り寄せるなど修理に対するこだわりに一切抜かりはない。店内は白の壁一面で天井が高いので開放感があり、女性の方も安心できる空間で客様を迎え入れる。
Vick tailorはフルオーダーが専門のテーラー。店主である近藤卓也氏は顧客の採寸、型紙、生地の裁断、縫製、仮縫い、納品までの工程を一人でこなす、カッターでありテーラーでもある。ハウススタイルは持たず、顧客一人一人の身体的な特徴や、細かな要望を反映した丁寧なスーツ作りに定評がある。英国のクラシックな雰囲気を残しつつ優美なシルエットが特徴的なVick tailorのスーツやジャケット。エレガントな一着を求める方に是非おすすめしたいテーラーである。
アメリカ東海岸のエリート私立大学8校のスポーツ・カンファレンスとしての名称である「アイビーリーグ(Ivy League)」がその名の元。 日本では、第一次アイビーブームの1965年に発売された写真集『テイク・アイビー(Take Ivy)』で、当時のアイビーリーガーの生活や着こなしを把握することができた。アイビーリーガーは20世紀初頭からファッションリーダーであり続け、学生たちが流行らせたアイテムも多く存在した。その中でもハーバード大学(Harvard University)、イエール大学(Yale University)、プリンストン大学(Princeton University)の3校の学生はお洒落で有名だった。 ファッションとしては、プレッピー、アイビー、アメリカントラディショナルの順に大人っぽい着こなしとなる。
靴の表底のことで、地面に直接あたる部分。「本底」「外底」ともいう。材質は革底、合成底、ゴム底、スポンジ底、ポリウレタン底、フェルト底など、さまざまな種類がある。 ソールの表面が波打った形状をしている「クレープソール」などがゴム素材のラバーソールとして有名。ほかにも登山用やアウトドア用、軍用など、メーカーが独自に開発したラバーソールも数多く存在する。 靴の中底(足の裏が靴に直接当たる部分)は「インソール」と呼ぶ。
外注の靴職人
総合格闘家の秋山成勲が、2006年12月31日、K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!で犯した反則行為のこと。ルールでは、試合前に体に何かを塗る事自体を禁止しているが、秋山はワセリンやグリセリンが含まれているスキンクリームを身体に塗布し、桜庭和志と対戦した。
アクアスキュータム(Aquascutum)は、1851年仕立て職人のジョン・エマリー(John Emary)が創業したイギリス発祥の高級ファッションブランド。 1853年、防水加工を施したウール生地を開発し特許を取得。このユニークな開発が、ラテン語で水という意味の「aqua」と盾という意味の「scutum」を組み合わせた造語で、ブランド名「アクアスキュータム」の由来となった。 布地に特殊な加工を行い、防水や防シワを施した「Aqua5」という素材は、当時「レインコート史上最高の技術的進歩である」と評された。1966年には、輸出業績の部門で英国女王賞を受賞し、国外でも注目を浴びるなど、国際的な成功につながった。 1990年には日本企業のレナウンに買収され、2009年には全株式を英国Broadwick Group Limitedに譲渡。その後、香港のYGM貿易(YGMトレーディング)に渡り、2017年3月にレナウン親会社である中国の山東如意グループに買収された。
アストンマーティン(Aston Martin)は、1913年にロバート・バムフォード(Robert Bamford)とライオネル・マーティン(Lionel Martin)によって創業されたイギリスの高級車メーカーでありブランドの名称。正式な社名は「アストンマーティン・ラゴンダ(Aston Martin Lagonda Limited)」。 ハリウッド映画『007』シリーズには主演のジェームス・ボンド(James Bond)が運転する「ボンドカー」として頻繁に登場している。モータースポーツ界での活躍も有名。
合成染料のアニリンで染色したカーフ(生後6ヶ月以内の仔牛の革)のこと。靴本来の銀面模様が最大限に美しく活かされることが特徴的。 アニリン仕上げとは甲革に多い仕上げ方法の一つで、染色した革に顔料を含まず、合成染料と主にタンパク質系のバインダーからなる塗料を用いて、染色した革を仕上げる。透明感のある塗膜のため、革本来の銀面が生かされ、傷のない高品質の素材に適用される。塗膜の耐久性がやや低いため、色落ちしやすく、油シミになりやすいといった特徴がある。
アノネイ(Annoney)は、高品質な革をつくることで有名な世界最高峰のタンナーの一つ。1984年、デュプイ社(Du Puy)から独立する形でフランス・アノネイに設立された。12世紀には、すでになめしを行っていたという記録があるとされる。 フランス中南部の街・アノネイは、良質な革を作るために最適な環境。それに加え、古くから培ってきた伝統の技法と最新の機器を駆使して生み出される高級カーフは、デュプイに勝るとも劣らない仕上がりとされ、世界中で高い評価を得ている。
アラン・フラッサー(Alan Flusser・1945年生まれ)は、アメリカ出身の服飾デザイナー。1985年に自身の名を冠したブランドを立ち上げる。 アメリカのブランドでありながらイングリッシュ・ドレープシルエットに傾注した作風で、創立当初から通な服好きの注目を集めた。 1987年公開のアメリカ映画『ウォール街(Wall Street)』のマイケル・ダグラス(Michael Douglas)の衣装を担当。1985年にはファッション界のアカデミー賞と称され、アメリカのファッション界では最も権威があるとされる「コティ賞」、1987年には「カティ・サーク賞」と、当時のメンズファッションの特別賞も受賞している。また、『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』誌が選ぶ「世界のベストドレッサー」に過去20年間にわたり登場している。 日本ではオンワード樫山やリーガルコーポレーションがライセンス商品を展開していたが、1990年代以降は次第にニューヨークのアトリエでのビスポーク(カスタムメイド)に軸足を移し、今日ではそちらに完全に専念している。
アルフレッド・サージェント社(Alfred Sargent)は、1899年イギリスのノーサンプトンで創業以来、4代にわたる家族経営の継続によって確固たる地位を確立している革靴メーカー。 ストレートチップの「アームフィールド」や、セミブローグの「ヘリック」など、伝統的で質の高い正統派の革靴から、英国靴らしからぬファッショナブルな一足まで展開。コストパフォーマンスが高い、さまざまなコレクションは革靴愛好家からの支持を得ている。 他メーカーのOEM生産(Original Equipment Manufacturing)や、セレクトショップとのコラボレーションモデルも展開するなど、実力を認められている。
整形靴の会社にて足の構造からラスト、パターンを学び主に底付けを担当。 2009年、英国ロンドンのビスポーク靴職人Jason Amesburyに師事しラストメイキングから英国式ハンドソーンウェルテッド製法を学ぶ。 2011年に再渡英し、Jason Amesburyの元でラストメイキングをメインに学ぶ。 同時に、Foster&sonやJohn Lobb londonのアウトワーカーとして靴製作に携わる。 2014年に大阪は梅田近くの中崎町にてワークショップを開設。
創業者はジョージ・クレバリー(George Cleverly)で、1958年英国に自身のビスポークシューズブランド「ジョージ クレバリー」を立ち上げた。70年代に一度ブランドを休止したが、90年代になると甥のアンソニー・クレバリー(Anthony Cleverley)が自身の名前を冠した「アンソニー クレバリー」をスタートした。 その後、ジョージ クレバリーも再始動。現在のアンソニー クレバリーは、クレバリー社の最高級ラインとして製造され、「最高の既成靴」と言われている。 ジョージ・クルーニー(George Clooney)、エルトン・ジョン(Elton John)、デビット・ベッカム(David Beckham)などのセレブからも支持されている。
イルチア社(ILCEA)は、1930年代にイタリア北部・トリノに創業した、最高峰のタンナー。イタリアンカーフの代名詞とも呼ばれ、フランス・スイス・ポーランドなどの契約牧場から原皮を調達し、熟練の技術で最高級のレザーを製造している。 ラディカカーフと呼ばれるレザーはムラ感・色彩の透明感が魅力的で、スペインの革靴ブランド、カルミナ(CARMINA)や、国内革靴ブランド、レイマー(有限会社サンレイのブランド)の素材としても採用されている。さまざまな顧客のニーズに対応しながら、他にも欧米の著名ブランドがこぞって使用していることでも有名。
靴の中底(足の裏が靴に直接当たる部分)のことで、偏平足になる原因のカカト骨の回内を防止する役割がある。また、スポーツのパフォーマンスを上げることや、サイズ調整、履きやすくする⽬的なども持ち合わせている。ブランド名が刻印されることが多い部分でもある。 日本では一般的に取り外せる中底と中敷きを指す場合が多いが、海外においては着脱に関わらずインソールと呼ぶ。また、地面に直接あたる部分のことは「アウトソール」と呼ぶ。
馬一頭からわずか靴一足半ほどしかとれない希少な臀部の皮革のこと。 革の表面ではなく、裏を削り出し磨き上げることで現れる繊維が多い部分。個体により採取できる面積が異なり、削ってからでないとどの程度量があるか分からないため、「革の王様」や「革のダイヤ」とも呼ばれている。ほとんどの皮の色が均一ではないため、色ムラを防ぐためにも濃い色に染色されている。特にウィスキーのような飴色に染められた革のものは、希少中の希少とされている。
JIS(日本工業規格)が定めた靴の足囲サイズのことで、足囲・足幅を数値化したもの。英語では「Width」と表記され、広さや幅のことを意味する。また、「ワイズ」とも呼ばれる。 男性の場合はA・B・C・D・E・EE(2E)・EEE(3E)・EEEE(4E)・F・Gのアルファベットで管理され、アルファベットの順番に靴のウィズサイズ(足囲サイズ)が大きくなる。 日本人の足では2Eが標準的なウィズサイズと言われている。
靴のつま先(バンプ)を覆う革片部分に、鳥の翼(ウィング)のような切り返しの模様がある靴のこと。日本では、この部分がおかめの髪の生え際に似ていることから「おかめ飾り」と呼ばれることもある。ウイングの長さが土踏まず辺りまでのものが一般的にウィングチップと呼ばれ、踵までつながっているものを「ロングウィングチップ」、つま先部分で切れているものを「ショートウィングチップ」または「シールドチップ」と呼び区別している。
英国のエドワード8世(Edward VIII・1894年6月23日 - 1972年5月28日)のことで、退位後はウィンザー公爵として知られる稀代のウェルドレッサー。 黒のみという保守的な英国王室の服装ルールに逆らい、英国メンズファッションの帝王と称されるほど英国の男性ファッションそのものに大きな影響を与えた。彼の生きた時代が現在のメンズファッションの黎明期でもあり、その上品で時としてパターンオンパターン、スーツにスエード靴を合わせるなどといった遊びを交えた着こなしが注目された。
革靴の周りを縁取るように、アッパー(甲革)とアウトソール(本底)に縫い付けるための細い帯状の革のこと。ウェルトを使用した靴の製法は「ウェルト製法」「ウェルテッド製法」と呼ばれている。 ウェルとの種類は豊富で、平らな形状で最も一般的な「フラットウェルト」または「平ウェルト」、山状の盛り上がりがある「ストームウェルト」、ストームウェルトに刻み(ノッチ)を付け、より装飾性を増した「ノッチドウェルト」、厚みのあるウェルトを半分裂く加工を施した「スプリットウェルト」などがある。また、機能的な意味としてではなく、デザインの一部として取り付けられることもある。
革靴の構造を大きく分けると「内羽根式」と「外羽根式」がある。 内羽根式は、革靴の紐を通すパーツ(はとめ、またはアイレット)がフラットで一体化もしくは甲革の下に入る作りのため、羽根が外側に開かないデザインになっている。一方で外羽根式は、羽根が外側に開く。内羽根式の靴は外羽根式よりもフォーマルな印象になるため、一般的に冠婚葬祭や室内執務に適しているとされる。 内羽根式は国によってさまざまな呼び名がある。イギリスやアメリカでは「バルモラル(balmoral)」、フランスでは「リシュリュー(Rechelieu)」、イタリアでは「フランスのお嬢さん」を意味する「フランチェジーナ(Francesina)」と呼ばれている。
エドワーディアン(Edwardian)とは、ヴィクトリア女王の第2子である英国王エドワード7世の治世下(1901-1910年)と、その時代に生まれたファッション・建築様式などの文化のこと。ロマンチックなスタイルで、ベルエポックの時代風潮を反映した優美なシルエットを特徴としている。ベルエポックは、19世紀後期から第一次世界大戦勃発までの平和と繁栄の時代を指すが、当時のイギリスではエドワード7世の治世であったことからエドワーディアンとして知られている。 繊細な細工を施したジュエリーも有名で、白を基調とした極めて緻密かつ透かしを活かした端正な貴族的雰囲気があるものが多いため、エドワーディアン・ジュエリーとしての人気がとても高い。
