ロシア・アヴァンギャルドを読む

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RUSSIAN AVANGARD
ソ連芸術記号論
イヴァノフ/ロートマン他著
勁草書房
1984年11月10日発行

ロシア・アヴァンギャルドは、19世紀末以来とりわけ1910年代から、ソビエト連邦誕生時を経て1930年代初頭までの、ロシア帝国・ソビエト連邦における各芸術運動の総称。
第一次世界大戦前の初期においてはキュビスム、未来派、ネオ・プリミティヴィスムなど、同時代のモダニズム運動との共通性が顕著でした。第一次世界大戦中に、カジミール・マレーヴィチに代表されるシュプレマティスムが台頭、ロシア特有の芸術運動となりました。
1917年のロシア革命後は表現上の革新と政治革命が相互作用。戦時共産主義期間には、プロパガンダ・アートの分野(ビラ、ポスター、宣伝列車等)で利用され、ウラジーミル・タトリン等に代表されるロシア構成主義が台頭しました。
1920年代にはレーニンが主張していた一部市場経済化容認期において、芸術と生活と社会主義的な産業化のトリアーデの一致をめざす様々な分野(建築、プロダクトデザイン、写真、映画等)で、その可能性を開花させました、モダニズムから派生したアヴァンギャルド芸術は当局からも支持され、ソ連の高等芸術学校ヴフテマスが設立されました。
1923年にはウラジーミル・マヤコフスキーがレフ (ロシア・アヴァンギャルド)を結成しました。
<詩・文学>
ウラジーミル・マヤコフスキー、ヴェリミール・フレーブニコフ
<音楽>
ニコライ・ロスラヴェッツ、アルトゥール・ルリエー、アレクサンドル・モソロフ、セルゲイ・プロトポポフ、イワン・ヴィシネグラツキー、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
<映画>
セルゲイ・エイゼンシュテイン、ジガ・ヴェルトフ
<演劇>
フセヴォロド・メイエルホリド
<デザイン・美術>
ロシア・アヴァンギャルドに含まれる芸術理念には、主に次の3つがあります。いずれも過去の様式を断ち切り、革命以後の新たな生活様式をデザインしようとしました。
・レイヨニスム
・シュプレマティスム
・ロシア構成主義
<美術>
ワシリー・カンディンスキー、エル・リシツキー、リュボーフィ・ポポーワ、アレクサンドル・ロトチェンコ、パーヴェル・フィローノフ、カジミール・マレーヴィチ
<建築>
社会主義革命によって新生するユートピアの都市・建築が構想され、ウラジーミル・シューホフらの作品の他、ウラジーミル・タトリンの「第三インターナショナル記念塔」、ヴェスニン兄弟の「労働宮殿計画」、エル・リシツキーの「空中オフィス計画」など、モダニズム建築をよりラディカルに採り入れた計画が続々と現われました。

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