無罪/大岡昇平

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新潮文庫

大岡 昇平(1909年3月6日 - 1988年12月25日)は、小説家・評論家・フランス文学の翻訳家・研究者。今日では『俘虜記』『レイテ戦記』といった戦争ものが最もよく知られていますが、創作のバックボーンであった仏文学にとどまらず、幅広い分野に強い関心を抱き続け、文壇を代表するディレッタントでした。手がけた作品のジャンルも多様です。推理小説の愛読者でもあり、1950年代には海外推理小説『赤毛のレッドメーン』(イーデン・フィルポッツ作)や『すねた娘』(E・S・ガードナー作)を翻訳、自らも推理小説を執筆して、とりわけ『若草物語』の題で連載し、後に『事件』と改題した作品は日本推理作家協会賞を受賞し、映画やテレビドラマになるなど、高い評価を受けています。

『無罪』
裁判の進行につれて現われてくる複雑な事件の背景と、人間性の不可解な謎。アメリカ裁判史上の汚点として名高い「サッコ・ヴァンゼッティ事件」、イギリスの逆転判決で世間をわかせた「アデライデ事件」など、英米の著名な陪審裁判を題材に、事件の発生から捜査・起訴・法廷・判決までを克明に追究し、興味深い人間のドラマを浮彫りにする。劇的な緊迫感のみなぎる13の裁判物語。

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