1890年イギリスのノーザンプトンでエドワード・グリーン(Edward Green)が、ミリタリーブーツを中心とした手作り靴を紳士用に作り始めたことで生まれた紳士靴ブランド。 1983年、経営難に陥ったエドワードグリーンを買収するかたちで靴デザイナーであるジョン・フルスティック(John Hulstik)の手により再建した。イギリスの革靴と言えばブラックという時代に、ブラウン、しかも仕上げで敢えてムラ感を出したアンティーク加工を施した革靴を手がけ高い評価を得る。 履き心地が良く、頑丈でありながらスタイリッシュなその靴は未だに職人による手作業を重んじて作られており、素材や製法に関して「でき得る限りの上質を求める」という信念が、現在も職人一人ひとりへ受け継がれている。
イギリスで1930年前後にカントリーシューズとして原型が生まれた、U字型にカーブを描くつま先が特徴のシューズデザイン。通称「Uチップ」。モカシン縫いがノルウェーの漁師が陸上で履いた靴に由来することから、「ノルウィージャン・ダービー」とも呼ばれる。 本来はカントリーカジュアル用に履かれていたが、現在ではスーツに合わせるビジネス用としても多く履かれている。 代表格としては、エドワードグリーン(Edward Green)の「ドーバー(Dover)」などがある。
エラスティック(Elastic)とは、ゴムを織り込んだ伸縮性のある生地が足の甲から踵にかけてのトップラインに施されている靴のこと。 エラスティックをトップラインのくるぶしの脇周りに配置した靴を「サイドエラスティックシューズ」、甲の最上部に配置した靴を「センターエラスティックシューズ」と呼ぶ。 この素材が靴へ採用されるようになったのは1830年代のイギリスが最初で、即位後のヴィクトリア女王の為に仕立てられたサイドゴアブーツが最初と言されている。
エルエルビーン(L.L.Bean)は、1912年アメリカ・メイン州にレオン・レオンウッド・ビーン(Leon Leonwood Bean)によって創業されたアウトドアブランド。 防水ブーツをハンター達に販売していたことが始まり。アウトドアブームなど時代の波に乗り、徐々に事業を拡大させ、機能性のあるアウトドア製品のブランドとして認知されていった。 1992年には日本でもビジネスの展開を始め、現在では衣料品だけでなく、家具等も製造・販売している。
エーボンハウス(Avon House)は、1970年代から1980年代にかけて、日本のネクタイブランドであるクリケット(CRICKET)と伊勢丹デザイン研究所出身で、トラッドに造詣の深い林勝太郎(はやし かつたろう)を筆頭に築かれた日本のファッションブランド。 ブリティッシュトラッドブランドとして一世を風靡した。2006年に惜しまれつつもその幕を閉じたが、2013年に復活を遂げている。 写真は1980年代、シャンタル・デュモ時代のロゴマークで、英国と馴染み深い動物たちが描かれている。
革をなめす段階でたっぷりの油分を含ませたレザーのこと。 上品な光沢があり、しっとり柔らかく、マットな風合いが特徴的。他の革と比較して汚れが付きにくく、傷がついてもあまり目立たず、多少の水分はオイルが弾いてくれるという利点もある。 使用することで染みこませたオイルが徐々に溶け出してツヤが出るため、エイジングレザー・経年変化レザーとして人気がある素材。 防水性に長けるところからワークブーツ・デッキシューズ・登山靴などに多く用いられる。
小笠原シューズは、1955年に靴職人の小笠原光雄が東京・虎ノ門に設立した小笠原製靴をルーツとする手縫い靴の老舗。 時代の流れに合わせ、一時は他の靴店や百貨店向けの製品を製造するOEM製造(Original Equipment Manufacturing)にシフトするようになる。 1988年に社名を「小笠原シューズ」に改称、2011年に3代目の根岸貴之に引き継いだのち、待望の自社ブランドである「συναντω(シナンド)」を立ち上げた。
革靴に特化した専門雑誌「LAST」。その最大の特徴は何と言っても眺めていても楽しめる美しい革靴写真だろう。vol3では各業界の革靴好きが自身のお気に入りの革靴たちを紹介。十人十色に育て上げられた革靴たちから、いかに革靴ライフを楽しんでいるかが垣間見える。後半で掲載されているエドワード・グリーンのファクトリー訪問も見応えあり。
チャネル(またはチャンネル)とは、ウェルト製法などでアウトソール(表底)やインソール(中底)を縫い付ける時に、糸が通りやすいようそれぞれの縁に掘られる溝のこと。日本では「ドブ」と呼ばれることもあり、溝を掘る工程を「チャネリング」や「ドブ起こし」と呼ぶ。 靴底を縫い付ける糸が見えるように底付けしたものを「オープンチャネル(open channel)」と呼び、隠すように底付けする仕様のことを「ヒドゥンチャネル(hidden cahnnel)」または「伏せ縫い」と呼ぶ。
オーベルシー(Aubercy)は、1935年フランス・パリにアンドレ・オーベルシー(André Aubercy)とルネ・オーベルシー(Renée Aubercy)兄弟によって設立された、同国を代表するシューズメーカー。 イギリスで靴作りの技術を学んだアンドレの影響と、創業後にイタリアに工場を置いた事から、フランス、イギリス、イタリアの靴作りにおける長所を併せ持った靴作りを行う。 2000年以降には日本にも輸入され、程よいデザイン性かつクラシカルな要素も備えているところが評価を得て、人気のシューズブランドとなった。
靴底全体を交換すること。ビジネスシューズに限らず、ワークブーツなど、さまざまな種類の靴に対応した修理方法。 革靴の製法にもよるが、ソールとの縫い付け部分であるウェルト(細い帯状の革)を新しく縫い付け、アッパー(甲革)と新しいアウトソールを縫い付けていくのが基本的な修理の工程。 オールソールを行える回数には限度があり、甲革部分(アッパー)とソール部分を縫い合わせる「グッドイヤー・ウェルテッド製法」で作られた靴は5回前後、靴の内側でアッパー(甲革)とアウトソール(本底)を縫い合わせる「マッケイ製法」の靴は3回前後、アッパーと表底を接着剤で貼り合わせ、加圧密着させる「セメンテッド式製法」の靴は1~2回が限度と言われている。
オールデン(Alden)は、1884年にチャールズ・オールデン(Charles H.Alden)によってアメリカ・マサチューセッツ州に創業したシューメーカー。伝統的な靴を作ると同時に、矯正靴の分野を開拓し靴設計に革命をもたらした。 「革のダイヤモンド」とも呼ばれる、一頭からとれる量がごくわずかな馬のお尻の革(コードバン)を使用していることが特徴的。最上級の素材で製造され、優しい履き心地と洗練された見た目を兼ね備えた、アメリカントラッドの代名詞とされる。
可塑性(かそせい)とは、固体に外力を加えて変形させると、その後力を取り去っても元に戻らない状態や性質のこと。または永久変形する物質の性質で歪んだ固体の回復が一時的な事。「塑性」と略されて呼ばれることもある。また、固体に限界を越えた力を入れると変形したままで元通りにならないことを永久変形や永久歪として、この状態になるまで必要な力を「弾性限界」と呼ぶ。 物質だけでなく人の能力や性質に対しても用いられ、訓練・教育によって変化したときの伸びしろが大きい場合や大化けした場合に「可塑性が高い」「可塑性に富んでいる」と表現する。
カトラーアンドグロス(Cutler and Gross)は、1969年に眼鏡技師(オプティシャン)であったグラハム・カトラー(Graham Cutler)とトニー・グロス(Tony Gross)によりイギリス・ロンドンにて創業した老舗のアイウェアブランド。 メガネを視力矯正の道具からファッションアイテムに変えたアイウェアブランドの先駆け的な存在で、アイウェアの歴史においても重要な役割を果たしている。 クラシックな形や、厚みのあるフレームを得意としたスタイルの全ては、イタリア・カドーレにある工場にて、職人たちの手作業によって作られている。
カントリーカーフとは、穀物または種の様な型押しとワックスで仕上げた革。シボがはっきりとしていて、自然な色艶で小傷に強く、アメリカらしい無骨さと上品さを兼ね合わせたといった特徴がある。 アメリカを代表する革靴メーカー、オールデン(ALDEN)の使うカントリーカーフは、スコッチグレインレザーほど凹凸がなく、インパクトのある大きめなシボが特徴的。一方でイギリスの紳士靴ブランド、エドワードグリーン(Edward Green)で使用されているカントリーカーフは、型押しのスコッチグレインレザーと、ブランドによって素材にさまざまな個性が出ている。
カールフロイデンベルグ(Carl Freudenberg)は、1849年に西ドイツで創業した名門タンナーで、ボックスカーフ製作で非常に有名であった。 ドイツの環境配慮による制限から従来の製革工程を続けられなくなり、2000年に皮革産業から撤退。元々ボックスカーフはカールフロイデンベルク社製のカーフを指していたが、次第に最高級の品質を持つカーフの一般名称として用いられるようになった。撤退後も、ドイツのワインハイマー社(Weinheimer)が製法を引き継いでいる。 現在はデッドストックの革がわずかに流通し、幻のボックスカーフとなっている。
ガジアーノ&ガーリング(Gaziano Girling)は、2006年イギリス・ノーザンプトンに設立された靴ブランド。ジョージクレバリー(George Cleverley)やエドワードグリーン(Edward Green)でキャリアを築いた2人、トニー・ガジアーノ(Tony Gaziano)とディーン・ガーリング(Dean Girling)によって立ち上げられた。また、ビスポーク責任者のダニエル・ウェーガン(Daniel Wegan)は靴づくり世界大会の優勝者であるなど、他にも工場の各工程を支える職人は超一流ブランドでの経験豊富な名人ばかり。 「他のブランドには不可能だと思う靴を作る」ことを掲げ、ビスポークの要素を既製靴に持ち込んだ初めてのブランド。自らのアイデンティティーを「クラシック・デザインでありながら、最高級のビスポーク靴とレディトゥウェア靴を同時に作り出す稀有さ」と表現している。 イギリス・ロンドンにある紳士服の聖地サヴィル・ロウ(Savile Row Street)に直営店を構えている。
靴の土台となる型のこと。靴のデザイン、機能などを決める重要な要素となる。その他、靴のかたち自体を表現することもある。 一般的には、木や合成樹脂など、足の形に基づいて作られる。「靴型」や「ラスト」とも呼ばれる。 木型に甲革(アッパー)を型紙通りに縫い合わせた物を被せ、強い力で木型に添わせながら接着剤で留め、シワにならないように革を叩きながら木型になじませる。そのためデザインが違っていても、木型が同じであれば内部は全く同じものになる。
鞣した革の表皮にあたる部分。 使用する皮によって、キメの細やかさ・毛穴の大きさ・形状などが異なるため、さまざまな模様ができる。銀面を加工せずにそのまま仕上げた革を「銀付き革」と呼ぶ。 名称は「吟面」など諸説あり、明治時代に海外の近代的な革のなめし製法を習得するために招いた欧米の技術者が、革の表面のことを粒子という意味の英語「グレイン(Grain)」と発音した際に、当時の日本人の耳に「ギン」と聞こえたことがきっかけとも言われている。
アッパーのレースステイよりも後ろ全体を覆う部分のことで、「腰革」とも呼ばれます。特に親指側のクウォーターは、人間の直立歩行を可能にする「土踏まず部の縦のアーチ(第一のアーチ)」を外側から支える領域なので、ここをいかに局面的かつ三次元的に仕上げるかが靴の履き心地を大きく左右することになります。目に付きにくい部分ではあるものの、手作業を中心に丁寧に作り込まれた靴とそうでないものとが一発で判別できる箇所です。また、この部分の木型への「添わせ方」が最も美しく表現できる素材が、牛革を代表とする伸縮性に富んだ天然皮革なのです。 飯野高広『紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで』、朝日新聞出版、2010、p.26 引用。
1998年創立の手製靴の専門学校「ギルド・ウェルテッド・フットウェア・カレッジ(Guild Welted Footwear College)」のこと。日本人で初めて靴の本場イギリスの「ギルド・オブ・マスター・クラフトマン(Guild of master craftsmen)」の称号を得た靴職人・山口千尋(やまぐちちひろ)が1996年に設立した靴メーカー「ギルド(Guild)」の靴職人たちと共に運営している。 2007年に「サルカワ・フットウェア・カレッジ(Saruwaka Footwear College)」に校名を変更した。
靴磨き職人の地位を底上げしたい。靴磨きのイメージすらも革命したブリフトアッシュの長谷川裕也氏。彼が長年かけて確立した靴磨きを始めて磨く初心者にもわかりやすく解説。上級者向けには磨きのアレンジテクニックを紹介している。また、著者が顧客とのやり取りの中で発見した、初心者が疑問に思うポイントをQ&A形式でわかりやすくまとめている。
ビスポークシューズに採用されている靴製法の一つ。手作業で甲革部分(アッパー)と底部(ソール)を縫い合わせる「ハンドソーン・ウェルテッド製法」の後半に行なう出し縫い、もしくは出し縫い以降の行程を、手縫いでなく専用の出し縫いミシンで縫う仕立て方法。「行程の約90%を手作業でつくる」ことから「九分(くぶ)仕立て」と呼ばれている。 因みにマシンで行った場合には数分で出来るのに対し、ハンドメイドでは片足を縫い上げるのに熟練の職人さんでも30分〜1時間程度の時間を要すると言われている。
