時をつかむ線  ロートレック展  続き

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。

南仏でもっとも古い貴族・代々軍人の家系。
ロートレックの両親はいとこ同士、血の濃さが災いして体が弱く
13~14歳の時に大腿骨を相次ぎ骨折したことが原因で、身長150センチほどで成長が止まる。
17歳のとき、画家になることを決心し、動物画家ルネ・プランストーに師事。
師の作品を模写しつつ、馬や騎馬の様子を好んで主題に描く。

1874年に「第1回印象派展」が開催されるなど、パリで新しい美術動向の機運が高まるなか、貴族と下層の人々が集うモンマルトルに興味を抱き、同地を活動の拠点にする。

89年、モンマルトルにダンスホール「ムーラン・ルージュ」がオープン。
支配人から制作を依頼されたポスター《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリカ》で一躍人気画家となる。

モンマルトルのスターを素早いデッサンと大胆な構図で描いた《ムーラン・ルージュ》、
人物を醜くデフォルメすることで、都市に生きる人々の内面を表現した《ムーラン・ルージュにて》、
浮世絵の影響を受けた《ディヴァン・ジャポネ》などの代表作を生み出す。
いっぽう、娼婦たちの日常を題材とした作品を版画集『彼女たち』にまとめて出版。

娼館で女性たちと生活をともにしながら、観察者としてではなく、障害を持つ自身もその一員であるかのような共感のまなざしを向ける。
ポスターだけでなく、出版社から作品掲載の依頼も多く、人気画家の地位を不動のものとする。

晩年は、モンマルトルでの奔放な生活が招いたアルコール依存症に苦しみ、
1901年に37歳で両親に見守られながら逝去。

日本では、三菱一号館美術館の「モーリス・ジョワイヤン コレクション」に、ロートレックのリトグラフ・ポスター250点以上が収蔵されている。

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