クウォーターとは?

アッパーのレースステイよりも後ろ全体を覆う部分のことで、「腰革」とも呼ばれます。特に親指側のクウォーターは、人間の直立歩行を可能にする「土踏まず部の縦のアーチ(第一のアーチ)」を外側から支える領域なので、ここをいかに局面的かつ三次元的に仕上げるかが靴の履き心地を大きく左右することになります。目に付きにくい部分ではあるものの、手作業を中心に丁寧に作り込まれた靴とそうでないものとが一発で判別できる箇所です。また、この部分の木型への「添わせ方」が最も美しく表現できる素材が、牛革を代表とする伸縮性に富んだ天然皮革なのです。

飯野高広『紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで』、朝日新聞出版、2010、p.26 引用。

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