ゴムの木から取れる樹液(ラテックス)を使って作られた天然素材の靴底のこと。 天然ゴムを主原料にしているため、天然素材ならではの優れたクッション性や柔らかい履き心地が特徴である一方で、油や熱には弱いといった特徴がある。底の表面は波状、しぼ状、その他の模様をしている。ラテックスに酢酸を添加させることで固化すると共に、その過程でこのような独特な模様が現れる。カジュアルな雰囲気を出すのが得意で、写真の靴のソール素材もクレープソール。
甲革部分(アッパー)とソール部分を縫い合わせる製法の一つ。甲革部分とアウトソールを直接縫い付けずに、ウェルトを介して縫合しているのが特徴的。 インソールにつけたテープ状のリブと甲革部分(アッパー)、ウェルト部分をすくい縫いした後、アウトソールとウェルトを出し縫いする。 1870年代後半のアメリカが起源とされ、それ以前の革靴のソールは「ハンドソーンウェルテッド製法」と呼ばれる、手縫いで縫い合わせる製法が主流だった。 靴底全体を取り替えると長い期間履けるため、コストパフォーマンスが高い。
グレンロイヤル(GLENROYAL)は、1979年スコットランド・エア州でピーター・パティソン(Peter Pattison)によって設立した、財布やバッグなどの革製品を販売する革製品ブランド。GLENはゲール語で「谷・渓谷」を表し、ROYALは「王室」の意味。 エッティンガー(ETTINGER)、ホワイトハウスコックス(Whitehouse Cox)と共に革ブランドの英国御三家の1つに数えられることも多い。 創業当初からハイグレードなブライドルレザーを用いたアイテムを製造しており、使い続ける喜びと育てる楽しみを味わえる。
ブッシュバック(サハラ以南のアフリカに生息するアンテロープの一種)の革の肉面を起毛させて仕上げた革のこと。中でもナミビアや南アフリカ共和国周辺に生息する、斑紋を持たない種であるケープブッシュバックの革を主に用いていたことからその名が付いたと言う説が有力とされる。鹿革を鞣(なめ)した革の表皮にあたる部分(銀面)を起毛させた、バックスキンと間違われることが多い。 1980年代まではチャーチ(Church's)の靴ではそこまで珍しい革ではなかったものの、1990年代中盤以降希少性が急速に増した。生息地域の政情並びに自然環境の変化が原因という説があり、現在では用いられていない。
1885年フランス・パリで創業したシューツリー(靴用木型)・シューケア用品のブランド。その品質の良さで世界中のシューメーカーから愛されている。木材は頑丈で木目が美しいフランス産ブナ材のみを使用し、表面は特殊な水溶性ニス仕上げで吸湿性を保持しつつ、汚れの付着や経年劣化の予防をしている。国内やヨーロッパ各国の有名シューズメーカーに製品を供給し、木型およびシューツリーで生産量世界一の地位と規模を確固たるものとしている。 1988年には日本で発売された史上初の本格木製シューツリーとして初上陸した。
ジョン・ロブ、エドワード・グリーン、オールデン、ベルルッティ、……。世に名をはせる海外の一流ブランド、そして国内ブランド靴たち。一体どのブランドが凄いのか、そして買うに値するのか。革靴を知り尽くした日本を代表する靴職人(ギルドオブクラフツ)・山口氏が鋭い目線で各ブランドの靴を分析。革の素材、作り、対価格についてもとことん切り込んでいる。
脱ぎ履きしやすい様に、両サイドにマチを設け伸縮性のあるゴア素材を用いたブーツのこと。 ゴアとはゴムを織り込んだ伸縮性のある生地のことで、足首を支える役割をしている。足にフィットするように履き口の構造が狭くなっているが、伸縮性の高いゴアによって簡単に着脱できることが特徴的。 1960年代に、ビートルズ(The Beatles)やローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が着用したことがきっかけで、若者を中心に大ブームになったことをきっかけに注目されるようになった。
一般的にはレースアップは中央に位置するが、外側にレースアップがある構造をサイドレースアップ仕様という。
サッチェルバッグ(satchel bag)とは、イギリスの伝統的な学生カバン(スクールバッグ)のこと。 クラシカルなフォルムと、レトロな雰囲気を現代のテイストにアレンジしたサッチェルバッグは、ロンドンやニューヨークをはじめとした、海外のファッションに敏感な人たちから人気を集めている。 さまざまなコーディネートに合わせやすいデザイン性とそのファッション性から、定番のアイテムとなり、日本でも流行の兆しを見せている。
一般的には厚めの牛皮を植物タンニンで鞣し、染色や塗装を一切行なわずに素仕上げされた天然皮革のヌメ革のことを指す。鞍の革という意味で、昔から乗馬用の馬具として長く使用されてきた。染色や塗装などをせず仕上げられた革のため、表面は繊細で小さなキズや汚れが付きやすいという特徴がある。 変色しやすく、太陽光に当たり日焼けすることによって色に深みが増すといった特徴もある。また、手から出る脂や革自体に染み込んでいる油分が泌みだすことにより、独特のツヤが表面に出て経年変化と光沢を楽しむことができる。
サヴィル・ロウ(Savile Row Street)は、世界中のファッション通から憧れられるイギリスの有名な仕立て屋が立ち並ぶ、イギリス・ロンドン中心部にあるメイフェアのストリート。全長約500mの通りだが、敬意と憧れを込めて「黄金の道(Golden mile of tailoring)」と呼ばれている。また、日本語でビジネススーツを表す「背広」の語源とも言われている。 1800年代から仕立て屋が集中し、サヴィル・ロウのテーラーで仕立てるのが世界中の紳士の憧れとなった。老舗のヘンリープール(Henry Poole & Co)や、ギーブス&ホークス(Gieves&Hawkes)、ノートン&サンズ(Norton & Sons)などが名を連ねる。 ビートルズ(The Beatles)が創立した「アップル・コアレコード会社(Apple Corps Ltd.)」もサヴィル・ロウの中にあったため、ナッターズ(Nutters of Savile Row)で仕立てたスーツを着用していたという話は有名。
シアーズ(Sears)は、1893年にアメリカ・イリノイ州に本部を設立し、アメリカ・カナダ・メキシコに多くの店舗を構える百貨店。高級店のイメージがある百貨店とは異なり、少し安価な大型スーパーといった印象で、ほとんどの店舗が郊外にある。 2002年には老舗のチェーンストアであるKマート(Kmart)と事業子会社となり、ウォルマート(Walmart)やホームデポ(The Home Depot)に次ぐ、全米第3位の小売業者となった。 アマゾン(Amazon)などネット通販の台頭による業績悪化により、2018年には破産申請を行った。
1982年から1990年代半ばにかけて、リーガルコーポレーション(当時は日本靴製株式会社)が販売していた既製靴のブランドのこと。 日本製で最高レベルと従来の日本にはなかった英国靴らしいデザインを誇っていた。1980年代初頭の英国既製靴といえばチャーチ(Church's)などが挙げられるが、英国既製靴ブランドに負けないクオリティーを備えていた。一度なくなるものも、2009年にブランド復活を遂げる。 写真はシェットランドフォックスのシューズボックスのイラスト。
コードヴァン革(馬の臀部を削り出した革)を採取したときの形が、右側と左側がくっついた二枚貝(シェル)のような形状になっていることから、名付けられたとされる。 「シェルコードヴァン」という名前は、1905年アメリカ・シカゴで創業した北米で唯一コードヴァンを生産するタンナーであるホーウィン社(Horween Leather Company)が商標登録しているため、それ以外のメーカーでは使用できない。欧米では省略して「シェル(Shell)」と呼ばれることもある。
革を鞣した後に表面に現れる一種のシワ模様のようなもの。 自然に付く場合もあるが、何らかの形で人為的に形成される場合が大半で、革にアクセントを出すだけでなく、表面に傷が付きにくくなったり、傷が付いてしまっても目立たなくさせるなどの効果がある。 人間の手で揉むことで、表面にシボを出して仕上げた革を「揉み革(Boarded Leather)」、機械を使い表面にシボを出して仕上げた革を「シュリンクレザー(Shrink Leather, Shrunken Leather)」と呼ぶ。
靴底の屈曲を防止するために、靴底の土踏まず部分に入れるパーツのこと。「ふまず芯」とも呼ばれる。 耐久性を上げるために鉄製にしたり、足馴じみを良くするために木製のものにしたりと、役割によって素材は変わる。靴底に強度のある素材を使用しているものは、シャンクを入れていない場合もある。 シャンク(shank)とは本来、「足の土踏まず」を指す言葉だが、靴のインソール(中底)に埋め込んであるシャンク・ピースの略称として浸透している。シャンク・ピースとは、ヒールのある靴に見られる土踏まず部分のアーチを支え、体重が掛かっても靴が歪まないようにする役割を持っている芯材のことで、木材や革、プラスチックなどの素材が使用される。
「シューキーパー」とも呼ばれる靴の中に入れる足の形状に似た器具で、靴の形を維持するためのもの。その中でも、木製のものをシューツリーと呼ぶ。 靴にとってのシューツリーは、スーツにとってのハンガーのような存在。アッパーに深いシワができることを防ぎ、型崩れも予防してくれる。そのため、シューツリーは形状維持に加え、靴の寿命を延ばすための必須アイテムといえる。 木製のものは除湿・脱臭・防カビにも役立ち、ヤスリなどで表面を削り、新しい面を出すことにより効果を持続させることができる。
1971年に同名のシルバノ・ラッタンジ(Silvano Lattanzi)が創業したイタリアを代表する高級靴ブランド。 イタリアの最高水準のモノづくりをする協会であり、イタリアンクラシックスーツブームの代名詞である「クラシコ・イタリア協会」を牽引してきた「ジンターラ(ZINTALA)」のトップラインとして世界的な人気を誇っている。美しいシルエットのフルハンドメイドの紳士靴が特徴で、質の卓越性に強いこだわりをもっている。
これから革靴ライフを始めると言う方にオススメの一冊。国内外の厳選されたブランド50選を写真とテキストでわかりやすく紹介している。ブランドについての歴史やフィロソフィーについてコンパクトにまとめられているので、ブランドについてサクッと一通り知っておきたい場合には、この一冊を読めば網羅することができるだろう。
革靴特集でも監修を担当した、服飾ジャーナリスト・飯野高広氏の著書。足や靴の構造、靴の形、サイズや購入のポイント、トラブル時のケアなどなど、革靴を嗜むために必要な項目を広範囲にカバー。初心者はこの書籍で革靴の基礎を知り、上級者はより永く愛用するための心得を知ることができる。飯野氏自身の靴研究の成果と革靴愛が凝縮された一冊。
新宿三越南館閉店セールのこと。ファッションをメインとした三越南館(現在は大塚家具が店舗を構えている建物)が1999年に閉店。それに伴い閉店セールが実施され、有名ブランドアイテムが半値以下で出されるなど注目を集めた。
ジェイエムウエストン(J.M.Weston)は、1891年創業のフランスの老舗シューズブランド。現在も製造されているシンボル的なモデル、ハントダービー、チェルシーブーツ、ゴルフもこの時代に生まれた。 「1966年にはみんながウエストンの“モカシン”を履いていた」という伝説が残るほどブランドの代名詞である「180 ローファー」が第二次世界大戦後に誕生し、現在も発売以来変わらぬ木型を使って作られている。独特なスタイルは現在も多くの人々を魅了してきた。 1993年には東京店がオープンした。
ジョセフ チーニー(Joseph Cheaney)は、1886年イギリス・ノーザンプトン州の郊外にて同名の靴職人によって創業した英国靴ブランド。 英国の伝統的なグッドイヤー・ウェルテッド製法で丁寧に造られた靴は、クラシックな路線をおさえつつ、顧客のニーズを取り込んだコンテンポラリーな靴を製造している。生産は創業から一貫して全ての工程をノーザンプトン州で行なっている。 1960年代にチャーチ(Church's)の傘下に入り、チャーチがプラダ(PRADA)に買収されたことで一時期はプラダグループの傘下に入ったが、今日では再び独立しチャーチの創業者一族が経営にあたっている。
ジョンコンフォート(John Comfort)は、1908年にハンドフレームのニットタイの生産からスタートした、ネクタイ、スカーフ、ポケットチーフなどを展開する英国ブランド。 上質な生地を使用したコレクションは、クラシックなスタイルによく似合う。現在ではニットタイだけでなく、プリントタイやレジメンタルタイなどもラインナップに揃えている。 もともとの会社はプリントタイやレジメンタルタイの製造で非常に評価が高かったが、残念ながら21世紀初めに消滅。近年は日本のフェアファクス社(Fair Fax)と契約してブランドとして復活した。
