#僕の会いたい本物のクラフトマン
靴磨き職人である石見豪さんが、関西で活躍して気になる職人(=クラフトマン)を尋ねる記事をご紹介します。本物のクラフトマンには卓越した技術だけでなくセンスも必要。そのセンスの根源とは一体なんなのか。連載を通して探っていきます。
ビスポークテーラー「Sartoria Raffaniello」 ――不撓不屈の職人 ――
インタビュー第5弾は、Sartoria Raffaniello(サルトリア・ラファニエッロ)代表、テーラーの東徳行(ひがし のりゆき)さんを訪ねました。
ストラスブルゴの専属テーラーとして、その名を知る読者も多いと思います。是非彼に誂えてもらいたいというファンを世界中に持つ、人気の職人です。
そんな氏が遂に独立し、先月10月、大阪・北浜の船場ビルディングにビスポークテーラーをオープンされました。
今回のインタビューでは、ストラスブルゴで展開していたレーベル「Sarto Domenica(サルト・ドメニカ)」ではなく、ラファニエッロを屋号にした背景や、職人同士の横の繋がりに触れながらも、人となりを中心にお話を伺いました。
芸術大学を卒業し、リングヂャケットに7年間勤め、本場ナポリでの修行を経て、ストラスブルゴの専属テーラー、そして独立へ。いかにも順風満帆に見える、その裏側にもフォーカスし、センスの根源を探っていきたいと思います。私自身の経験や思いと重なり、話に耳を傾けながら涙腺が緩むのは、初めてのことでした。
お直し(オルタレーション)Laboratorio ――我が道を行く実力者――
インタビュー第4弾は、Laboratrio(ラボラトリオ)代表、お直し職人の羽賀友一郎氏を訪ねました。
羽賀さんがお店を構える船場ビルディングは、私の店の所在地でもあるので、氏とは普段から顔を合わせています。何度スーツを直してもらったかわかりませんが、私が羽賀さんにお願いするのは、決して近しい間柄だからではありません。
羽賀さんが、国内有数のスーツブランドであるリングヂャケットのファクトリーで、今や世界的なテーラーとなった同志たちと切磋琢磨された後、洋服のお直しの老舗店、心斎橋リフォームに9年間勤め、重要なポジションを任されたという、文句なしの実力者だからです。
今回は、そんな経歴を持っていながら、彼が表立って語らない「職人、羽賀友一郎」の個人史にフォーカスしたいと思います。