ジョンストン&マーフィー(Johnston & Murphy)は、1850年アメリカ・ニュージャージー州にウィリアム・J・ダッドリー氏(William J. Dudley)によって創立された、アメリカの老舗靴ブランド。1884年にジェームス・ジョンストン(James Johnston)とウィリアム・マーフィー(William A. Murphy)が経営者になったことにより現在の名前になった。 イギリスの伝統的なフォルムとアメリカ発祥のグッドイヤー・ウェルテッド製法が融合した最高の革靴とされる。創立した年に、ミラード・フィルモア(Millard Fillmore)元大統領に靴を製作して以来、歴代大統領の靴を作り続けていることから「歴代大統領が愛した靴」とも呼ばれている。
ジョンホワイト(John White)は、1919年に英国・ノーザンプトンで創業した老舗靴工房 。 第二次世界大戦時に英国陸軍へのブーツ供給大手として名を広め、とにかく頑強であることが有名になり、戦争から戻ってきた靴にほとんどダメージが無かったと評価された。第二次世界大戦が終わるまでに全英国兵士の10%以上がジョンホワイトの靴を履いたといわれている。 1978年には英国王室御用達(ロイヤルワラント)を授与されたり、近年では2010年スーツカンパニーとのコラボカントリーブーツが話題となった。 2003年より生産拠点はポルトガルへと移っているが、それ以前の英国製のものはプレミアの価値が付き、入手困難となっている。
1866年、靴職人だったジョン・ロブ(John Lobb)が、イギリス・ロンドンにビスポークシューズの専門店を開設したことが始まり。その後2代目が開設したパリの支店が1976年に経営難でエルメスの傘下に入り、この段階でジョンロブはロンドンとパリとで経営権が完全に分離された。暫し誤解されるが、レディメイド(既製靴)を製造・販売しているのはエルメス傘下のパリの方のみである。ロンドンの方は未だにビスポークのみを製作している。
靴職人一家に生まれたジョージ・クレバリー(George Cleverley)により1958年に創業された、英国を代表する老舗のビスポークシューズブランド。 ビスポークシューズの他、既製靴の靴も展開している。英国靴には珍しい、色気のあるエレガントなシェイプと「まるでグローブ(手袋)の様」と表現されるフィット感が高く評価されている。 親類であるアンソニー・クレバリー(Anthony Cleverley)は1990年代、ジョージクレバリーのプレミアムラインという位置付けで、自身のブランド「アンソニークレバリー」を立ち上げている。
代々木上原駅の、駅ビル内にある「GMT FACTORY」。親会社がトリッカーズ、サルトルの輸入・販売元なので、メーカーオリジナルのソール交換が出来るのが強み。靴磨きを始める方からベテランの方まで対応できるケアアイテムの豊富さもお店の魅力で、靴を履く人の気持ちを考えて自社で商品の開発も行っている。完成後のイメージのすれ違いを減らすため、店頭に修理が必要な靴を持ってきてもらい、対話をしながら受け付ける方法のみ修理を受け付けている。
スクエア(square)は英語で「四角」という意味で、靴のつま先部分が四角く角ばった形状、またはつま先が角ばった靴のこと。少し丸みを帯びた形状から、明らかに四角い形状まで幅がある。「フレンチライン」とも呼ばれる。 一般的な形状だがクラシックな印象が強いため、フォーマルやビジネス向き。クラシックでイギリス風のシルエットを持ち、どんなスーツにも組み合わせやすいと同時に、カジュアルな服装にも合わせやすい。 また、チゼルトウと同様に、足の親指から中指までがほとんど同じ長さのスクエア型を持つ足型と相性が良い。指先の負担が軽く、とても履きやすいことが特徴。
ストラップとバックルで足首や甲を固定する靴のデザインの総称。修道士(monk)が履いていた靴を起源とし、別名「モンクストラップシューズ」、サンダルの場合は「ストラップサンダル(strap sandal)」と呼ばれる。 「メリージェーン(mary jane)」「Tストラップシューズ(T-strap shoes)」「クロスストラップシューズ(cross strap shoes)」「アンクルストラップシューズ(ankle strap shoes)」「バックストラップシューズ(back strap shoes)」など、さまざまな種類がある。
日本語で「斜め・傾斜・坂」という意味の「スラント(slant)」という文字通り、斜めについたジャケットの腰ポケットのこと。乗馬中には体を前傾姿勢にしているため、ポケットが斜めに付くことにより、手をいれやすく、入れたものが落ちにくくなるという利便性からきているとされる。 また、水平ポケットと異なり、腰回りを中心にシャープな印象を与えることができるなど、スタイリッシュな着こなしが可能になる。 「ハッキングポケット」「スランテッドポケット」とも呼ばれる。
参考URLの写真を見ていただくとよく分かるが、靴紐周辺の縫い目の形状のことである。通常はまっすぐのステッチだが、くの字に曲がっているように見えるのがスワン・ネックである。 参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/445379/all/
つま先のブローギング(穴飾り)が一文字状で、他の縫い目にも同様な装飾が施されており、かつメダリオンがあしらわれた靴。 元々は、アイルランドやスコットランドで使われていた粗末な靴の水はけをよくするために穴を空けたことが始まりとされている。 ブローグには「クォーターブローグ」「セミブローグ」「フルブローグ」の3種類がある。また、ブローグ装飾には、つま先部分にキャップのように縫い目や線があるデザイン部分に穴の空いた装飾を加えた「パンチドキャップトウ」、靴の甲の部分や側面に穴の空いた装飾を施した「パーフォレーション」、革の断面が波形に裁断した「ピンキング」、つま先の部分に施された穴飾り「メダリオン」などがある。
大阪府船場にある登録有形文化財に指定された、地下1層、地上4階、塔屋1層の住宅兼事務所ビル。1925年の竣工時には、大変ユニークで革新的なビルとして注目を集め、現在もその姿を保っている。細長いパティオ風の中庭は、問屋街として発展した船場という土地柄に合わせて、トラックや荷馬車などを引き込むのに便利な機能性を重んじた設計だったといわれている。 バブル崩壊後には空室も目立ち、取り壊されかけていたが、当時入居していたE.M.I Projectの環境デザイナー・二見恵美子(ふたみ えみこ)の働きかけで改装されたことをきっかけに、モダンさと自然を感じられる空間へと生まれ変わった。 見学には事前連絡が必要。
革靴の構造を大きく分けると「内羽根式」と「外羽根式」がある。 革靴の紐を通すパーツ(鳩目、またはアイレット)が靴の脇から甲を覆う様な形状のこと。羽根が外側に開かないデザインの内羽根式とは異なり、羽根が外側に開く作りになっているため活動的な印象になる。靴の脱ぎ履きを素早く行うことができるため、狩猟用や屋外労働用などで用いられてきた。 「ブラッチャー、またはブルーチャー(blucher)」や、「ダービー(derby)」とも呼ばれる。
靴紐を結ばずに脱ぎ履きできるスリッポン(slip-on)にタッセルと呼ばれる房飾りがついたデザインの靴。 タッセルローファーとも呼ばれるが、厳密に言うと仕様によって異なった呼び名になる。靴先にU字形のモカシン式の縫い目や、甲部分にベルトが付けられているデザインが特徴的。1948年イギリスの老舗靴メーカー・オールデン(Alden)によって初めて製造され、その後ブルックスブラザース(Brooks Brothers)が1957年に製作し、アメリカの東海岸で大流行となる。学生時代にコインローファーを履いていた人たちが「ビジネスマンになってもローファーを履きたい」という思いから愛用されたことが人気の理由。
親指の付け根から踵のアーチ、所謂、土踏まずを指す。
ターンブル&アッサー(Turnbull&Asser)は、1885年イギリス・ロンドンで創業した英国王室御用達の老舗シャツメーカー。 モノトーンであった英国紳士ファッションに、ストライプや鮮やかなカラーのシャツを取り入れた立役者として有名になり、20世紀のメンズファッションにおけるシャツの歴史を築いてきた。派手めのストライプと大きめの衿がトレードマーク。 映画『007』シリーズの初代ショーン・コネリー(Sean Connery)からダニエル・クレイグ(Daniel Craig)まで歴代6人のジェームズ・ボンド役(James Bond)の役者たちが劇中でシャツを着用していることでも有名。また、ハリウッドスターやセレブを顧客に持つことでも知られている。
Daimler(ダイムラー)はドイツ・シュトゥットガルトに本拠を置く、乗用車及び商用車の世界的メーカー。メルセデス・ベンツはダイムラー社が所有する乗用車および商用車のブランドのこと。1887年に創業した「Daimler-Motoren-Gesellschaft」と1883年にマンハイムでガス機関工場として創業した「Benz und Cie.」が1926年に合併し、「ダイムラー・ベンツ(Daimler Benz)」となった。 合併後に販売されたクルマには、メルセデスベンツのブランド名が冠されている。ダイムラーは自動車のみならず、船やレールカー、気球、飛行船などにも自身が開発したエンジンを応用。その歴史は、現在のメルセデス・ベンツのブランドロゴである「スリー・ポインテッド・スター(ダイムラー社の活動が陸・海・空にわたることを示す)」にも残っている。 2021年末までに、トラック/バス事業を展開する「ダイムラー・トラック」を非連結化し、上場を目指す方針を発表した。高級乗用車と小型バンに特化するダイムラーは社名を「メルセデス・ベンツ」と改め、2つの企業に完全分割されることになる予定だ。
アウトソール(本底)とインソール(中底)の間にソールを挟んだ、二重構造のアウトソールのこと。 耐水性に優れていることから労働用の靴で使用されることが多く、アウトソールにボリュームを与えるためにデザインとして用いられることもある。 靴底が厚く丈夫という特徴がある一方で、履いた印象は固く、靴自体も重くなる。また、靴底が固いために歩行時の反り返りが少なく、つま先部分のアウトソールが擦り減りやすいというデメリットもある。
チゼル(chisel)とは、作業対象物のコンクリートやブロックなどを割ったり削ったりするハツリ・切断・はがし作業に用いられる工具。靴を横から見たときに、先端がノミ(チゼル)の先刃のように、靴底まで真っ直ぐ落ちるような形状になっているつま先のこと。つま先が角ばったチゼルに似ていることから、この名前が付いたとされる。 ラウンドトウと比べるとつま先が長いのも特徴的で、足の親指から中指までがほとんど同じ長さのスクエア型を持つ足型と相性が良い。
チャーチ(Church's)は、1873年創業したイギリスの老舗靴メーカー。現在は紳士靴として世界的に知られているが、創業当初はカントリーシューズやサドルシューズのような軍用靴を製造していた。 当時の靴は、左右の区別がなく真っ直ぐなもののみだったが、初めて左右のある靴を製造し、またサイズ展開にハーフサイズを取り入れるなどの革新的な試みを行ってきた。 他の老舗メーカーよりコストパフォーマンスがよく「英国の良心」と呼ばれていたが、近年はユーロ高・原油価格高、原皮の供給源の減少等により、値段も高騰している。王室御用達(ロイヤルワラント)の肩書きはないものの、その風格・デザイン・クオリティーは靴メーカーでもトップクラスを誇っている。 1999年以降はビジネスチャンスを拡大するため、イタリアのファッションブランド・プラダ(PRADA)の傘下に入っている。
チヨダシューズは、1924年に千代田機械製靴株式会社として創業した紳士靴メーカー。 太平洋戦争中は陸軍向けに軍靴の製造も行っていたが、戦後は生産拠点を新潟県加茂市に移し、ジャーマン(Jarman Shoes Company)やジョンストン&マーフィー(Johnston & Murphy)などアメリカブランドの紳士靴のライセンス生産で特に評価が高かった。 リーガルコーポレーションとは流通・販売面で以前から提携関係にあった縁で、今日ではその製造子会社として操業している。
靴を作るベースの木型(ラスト)において、ねじれた木型のベースのこと。 適度にねじれを入れることにより、歩行時の足の着地面を踵の外側と親指の付け根とする事で歩行を助け、紐部分より前方の甲革であるヴァンプ部分にシワが入りにくいといったメリットがある設計になっている。平均的な人の歩き方は、かかとの外側から地面に着地し、親指に向かって足の裏を斜めに体重移動するため、それに合わせて木型も少しねじる設計にしている。量産される既製靴ではほとんど使われない木型のため、靴好きにとっては憧れの木型。
織り物の三原組織の一つである「綾織り」の別名。厳密に言うと、縦糸3本に横糸を1本交差させた「四つ綾(3/1)」をツイルと呼ぶ。 織り目が斜めの畝状に見えることが特徴で、表面はしなやかでハリと光沢感のある生地。また伸縮性に優れており、しわになりにくいのも魅力。一方で、摩擦には弱いため、強くこすったりすると生地が劣化してしまう可能性がある。 代表的な生地にはインディゴ糸を使った綾織り物であるデニムを筆頭に、シャツ・ジャケット・ボトムなどの衣類を中心にさまざまな用途で使用される。
月型芯とは、靴のかかと部のアッパーとライニングの間に入れる、文字通り「月型(半円)」の補強芯のこと。カウンターとも言われます。靴のかかと部分は着脱によって繰り返し摩擦を受け消耗しやすい箇所で、月型芯は靴の形状維持やかかとを保護し安定させるために重要な部品です。 素材は、タンニン革とその床革(とこがわ)が多く用いられてきました。現在は、革くずをリサイクルしたレザーボードを靴型に合わせ成形したモールドカウンター、または合成シートを溶剤で柔らかくし成形するタイプが使われることが多いよう。
2021年3月に閉店した、ファッションセレクトショップの老舗「テイジンメンズショップ」の略称。 1960年に第一号となるお店を銀座4丁目をオープン。当初、メインアイテムはアイビーファッションの代名詞 「VAN」だったが、その後インポートアイテムを充実させ、今日言う「セレクトショップ」の草分け的存在だった。
チャーチの数ある代表作の中の一つ。「外交官」という意味を持つ人気のモデル。
デュプイ社(DuPuy)は、1948年フランスに創立した最高品質レザーを作るタンナー。 数多くの革メーカーが世界中にある中で、カーフレザーを作るタンナーの最高峰とも称され、「デュプイといえばフランス、フランスといえばデュプイ」と言われるほどの地位を確立している。 高級ファッションブランド、エルメス(Hermès)のバッグ「バーキン」や「ケリー」シリーズに採用されるなど、デュプイの革を使っていることが一種のステイタスになっていた。 2015年には、大口クライアントだったエルメスに買収され傘下に入った。
トゥルーフォーム(True Form)は、1891年ジョン・シアーズ(John George Sears)によってイギリス・ノーサンプトンに創業した靴メーカー。創業後すぐに弟のウィリアム・シアーズ(William Thomas Sears)が事業に加わった。 1897年には第一号店がオープンし、出張のセールスマンなどに頼らずに商品を流通させる方法を提供した。第一次世界大戦では従業員不足や、材料調達が困難になるなどの問題もあったが、ビジネスは好調で事業を拡大。その後、買収され現在に至る。 レディス靴をメインで作っていたため、紳士靴はとても貴重。
トゥールビヨンは、150以上ものパーツを組み合わせて作られている、製造することが最も難しいとされている時計のうちの一つ。 時計はポケットに入れたままにしたり、腕に付けて歩くなどの状態次第で、通常は重力により微妙なたわみが生じ、誤差が生まれてしまう。それを解決すべく、時計の精度をより上げるために作られたもの。このような圧迫や傾いてしまうことによってかかる「姿勢差」を消滅させるべく、機械自体を回転させ、姿勢を平準化させている。
ヒール本体を保護するために、ヒールの直接地面に接地している部分に取り付けられるパーツのこと。歩行によってヒールが擦り減ってしまっても、ヒールブロック(ヒールの本体)に問題がなければ、トップピースを交換するだけで靴を長く使用することができる。革靴であれば皮革素材が使用されることが多いが、最近では滑り止め効果のある合成樹脂のゴム素材が使用されることも増え、一般的になっている。 「ヒールトップリフト」「トップリフト」「化粧」「化粧革」など、さまざまな呼び名がある。
アウトソール(本底)とインソール(中底)の間にソールを2枚挟んだ、三重構造のアウトソールのこと。 カントリーシューズが起源となっているため、丈夫で歩行時の反り返りが少ないが、靴自体が重くなる。フォーマル向けのドレスシューズで採用されることは少なく、アウトドアで使えるレザーソールとしてカントリーシューズやブーツなどに採用されることが多い。 ドレスシューズで採用されているものは、1891年創業のフランスの老舗シューズブランド、ジェイエムウエストン(J.M.Weston)から展開されている「590 トリプルソールダービー」や「180 シグニチャーローファー トリプルソール」などがある。
ドレイクス(Drake's)は、1977年に設立された英国ブランド。創業者は、イギリス発祥の高級ファッションブランド、アクアスキュータム(Aquascutum)のアクセサリーコレクションのデザイナーとして活躍していたマイケル・ドレイク(Michael J. Drake)。 現在ではネクタイとシャツの英国に残る希少なファクトリーブランドとして、その地位を築いている。伝統的な素材の持ち味を引き出した高品質なプロダクトが揃う。
インソール(足の裏が靴に直接当たる靴の中底部分)と、アウトソール(地面に直接あたる靴の表底部分)の間のクッションのような詰めもので、緩衝や防水の役割を果たす。 イギリスのビスポークシューズには伝統的にタール漬けされたフェルトが使用され、既成靴ではスポンジやコルクなどが使用される。また、ヒールの高い靴はソール部分が曲線を描いているため、接合面を平らにするために使用される。 「フィラー」や「フィリング」とも呼ばれる。
ニコラストゥーシェク(Nikolaus Tuczek)は、かつてイギリス・ロンドンに存在したビスポークシューズ専門店。 高級靴の中でも最も入手が困難と言われていた靴の一つで、希少価値の高さから一部の愛好家には「幻の靴」と呼ばれていた。 世界最高峰のビスポーク職人ジョージ・クレバリー(George Cleverley)や、親族のアンソニー・クレバリー(Anthony Cleverly)などクレバリー一族が働いていたことでも有名。 1969年にジョンロブ(John Lobb)に吸収される形で消滅した。
ニューヨーカー好みでトラディショナルルックという意味で、1970年代後半にアメリカ・ニューヨークを拠点とするデザイナーや、老舗の紳士服専門店などを巻き込んで起こったトラッドの流行。都会的でシャレた雰囲気が特徴。日本でトラディショナル(Traditional)という意味で使用されるトラッドとという言葉は和製英語。 ラルフローレン(Ralph Lauren)、サル・セザラニ(Salvatore J.Cesarani)、ジェフリー・バンクス(Jeff Banks)、アラン・フラッサー(Alan Flusser)、ギャリック・アンダーソン(Garrick Anderson)といったデザイナーが活躍した。また、老舗のファッションブランド・ブルックスブラザーズ(Brooks Brothers)に対して、洗練されたポールスチュアート(Paul Stuart)などが注目された。
吟面を起毛させた毛足の短いキメ細やかで繊細な表情が特徴の革素材のこと。
ロンドンより南、電車で1時間半の町
1938 年、ドイツ生まれのハンス G・ノル(Hans Knoll)によってニューヨークに設立した家具メーカー。「Knoll社の歴史は、そのまま近代デザイン運動の歴史でもある」と言われるほどデザインに精通し、世界的に知られている20 世紀モダンデザインを追求・体現してきた。ハンスとビジネスパートナーであり妻であるフローレンス・ノル(Florence Knoll)の二人が続けてきたこのビジネスモデルは、1955年にハンスが亡くなった後もフローレンスがその意志を引き継ぎ、現代もなお受け継がれている。 また、ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)、エーロ・サーリネン(Eero Saarinen)、ハリー・ベルトイア(Harry Bertoia)など、時代の先端を行く建築家やデザイナーとのコラボレーションにより、20世紀のデザインに多大な影響を与えた。決して妥協せず作り上げられたプロダクトは、美と心地良さを備えた「使われる芸術品」と評価されている。
ノルウェーが発祥と言われる製靴方法。堅牢性のある作りで、コバの張り出しも少なく、無骨な見た目をしている。以前は登山・スキー用、軍用靴などに多く採用されていた。「ノルヴェジアン製法」「ノルベジェーゼ製法」「ノルウェイジャン製法」「ノーウェイジャン製法」など様々な呼称がある。 アッパーとインソールの底部に彫られた突起(ドブ起こし)をすくい縫いした後、アッパーの端をミッドソールとアウトソールと一緒に出し縫い(縫い目がコバ上に見える)して合わせる製法。 ソール部分を横と縦の2方向で固定し、ミッドソールを挟むことにより厚みが増し、突起物のある岩場でもブレることなく、安定感のある履き心地が得られる。
オークション業者が実施する競売のこと。 事前に出品予定の品をインターネットで確認することができ、限られた時間内で値段を競う。ビンテージ商品や、美術品、装飾品、洋服など多岐に渡るアイテムが目の肥えた売り手により出品されるため、コレクターたちの信用も厚い。 有名どころでは、サザビーズ(Sotheby’s)やクリスティーズ(Christie's)、ケリー・テイラー・オークション(Kerry Tayler Auctions)などがある。
靴や衣類、紙ばさみなどの、ひもを通す丸い穴。また、その穴を補強するためにつけるリング状の金具のこと。所説あるが、鳩の目に似ていることから鳩目という名前が付けられたと言われている。また、電子・電気の分野では「グロメット」と呼ぶ。 「アイレット」とも呼ばれ、レースステイやフェイシング(Facings)、クウォーターに付いている。その鳩目またはアイレットに沿って施される飾りステッチのことを「フェイシングステッチ」と呼ぶ。
ハンドソーン(hand sewn)とは「手縫い」の意味。靴の中底にアッパー(甲革)を吊り込み、ウェルトと呼ばれる棒状の細長い革を巻きつけながらすくい縫いし、最後にウェルトとアウトソールを出し縫いする製法。 一方で、甲革部分(アッパー)とソール部分を縫い合わせる「グッドイヤー・ウェルテッド製法」は、1870年代後半のアメリカが起源とされる。ハンドソーンウェルテッド製法は、グッドイヤー・ウェルテッド製法が主流になる以前に頻繁に使用されていた。
アッパーとインソール(中底)、それにアウトソール(外底)とを縫合する際に、靴の外周にウェルト(細革)と呼ばれるパーツを介在させる「ウェルテッド製法」のうち、少なくともアッパー・インソール・ウェルトをミシンではなく、人の手で一針一針縫い合わせる製法のこと。手間は掛かるが木型の形状をより忠実に再現できるため、見栄えに優れるだけでなく、足へのフット感が増し履き心地の良い靴に仕上がる。なお、それらをミシンで縫合する場合は「グッドイヤー・ウェルテッド製法」と呼び名が変わる。
高知県にあるトータルフットケア専門店。義肢装具及び、糖尿病やリウマチ等、比較的リスクの高い患者向けのオーダーメイド靴を扱うほか、ドイツ式フットケアも行っている。
元々は雄鹿の革のことをバックスキン(buckskin)と呼ぶ。 日本では古来からこの鹿の革を鎧や武器の装飾などとして使ってきたが、現在では極めて貴重なためヤギやヒツジの皮などの加工品も含まれている。キズが多いため、吟面(毛や表皮を除去した真皮の表面のこと)をサンドペーパーなどで擦って仕上げる事が多い。手触りが良く見た目も美しく、しなやかで丈夫なため、コート、ズボン、帽子などのレザーウェアや靴などに用いられる。
革の銀面(表面)をサンドペーパーで毛羽立たせる機械研摩の加工方法の一つ。 研摩粉を脂肪酸、硬化油、鉱油などで固めた油脂研摩材を、回転する布製の円板に塗り付けながら、革をそれに押し付けて研摩する。目的は光沢仕上げを与えることで、ヴィンテージレザーのような味のある風合いが生まれることが特徴的。 一般的に普及しているバフ掛けされた革の代表として、おもに牛革の「ヌバック(Nubuck)」と、おもに豚革の「スエード(suede)」がある。 「バフ仕上げ」や、「バニシング仕上げ」とも呼ばれる。
バリーニ(BALLINI)は、1925年イタリア・ミラノに創業した、年間わずか700足しか製造をしないという希少価値の高い有名ビスポークシューズブランド。 世界最高峰のタンナーであるデュプイ社(Tanneries du Puy)から厳選された子牛の革のみを仕入れ、フルハンドメイドで製造されていた。戦前は軍用の靴を主に製造し、王族や上流階級社会の人間を多く顧客に持っていた。 現在はスティヴァレリア・サヴォイア(Stivaleria Savoia)の経営に変わっている。
バークレー(BERKELEY)は、1890年に英国で創業し、革靴ブランドの中で最高峰の評価を得ているエドワードグリーン(Edward Green)が製造しているモデルの一つ。 ストレートチップの名作「チェルシー(Chelsea)」のトウキャップにブローギングが施された、パンチドキャップトウ仕様のモデル。 「でき得る限りの上質を求める」という創業以来の信念のもと、高度な技術と名作ラストを駆使した美しいドレスシューズを手がけ続けている。
バーバリー(Burberry)は、1856年トーマス・バーバリー(Thomas Burberry)によって創業したイギリスを代表するファッションブランド。 1879年、農民が汚れを防ぐために羽織っていた上着をヒントにギャバジンを考案。通気性に優れ、悪天候に強く丈夫な布地は、従来の重く着心地の悪かったレインウェアに革命をもたらした。 1912年にはイギリス人士官用に制作したタイロッケンコートの特許を取得。第一次世界大戦の折には塹壕(トレンチ)での戦闘に合わせて、タイロッケンコートに修正を加えたトレンチコートを開発し、終戦後には世界中に広まった。 日本では1969年に三陽商会へのバーバリーのライセンス生産を開始したが、2015年で契約満了となり終了。現在はバーバリー100%出資のバーバリー・ジャパンが販売を手がけている。
パターンオーダー(Pattern order)とは、オーダーメイドスーツにおけるオーダー方法の一種で、既製服とオーダーメイドの中間的なシステムのこと。 いくつかあるサンプルの中から、自分の体型に近いものを着用し、フィッターがピンで留めて体型補正を行ったのち、補正するデータをもとに縫製工場で仕上げる。生地、パターン、ステッチなど細部のこだわりまでオプションで指定できるものもある。 ちなみに職人が型紙から作り、縫製するオーダーをイギリスでは「ビスポーク(Bespoke)」、イタリアでは「サルトリアーレ(Sartoriale)」または「サルト」と呼ばれている。
パティーヌ(patine)とは、フランス語で「錆(サビ)」の意味。同じ呼び方・意味で「パティーナ(patina)」とも表記されるが、その場合はラテン語で「経年変化の味わい」という意味になる。溶剤、精油、顔料、および染料を塗布しながら、皮革の着色および漂白を行うこと。 また、色を幾重にも重ねて色彩を表現する、伝統的な革の染色技法のことを「パティーヌ仕上げ」と呼ぶ。色を重ねることによってできる透明感のある仕上がりや、使い込まれたような独特な色ムラが魅力。1980年代にフランスの高級紳士靴ブランド「ベルルッティ(Berluti)」により確立された革の着色、染色加工方法と言われている。
パラブーツ(Paraboot)は、1908年にフランスの小さな村でレミー・リシャール・ポンヴェール(Rémy-Alexis Richard)によって、アルピニストたち用の登山靴を作り始めたことで生まれた靴ブランド。1927年にはブラジルのパラ港から出荷される良質な天然ラテックスを輸入し、世界で唯一ラバーソールを自社生産すると同時にタウンシューズの生産も開始した。ブランド名はパラ港の名前に由来しているとされる。 オリジナルで開発した通常よりも多くの油分を含んだ耐水性製のとても強い「リスレザー」と、自家製ラバーソールが特徴的。また、長時間履いても疲れにくいことも人気の理由の一つ。
パンチドキャップトウは、革靴の爪先に一文字のステッチングとブローギング(穴飾り)を施したスタイルのこと。ブローギングがなく、一文字状のステッチングのみ施されたスタイルの靴は「ストレートチップ」という。 ただし「レースステイ横のステッチにパーフォレーションが施されているものは含まれるのか」といった意見や、「キャップにパーフォレーションをあしらうことを定義にしている」、「スロートラインまでパーフォレーションが入っていなければ大丈夫」と考える人がいるなど、定義が完全に定まらないのが現状。 ストレートチップと比べると、若干フォーマル度が下がるため、内羽根のパンチドキャップトウを積極的に作るメーカーは少ないとされる。
革靴のシューレースや踵部分にある、大きい穴と小さい穴を一定間隔で開けて組み合わせた帯状のデザインのこと。日本語で「穿孔(せんこう)」という意味。 元はスコットランド地方の湿った空気や泥水を発散する為に考案された、防水や汚れを防ぐものとされていたが、現在では装飾的な要素が強くなっている。 つま先部分に施された小さい穴のデザインであるメダリオンと、パーフォレーションなどの穴飾りが施してある靴を「ブローグ」と呼ぶ。
フルオーダーの形式の靴の別名。ラスト(木型)は職人が顧客の足の形や嗜好に合わせて、一つ一つ個別に作り上げる。デザインやディテールに関しても、他のオーダーに比べ自由度が大幅に高い。
靴のヒール部分が真っ直ぐではなく、若干えぐれながら落ちて行く様なフォルムを取った、ビスポークなどの高価な靴に見られる仕様。既成靴に採用されるのはエドワードグリーン(Edward Green)やガジアーノ&ガーリング(Gaziano&Girling)など、海外でも一握りのブランドのみとされる。 ヒールを先細りにするため、スッキリ見せながらもヒールアップが可能で、横から見た時のフォルムも美しいため、ドレッシーに見せる時にもこの加工が用いられる。また、見た目の美しさだけでなく、踵のホールド感も向上させている技術。
英国のタンナーでペボティ(Peabody)とも呼ばれる。高級紳士靴に革を提供するなど品質に評判があったのだが、1990年代に閉鎖したため、未使用の革が流通することはなく貴重。
元々の意味は、特殊なギザギザ歯のはさみで布や紙などの端を山形に切ること。ぬいしろの始末やほつれの防止、または縁取りの装飾などに用いられる。 革靴に使われる場合も同様に、各パーツのエッジがギザギザと波型にカットがされている部分を指す。穴飾り(パーフォレーション)やピンキングの装飾は、靴に傷がついても目立たなくするための飾りといわれている。アウトドアシューズの名残という一説もある。このような装飾が施されている靴の代表にウイングチップがある。
アメリカ・シカゴ発祥の老舗ファッションブランド・コールハーン(COLE HAAN)の名作と呼ばれる靴「ピンチペニーローファー(Pinch Penny Loafer)」のこと。 ちなみにイラストのペニーローファーは、1950年代にサドルストラップ(帯状の飾り)の切り込みに1セントコイン(通称:ペニー)をお守りとして差し込んで履き、それが流行となった。そこから「ペニーローファー(別名:コインローファー)」と呼ばれるようなり、アイビールックの定番シューズとなった。
ピール&コー(Peal & Co.)は、1791年にイギリス・ロンドンに創業したビスポークブーツメーカー。 既製靴だけでなくオーダーメイドにおいても、ウェリントン卿(Arthur Wellesley, 1st Duke of Wellington)やマウントバッテン卿(Louis Mountbatten, 1st Earl Mountbatten of Burma)、ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)、俳優フレッド・アステア(Fred Astaire)といった多くの著名人から注文を受けるなど、その品質は大きな信頼を得ていた。また、皇太子時代の昭和天皇も外遊された際に靴を作られており、これらの記録はロンドン市公文書館(London Metropolitan Archive)に所蔵されている。 1965年、商品の質を維持するだけの高度な技術を持った職人が見つからないという理由により廃業を決めた。
インソール(足の裏が靴に直接当たる靴の中底部分)と、アウトソール(地面に直接あたる靴の表底部分)の間のクッションのような詰めもので、緩衝や防水の役割を果たす。 イギリスのビスポークシューズには伝統的にタール漬けされたフェルトが使用され、既成靴ではスポンジやコルクなどが使用される。また、ヒールの高い靴はソール部分が曲線を描いているため、接合面を平らにする目的で使用される。 「フィラー」や「中物」とも呼ばれる。
フェイシング(Facings)とは、レースステイやアイレット、鳩目(はとめ)とも呼ばれ、靴や衣類、紙ばさみなどのひもをを通す部分。また、その穴を補強するためにつけるリング状の金具のことを指す。レースステイやクウォーターに付いていて、その鳩目またはアイレットに沿って施される飾りステッチのことを「フェイシングステッチ」と呼ぶ。 所説あるが、鳩の目に形が似ていることから鳩目という名前が付けられたと言われている。
フォスター&サン(Foster&Son)は、1840年創業のイギリスの老舗ビスポークシューズメーカー。創業以来、チャーリー・チャップリン(Charlie Chaplin)をはじめとする世界中のセレブリティから支持されてきた。 「生きた伝説」と呼ばれる木型(ラスト)職人のテリー・ムーア(Terry Moore)が働いていることでも有名。テリーが自宅作業中心になった後、テリーに師事していた靴職人の松田笑子(まつだ えみこ)が木型作りから、ほぼすべての工程をこなしていた。 1750年に創業した現存する英国最古のビスポークシューズメーカー「ヘンリー・マクスウェル(HENRY MAXWELL)」を傘下に収めたことでも有名。
イギリス・ウエールズ地方に端を発する、表面を特殊な加工により毛羽立たせた毛織物の総称。平織りのタイプと綾織りのタイプの2種類があり、現在では綿織物でも同じ加工が施されたものはフランネルと呼ぶ。 「ネル」と発音されることもあり、代表的なアイテムはフランネルの生地で作られたアメカジの代名詞ネルシャツがある。また、「グランネル」という言葉がなまったものとされ、ブレザーなどの生地としてもよく用いられている。その他にも「フラノ」と呼ばれることもある。
津田沼に直売店があるガレージセール。アメリカから輸入した1960年代以降の中古革靴を中心に、FLORSHEIM、Allen Edmonds、Johnston & Murphyなどの商品が豊富に取り揃えられている。目利きの店長と相談しながらゆっくり靴を選ぶことができるので、初めて中古の革靴を買う方におすすめ。ちなみに中古革靴を選ぶ㊙︎ノウハウは記事にもまとめられ購読も可能。
模型制作方法の一つ。フルスクラッチビルド(Full scratch building)の略称で、プラモデルなどの組み立てキットを使わず、材料を一から全て自分で加工し模型全体を製作すること。 各種材料を用いて模型を自作することを「スクラッチビルド(scratch building)」と呼ぶ。素材から削り出して作るものが多いことから、削るという意味の「Scratch」を用いた名がついたとされる。 厳密な定義は存在しないが、「セミ」「ハード」「フル」と段階分けすることで自作パーツの分量や加工度合を表現することができる。
手作業で甲革部分(アッパー)と底部を縫い合わせる靴製法の一つ。 底材が全て天然素材でできていることから、吸排湿性が良く、足ムレがしないという特徴がある。一方で、複雑な構造のため多くの材料と技術と時間がつぎ込まれることによりコストがかかり、軽さや屈曲性にも限界があるといった一面も持ち合わせている。 市販の靴では、この複雑な手縫い靴の製法(特に中底とウェルトを縫い合わせるすくい縫い)を機械化した、「グッドイヤー・ウェルテッド製法」の靴が高級本格靴としては一般的。
フルブローグ(ウイングチップ)とは、つま先にウイング(羽)のようなW字型の革の切り返し飾りと、穴飾り(ブローグ)が全体に施された革靴のこと。見た目が華やかなのが特徴的。 元々は、アイルランドやスコットランドで使われていた粗末な靴の水はけをよくするために穴を空けたことが始まりとされている。 ブローグには「クォーターブローグ」「セミブローグ」「フルブローグ」の3種類がある。また、ブローグ装飾には、つま先部分にキャップのように縫い目や線があるデザインに穴飾りを加えた「パンチドキャップトウ」、靴の甲の部分や側面に穴の空いた装飾を施した「パーフォレーション」、革の断面が波形に裁断した「ピンキング」、つま先の部分に施された穴飾り「メダリオン」などがある。
19世紀中頃から20世紀初頭にかけて使用された昼間の男性用礼装。ジャケットやコートの打ち合わせ(服の前部の左右が重なり合う部分)のボタンが2列に並ぶダブルブレストのものが主で、黒色のものが正式とされる。 現在の昼間の正礼装とされている「モーニングコート」の前に正礼装として着用されていた昼の礼服・フォーマルスーツで、現在のモーニングコートの形の原型。フロックコートとシャツ、ベスト、ズボン、ネクタイで一揃いとなる。 現在では、打ち合わせのボタンが1列のシングルブレストも多く見られるようになり、主に結婚式で使用される程度に留まっている。
フローシャイム(Florsheim)は、1892年アメリカ・シカゴでミルトン・フローシャイム(Milton Florsheim)によって創業したアメリカの老舗靴ブランド。 アイビー文化を代表するアメリカントラッドブランドの代表として名を轟かせた。ドレスシューズからカジュアルシューズまで幅広く展開。コストパフォーマンスが高いベーシックラインもあれば、「インペリアル」や「ロイヤルアンペリル」などの最高級皮革コードバンを使った高級ラインも揃う。 現在はアメリカ製ではなくなっている。
耐久性や光沢などを強めるために、1873年創業したイギリスの老舗靴メーカー・チャーチ(Church's)が主に用いていた、樹脂加工を施したガラス革のこと。 プラダ(PRADA)に買収される以前の旧チャーチに使用されている。一般的な樹脂加工に比べ薄くコーティングしているため、しわの入り方が通常のカーフに近いのが特徴的。 現在は、環境への配慮や、作業に携わる人たちへの健康の影響を配慮して薬品を変えた「ポリッシュドバインダー」が使用されている。ブックバインダーカーフよりも厚くコーティングされているため、より一般的なガラス革に近い質感になる。
靴メーカー「リーガルコーポレーション(当時の会社名は日本製靴)」が当時手がけていた最高級ラインの一つ。イギリスのファクトリーで制作された靴をリーガルネームで提供していた。
ブルックスブラザーズ(Brooks Brothers)は、1818年ヘンリー・サンズ・ブルックス(Henry Sands Brooks)によって設立されたファッションブランドで、アメリカでは初となる既製服ファッションの大規模小売店。 「最高品質の商品だけをつくり、取り扱うこと。適正な利益のみを含んだ価格で販売し、その価値を理解できる顧客とのみ取引すること」を基本理念に掲げ、顧客にはアブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)や、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)などの歴代米大統領からフレッド・アステア(Fred Astaire)、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)などの有名人やポップスターからハリウッドスターまで、多くの有名人が名を連ねている。 アイビールックの伝統的なブランドとして、アメリカンクラシックの伝統を現在も継承し続けていると共に、ボタンダウンシャツやノンアイロンシャツなどを初めて商品化するなど、伝統を大切しながらも新たな境地への挑戦を続けている。 1979年には日本にも上陸を果たしている。 米国本社は長らく創業のブルックス家自身が経営していたが、1970年代以降は米国の百貨店連合FDS、英国のスーパーマーケット・マークス&スペンサー、そしてイタリアのサングラスメーカー・ルクソティカの創業家へとオーナーが次々と変化した結果、2020年に経営破綻。現在はアメリカのブランドグループ・スパーク傘下で再建中。
レザーにあける穴の装飾、またはそれが施された靴のこと。メンズのドレスシューズなどによく使われるデザイン。 元々は、アイルランドやスコットランドで使われていた粗末な靴の水はけをよくするために穴を空けたことが始まりとされている。 ブローグには「クォーターブローグ」「セミブローグ」「フルブローグ」の三種類がある。また、ブローグ装飾には、つま先部分にキャップのように縫い目や線があるデザイン部分に穴の空いた装飾を加えた「パンチドキャップトウ」、靴の甲の部分や側面に穴の空いた装飾を施した「パーフォレーション」、革の断面が波形に裁断した「ピンキング」、つま先の部分に施された穴飾り「メダリオン」などがある。
つま先や甲周りに何も飾りが施されていないシンプルなデザインのこと。そのためカジュアルスタイルにもビジネススーツにも幅広く合わせやすい一足。「プレーン フロント(Plain Front)」とも呼ばれる。 バリエーションとしては、履く人から見て羽根がVの字に切り替えらえた「Vフロント」や、一枚革を贅沢に用い踵にのみ縫い目がある「ホールカット」などもある。外羽根式か内羽根式かによっても見た目の印象が変わるが、黒と内羽根式の組み合わせは更にかしこまった印象になるためタキシードや燕尾服、夜宴の礼服とも相性が良い。
1923年、東京・神田小川町に創業した靴の名店。オリジナル・チャッカブーツでも有名。 建物は戦後のものだったが、1993年9月には10階建ての平和堂ビルに建て替えられ、「靖国通りから平和堂靴店の角を入って~」など、目印として使われるほどだった。平和堂靴店には熱心な顧客が多かったため、閉店が発表された当時は多くのファンに惜しまれたが、2006年3月26日に長い歴史に幕を閉じた。 現在はビルの名称も「いちご神田小川町ビル」に改名されている。
ヘンリープール(Henry Poole & Co)は、1806年にリネン商として創業した、イギリス・ロンドンのサヴィル・ロウ(Savile Row Street)最古の仕立て屋。創業以来、同族経営によって伝統を受け継ぎ、その質の高さ、知名度からヴィンテージでも高額で取り引きされている。 1976年にエリザベス女王からイギリス王室御用達(ロイヤルワラント)の称号を授与された。日本人の著名な顧客には昭和天皇、吉田茂元首相、白洲次郎など多岐に渡り、1923年には宮内庁御用達にも認定された。皇太子時代の昭和天皇からの書状が本店に展示されている。
ヘンリーマックスウェル(Henry Maxwell)は、1750年に英国で誕生した英国最古のビスポーク靴ブランド。 初期は乗馬ブーツのビスポークなどを制作していたが、後に紳士革靴なども手がけるようになる。1823年には、イギリス国王のジョージ4世(George IV of the United Kingdom)からロイヤルワラント(英国王室御用達)に認定される。それ以後、ロイヤルファミリーをはじめ英国の上流階級の人々だけを顧客としていたが、後にドレスシューズのビスポークを手掛けるようになる。 現在は、ロンドンのジャーミン・ストリートにあるビスポークの名店、フォスター&サン(FOSTER&SON)の傘下となっている。
ヘンロン社(Heng Long)は、シンガポール最大のクロコダイル革(ワニ革)加工メーカー。 原皮の調達から最終加工まで最新技術が取り入れられている自社工場で一貫して行われ、世界でもトップクラスの品質と言われている。 エルメス(Hermès)、ルイヴィトン(Louis Vuitton)、プラダ(Prada)、アルマーニ(Armani)を始めとする、多数のラグジュアリーブランドを顧客に持ち、常に最高品質のワニ革を提供している。
ベイカー(J.&F.J.BAKER Co.Ltd.)は、イギリス・デヴォン州で、ローマ時代から経営を続けていたタンナーを買い上げる形で1862年に創業した老舗タンナー。 近年タンニンなめしを行う他の業者は、アフリカなどの樹の皮が使用されることが多い一方で、ベイカーは世界的に珍しい伝統的な手法を用い、オークバーグの皮から抽出されるタンニンエキスを使用する製法にこだわっている。1枚の皮を革へとなめす工程には、1年半を必要とする。 日本では「J.ベイカー」や「ベイカー」と呼ばれている。
靴のウェスト(底面から見た土踏まず部)を極限まで細くし、ウェルトからアッパーに沿わせ、ラウンドエッジに仕上げる意匠のこと。 革靴をよりスタイリッシュ、かつエレガントに見せてくれる。近年、ウェストを単に細くしてベベルド風に見せている既製靴があるが、本来のベベルドウェストとは靴底の一層目であるウェルトを靴底の二層目である本底により巻き込んで隠しているものを指す。それにより、ウェストが絞られている事は勿論のこと、横から見た際に、ウェスト部分のみが一層だと見間違う程に薄く見えるといった、手仕事でなければ表現し得ない技術がともなっているため、ビスポークの可能性が高いと言える。
ベルルッティ(Berluti)は、イタリア生まれの靴職人アレッサンドロ・ベルルッティ(Alessandro Berluti)が1895年にフランス・パリに創立した、フランスの高級紳士靴のブランド。 使用する革は、様々な色を塗り重ねる技法で、深みのある独特な美しい色つやをだすベネチアンレザーと呼ばれる最高級品で、柔らかく・しなやか・容易に型崩れしない強靭さも備えたもので、ベルルッティのみが使用を許された門外不出の革と言われている。靴のほかにもアパレル、アクセサリー、バッグ、ベルト、財布、手帳など幅広く展開している。 日本国内には10店舗がオープン。2019年にはアジア地域で初めてのオンラインショップが日本でスタートした。
ベンズレザーとは、牛の腰からお尻部位にかけての部分から採れる牛革のこと。馬革のコードバンにあたる部位で、一頭から僅かしか採れない希少なレザーで牛革の中でも最高ランクに属します。 特徴は、硬く分厚いこと。繊維の密度が高く革も厚いため、靴底やベルトなどとして使用されることが多いようです。 耐久性に非常に優れており、美しい経年変化が楽しめるのも魅力です。
南米の熱帯雨林に生息する哺乳類。銀面(革表面)には3つの連なった特徴ある毛穴があり、その革は厚みがあるにも拘わらず素晴らしい柔らかさをあわせ持つ。
ペルソール(Persol)は、1917年にジュゼッペ・ラッティ(Giuseppe Ratti)により創業したイタリアのアイウェアメーカー。イタリア語で太陽のためという意味の「Per il Sol」を語源としている。アメリカのレイバン(Ray Ban)に対して、イタリアのペルソールと対に出されるほどの地位を得ている。 イタリア空軍向けのサングラスを納入したことが、今日の繁栄の礎となった。トリノ市電の運転手向けのサングラスとして開発されたティアドロップ型のモデル「649」や、それを折り畳めるようにし、俳優スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)も愛用した「714」などが有名。
1979年に講談社から創刊された情報雑誌。 創刊当初は若者向けであり、バブル期にかけては若者のデート文化を育てるうえで影響を与えて人気を獲得していた。2004年に25年の歴史に幕を閉じたが、10年の時を経て「40オヤジの現実に向き合える本音マガジン」というテーマを掲げ、デジタルマガジンとして復活。スマートフォンやタブレットに特化したことより、いつでもどこでも気軽に読めるデジタルマガジンへと変貌を遂げた。ターゲット層はかつての愛読者だった今の40代男性で、恋愛や趣味、ファッションなどを紹介する情報雑誌となっている。
襟羽がほぼ180度まで開いたタイプのシャツ襟のこと。水平に近いという意味で、英語の「Horizontal(ホリゾンタル)」からその名がついた。「カッタウェイ」とも呼ばれる。 襟の種類には、一般的な「レギュラーカラー」、襟の開きが約90度の「セミワイドカラー」、約100度~120度の「ワイドカラー」などがある。 着用時に襟が開いているのでネクタイのノットが目立ちやすく、ウィンザーノットなど大きめな結び目でも上品な印象を与えてくれる。また、やや小衿に見えるため、着こなしをすっきりと見せることもできる。
ホーウィン社(Horween Leather Company)は、イシドール・ホーウィン(Isidore Horween)によって、1905年アメリカ・シカゴで創業した北米で唯一コードバンを生産するタンナー。 革は全てステアハイドと呼ばれる牛革の中で一番の強度を誇る、生後3~6ヶ月以内に去勢された生後2年以上の牡牛の革を集め、選別している。肉牛として飼育された牛からとれる副産物のため、牛革のなかではもっとも流通量が多く安定した生産が可能。職人が1枚1枚の革を丁寧に磨き、手作業で6ヶ月の時間をかけじっくりなめしているため、非常に柔らかくてしなやかな仕上がりが特徴的。 「クロムエクセルレザー」と「シェルコードバン」が特に有名で、シェルコードバンは「革のダイヤモンド」とも呼ばれている。
銀面を付けた状態でクロムなめしをごく短時間施し、タンパク系の仕上げ剤で表面を美しく処理した柔らかな子牛革のこと。縦横両方向にロール処理で四角形のシボを付けるのみで、その他の余計な加工はほとんど施さない。牛革において高級素材の一つとされ、鞄や財布などにも使用される。 クロムなめし銀付き革の代表的なものとされ、光沢のある黒色革。褐色のものはウイローカーフという。 現在はボックスカーフという名目で生産されている中で四角いシボのボックス仕上げをしたものは少なく、粒状の模様をつけたシボ革であるスムースグレインが一般的。
ポールスチュアート(Paul Stuart)は、1938年アメリカ・ニューヨークの中心であるマディソン・アベニューの45番地(45st, Madison Ave)に、アイビーリーグ出身者を対象とした高級紳士服専門店として設立されたファッションブランド。ブランド名の由来は創業者ラルフ・オストロフ(Ralph Ostrove)の長男の名前からとったもの。 当初はアイビースタイルが強いデザインであったが、英国的なエレガントな要素を取り入れることで、流行を取り入れるだけでなく、時と場をわきまえた上品さも忘れないスタイルを長年に渡り貫き、アメリカのみならず世界の男性を魅了してきた。 1938年にオープンした第1号店は1700坪まで拡大され、今もニューヨークの象徴的な建物になっている。1978年にはポール・スチュアート・ジャパンが設立され、日本にも上陸を果たし、現在100店舗以上の店を展開している。
英語でマッド(mad)は「泥、ぬかるみ」、ガード(guard)は「守る」という意味から、マッドガード=「泥除け(madguard)」のこと。革靴ではアッパー(甲革)とソールの接合部分にぐるりと巻きつける、革やゴム素材でできているパーツで、横に厚みがあるソールのように見える。泥除けとしてだけでなく、装飾として用いられることもある。 クレープソールの靴や、汚れの手入れがしにくいスウェード素材をアッパーに用いた靴に使用されることが多い。特にチャッカブーツ(くるぶし丈で複数の紐穴を持つ革靴)によく見られる。
1908年にフランスの小さな村でレミー・リシャール・ポンヴェール(Rémy-Alexis Richard)によって、アルピニストたち用の登山靴を作り始めたことで生まれた靴ブランド「パラブーツ(Paraboot)」から発売された靴の一つ。 フォック(PHOQUE)と呼ばれるアザラシの皮革とパラブーツの大定番のひとつ「ミカエル」を用いたシリーズ。2009年にEUがアザラシ製品の輸出を禁止したため、現在では生産終了となってしまった激レアモデル。
ミマツ靴店は、東京・神保町交差点に店舗を構える創業60年余の老舗紳士靴・婦人靴専門店。 「トレンドに左右されず、お客様が年齢を重ねていっても通える店に。良い靴をより安く。」をモットーに、多くの靴好きに今も変わらず愛され続けている。国内外の様々なブランドの靴を豊富に取り揃えており、有名ブランドや質の良い掘り出し物が見つけられるお店としても知られている。
宮城興業は、1941年に高橋明良(たかはしあきら)が宮城県仙台市に創業した、グッドイヤー・ウェルテッド製法の靴メーカー。 「和創良靴・謹製誂靴」という信念のもとに、一貫してグッドイヤー・ウェルテッド製法にこだわり続けている。大手セレクトショップのOEM(受注生産)や、独自のカスタムメイドシューズシステムにより、オーダーシューズをより身近なものにした。 現在は既製靴のフラッグシップブランド「MIYAGI KOGYO」も展開されるなど、品質の高さから国内外の多くのファンに支持されている。
イタリア語では「Su Mizura (ス・ミズーラ)」に該当する英語「Made-to-Measure(メイドトゥメジャー)」。日本ではパターンオーダーとも呼ばれているオーダーメイド方法で、基本的にサンプルとなるゲージ(着用サンプル)を着用し、フィッターがピンなどで留めて体型補正を行い、補正するデータをもとに縫製工場で仕上げるシステムのこと。ちなみに職人が型紙から作り、縫製するオーダーをイギリスではビスポーク(Bespoke)、イタリアではサルトリアーレ(Sartoriale)と呼んでいる。
チャネル(またはチャンネル)とは、革靴のウェルテッド製法などでアウトソール(表底)やインソール(中底)を縫い付ける時に、糸が通りやすいようそれぞれの縁に掘られる溝のこと。日本では「ドブ」と呼ばれることもあり、溝を掘る工程を「チャネリング」や「ドブ起こし」と呼ぶ。 革包丁でチャネル(メス)を入れ、その部分を広げて糸を縫う、チャネルの処理方法の一つ。縫い終わりに広げた部分を閉じると、縫い目が隠れて一本の線のように仕上がる。手間の掛かる処理方法のため、主に高級革靴で見られる。
革靴のつま先周辺(チップ)に施される、小さい穴(パンチング)をたくさん開けた穴飾りの装飾のこと。 元々は狩猟用靴の靴内の湿った空気を逃がすためのもので、スコットランドが発祥とされている。そのため、メダリオンのある革靴はカジュアルディテールという解釈になり、メダリオンのない革靴ほど冠婚葬祭に適しているとされる。大きさと開け方で、各靴メーカーが違いを出している。 メダリオンのついた靴は、総称してブローグ(brogue)と呼ばれる。
メッシーナ(Messina)は、1973年~1977年に創業の誂え靴店。伝統的な手法を守り続けるブランド。
1884年に設立されたアメリカの老舗革靴ブランド・オールデン(Alden)のデザインの1つ。 アメリカでは土踏まずが高い足の人たち(ハイアーチ)が多く、歩く際にバランスを崩し、時には痙攣を起こす程だったが、このデザインによりハイアーチの人たちを救ったと言われている。特徴としては、土踏まず部分が思いっきり絞ってあり、他の部分は一般的な革靴よりも、ゆとりのある設計になっている。独特な形と履き心地から熱心なファンも多い。
親指の付け根から小指の付け根に掛けてのアーチを指す。
乗馬ブーツに使用される爪先側が一直線のヒールのデザインのこと。 1791年に創業したビスポークブーツメーカー、ピール&コー(Peal & Co.)は、このデザインをハウススタイルに取り入れている。
ライニング(lining)とは、裏地および裏地をつける作業(裏打ち)のこと。 摩耗の防止や滑りをよくするために取り付けられる。また、透ける布の場合にその防止のために付けられる。 洋服の場合は保温機能も兼ねているため、冬のスーツを仕立てる場合は全面に裏地がつく「総裏仕立て」、夏のスーツやジャケットを軽く涼しく仕立てたいときには、「半裏仕立て」が主流。素材も豊富で、一般的に使われるポリエステル裏地や、コットンの再生繊維となるキュプラ裏地、アルパカ、夏にはメッシュ裏地などがある。
ラウンド(round)は英語で丸いという意味で、靴のつま先部分が丸みを帯びた形状、またはつま先が丸みを帯びた靴のこと。「ブル型」とも呼ばれる。 丸みが緩くコロッとした印象のものから、シャープな印象のものまで幅があり、丸みが緩いものほどカジュアルな印象となる。逆に、つま先が尖っているスタイルのことを「ポインテッドトウ」という。 男性用の革靴はもちろん、かかとが低い女性靴やヒールの高いパンプスやサンダルなどにも用いられる。
1886年、英国ノーサンプトン州の郊外・デスバラーにて創業した英国靴ブランド「ジョセフチーニー(Joseph Cheaney)」の創業130周年を記念して、2016年に登場した木型(ラスト)のこと。 同社の125周年記念で発売された木型「125」をリモデルしたもので、甲周り・土踏まず部の双方がタイトになり、スマートな印象に仕上がっている。また、つま先も綺麗なアーモンドトウで、セミスクエアな125とは対照的。
1886年、英国ノーサンプトン州の郊外・デスバラーにて創業した英国靴ブランド「ジョセフチーニー(Joseph Cheaney)」が古くから用いている木型(ラスト)のこと。ドレス系の原点とも言うべき古典的な木型と言われている。 自然なフィット感と、古典的なセミスクエアトウが特徴的。かつての大定番木型「73」に似たシェイプだが、今日では通常のモデルには用いられておらず、ショップ別注のようなものでしかお目に掛れない代物となっている。
革靴を製作するときに、木のブロックから大まかに削られた木型(ラスト)のこと。大まかに削られただけなため、全面を全て削り込めるラフな形状。 パターンオーダーの木型(ラスト)のように、オーダーした人の足型に近いサイズではなく、足の形をしながらもハウススタイルのモデル各サイズ3倍くらいの大きさがある。 現在はオリジナルの木型を作成し、修正する場合はパテを盛った後にグラインダーで削り、ヤスリなどで仕上げるといった行程が一般的。
ラベンハム(LAVENHAM)は1969年に創業した、英国のキルティングコートブランド。 現在も元の工場の敷地からわずか6マイル(約10㎞)の場所にあるサフォークの自社工場で丁寧に作られている。耐久性と品質の高さで有名な英国ファブリックメーカーとの取引が多く、中綿は65%がリサイクル繊維で、イングランド北部から供給されている。 1978年に発表されたダイヤモンド・キルティング・ジャケットは機能性だけでなく、ファッション性も兼ね備え、ラベンハムを代表するアイテムとなった。また、1993年のA.P.C.とのコラボレーションを皮切りに、多くの有名グローバルブランドとコラボレーションを行っている。
ラルフローレン(Ralph Lauren)は、1967年にアメリカ・ニューヨーク出身のラルフ・ローレンによって設立された、アメリカのファッションブランド。 ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)のネクタイ売り場を担当していた時に考えた、贅沢な素材を使った4インチ幅のワイドタイを売るアイディアが爆発的な大ヒットとなり、1967年に自身のネクタイ店を開業。自身のブランドである「ポロ(Polo)」 を含む高級ネクタイの販売業を始めたことがブランドの始まり。 イギリスの伝統的なスタイルをアメリカントラッドやアイビーファッションに取り入れ、機能性とカジュアル感を出した新しいスタイルを打ち出した。 現在は最高級ラインのパープルレーベル(Ralph Lauren Purple Label)を始めとする、7つのラインで展開している。また、テニスの全英オープン(ウィンブルドン)のスタッフのユニフォームや、オリンピック・パラリンピックのアメリカ代表公式ユニフォームを担当するなど、その名は世界的なものとなった。 「生涯一つのブランドを着続けなくてはいけないというルールがあるならば、間違いなくラルフローレンを選ぶ」と言われるくらい魅力があると言われている。
英語でオックス(Ox)は「雄牛」、ハイド(Hide)は「革」、つまり雄牛の革(または、皮)という意味。 1873年創業したイギリスの老舗靴メーカー・チャーチ(Church's)独特のシボのある分厚い革が特徴的。また、経年による色の変色や、磨くとあめ色に光るといった性質を持っている。 プラダ(PRADA)に買収される以前の旧チャーチの靴に使用されている。この革を使用した靴は、中古革靴として世間によく出回っている。
レイバン(Ray-Ban)は、アメリカの企業・ボシュロム社(Bausch & Lomb)によって1937年に創立した、サングラス・メガネを展開するグローバルリーディングブランドの一つ。 米軍パイロットが太陽光線により飛行中に視力を悪くしたことをきっかけに、アメリカ空軍に委託され、紫外線・赤外線をカットできる「レイバングリーン」が1930年、米空軍に「アビエーターモデル」として正式に採用された。このモデルが一般に発売されるようになり、1937年には「光を遮る」という意味の「レイバン(Ray-Ban)」としてブランドが誕生した。 1986年には、アメリカ・ファッション・デザイナー協議会(CFDA)から「世界最高級のサングラス(The World’s Finest Sunglasses)」の称号を得た。また、レンズ分野において優れていたボシュロムの技術を基盤にしていたため、他のサングラスに比べて工学的にも作りがしっかりしていた。 1999年にファッションブランドの眼鏡を扱うイタリアのルックスオティカ(Luxottica)に買収された後、グループの主要ブランドになっている。
レースアップ(lace upまたはlaced up)とは、紐靴や紐で編み上げた靴のことで、甲側に紐がある「フロントレースアップ」と呼ばれるデザインが多い。一方で、踵に紐があるタイプは「バックレースアップ」と呼ぶ。 アイテムとして表記される場合は「レースアップシューズ」や、「レースアップブーツ」と呼び分けられる。また、甲を靴紐で結ぶ丈の低い短靴で革靴の総称でもある「オックスフォードシューズ」は、レースアップシューズの代表格と言われている。
銀座にお店を構える紳士靴店。英国製紳士靴の素晴らしさを日本に知らしめた、最大の立役者。
「王室御用達(Royal Warrant)」の意味。世界各国の王室に対して、商品やサービスを提供できる選ばれたブランドや会社に授けられる称号を指す。 英国王室では、1840年にロイヤルワラントホルダーズ協会(The Royal Warrant Holders Association)が発足したことが始まり。現在はエリザベス女王(Queen Elizabeth II)、エジンバラ公フィリップ(Prince Philip, Duke of Edinburgh)、チャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales)の3人のみが称号を与える権利を保有。高級ブランドに限らず生活消耗品や食品に至るまで、現在800以上の企業と個人が英国王室御用達の栄誉を得ている。 指名されたブランドは協会に加盟し紋章を掲げることができるが、称号は5年ごとに品質やサービスなどを協会から厳しく審査されるため、厳格な制度としても知られている。
ジョンロブ・パリ(John Lobb Paris)の愛称。 1866年、靴職人だったジョン・ロブ(John Lobb)がロンドンにビスポーク専門店を開設したことが始まり。その後2代目が開設したパリの支店が1976年に経営難でエルメスの傘下に入り、この段階でロンドンとパリとで経営権が完全に分離された。ジョンロブロンドンは「ロブロンドン」と呼ばれる。 1990年代までのロブパリは、無骨でトラディショナルなイギリス人の父と、洗練された雰囲気のあるフランス人の母の間に生まれたような、二国間の特徴を兼ね備えた革靴を生みだしていた。曲線のデザインなどにフランスの洗練されたエッセンスが漂っていたが、21世紀以降はそのエッセンスがさらに色濃くなってきている。
Uチップのバリエーションの多さはフランス要素が入っているシューメーカーならでは。なぜなら、Uチップはフランスでの狩猟靴としての印象が強い靴(ちなみにイギリスでは狩猟靴専用のデザインは特になく、フルブローグを着用するのが一般的)。
足の甲の部分にU字型のパーツが縫い付けてあり、その上に飾り帯状の革が付いた紐がないタイプの靴。 英語でローファー(loafer)とは「怠け者」という意味で、靴紐を結ぶ必要がなく、簡単に脱ぎ履きできることが名称の由来と言われている。また、紐もベルトも付いていない靴のことを総称して「スリッポン(slip on)」と呼び、スリッパのように足を滑らしてサッと履けるのが特徴的。 カジュアルシューズに分類されるため、正式なビジネスシーンで履くことは好まれない。
ワインハイマー・レーダー社(Weinheimer Leder)は、環境問題による制約で2000年に廃業したドイツの名門タンナー、カールフロイデンブルグ(Carl Freudenberg)の製法を継ぎ、2003年にドイツで創立されたタンナー。アルプスの山々で丁寧に育てられた仔牛の皮を原材料として仕入れ、伝統的な鞣し技術により高品質なカーフレザーを製造している。 カールフロイデンブルグはボックスカーフ製作で非常に有名で、元々ボックスカーフはカールフロイデンベルク社製のカーフを指していた。そこから次第に最高級の品質を持つカーフの一般名称として用いられるようになった。
1979年に創業したワールドフットウェアギャラリー(World Footwear Gallery、WFG)は、日本だけでなく海外ブランドの靴を幅広く取り扱い、革靴先進国の文化と革製品の魅力を伝えている。 トリッカーズ(TRICKERS)、ビルケンシュトック(Birkenstock)、パラブーツ(Paraboot)など、数多くの人気靴ブランドを日本に紹介し卸売りをしてきた。近年は、日本人の魂が宿る「ジャパンクオリティ」の発掘にも注力している。また、コンシェルジュサービスや、アフターケア・リペアサービスも非常に充実している。
アッパーのレースステイよりも手前全体を覆い、「爪先革」とか「プラグ」とも呼ばれます。その領域には足幅や足囲が最大となる親指の付け根から小指の付け根にかけて、すなわち歩行の際に動きの要となる領域(ボールジョイント)が含まれます。よって着用中にはアッパーの中で最も激しく曲げられてしまう部分であり、革製のドレスシューズの場合、お手入れを怠ってしまうと最もひび割れを起こしやすい箇所でもあります。ここの長さや地面に対する角度次第で、同じスタイルや同じサイズの靴で合っても靴の表情は大きく変化します。 飯野高広『紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで』、朝日新聞出版、2010、p.25 引用。