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最近・心に響いた1冊  「ヒトラーの時代」

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「ヒトラーの時代」 ドイツ国民はなぜ独裁者に熱狂したのか  池内 紀 著/中公新書 

泡沫政党だったナチスの党首アドルフ・ヒトラーは、熱狂的な人気を獲得し、権力の座に駆け上がった。
独裁制はなぜかくも急速に実現したのか。ドイツ国民がそれを支持した理由は何か。 あのドイツでである。
第一次世界大戦の敗戦国ドイツは1921年、 途方もない賠償金を連合国により課せられた(ベルサイユ条約) 
これによりドイツ通貨は崩壊を招く。1ドル350マルク →1ドル10億マルクと、何年にも及ぶ過酷なインフレが発生し、国民生活は破綻した。
1922年 ヒトラーはベルリンで「ベルサイユ条約は恐るべき虚偽の上に成り立っており、我々はその条約の履行を拒否する、諸君は自ら欲するところを成せ」と演説。 
「未来か滅亡か」誇りある未来か負け犬の滅亡か。これ以上なく判りやすい。 賠償問題を契機に超過激派とみなされていた弱小政党が、次第に人々をとらえていく、 それはマルクの下落と並行していた。
1933年政権略取 ワイマール共和国 → ヒトラー独裁へ  
テロや革命でなく、国民選挙で・・・
アウトバーン建設、フォルクスワーゲン(国民車)の生産、労働環境の改善、社会福祉の拡充と言った巧みな施策。

600万人を超えていた失業者が、数年で半減した。
労働条件の改善・社会保障と老齢福祉の大胆な試み。
そして、1936年のベルリン・オリンピック

「もしこの独裁者が政権4年目頃に死んでいたら、ドイツ史上、最も偉大な人物の一人として後世に残ったであろう」とジョン・トーランドに、言わしめた。
本日配信された日経電子版 Global Foresight / 高坂 哲郎
「民主主義は人類のつくった政治体制の最終形態」と楽観的に語る向きもかつてはありましたが、
現実には民主主義が崩壊し、悪しき独裁に堕してしまう史実もあります。
典型は、ワイマール共和国時代の末期にナチス・ドイツの台頭を許したドイツでした。
ナチスはクーデターで政権を奪取したわけではなく、選挙での躍進を経て合法的に政権を獲得し、その後に暴力的手法も使いながら独裁体制を構築しました。
ナチス政権が、民主主義の中から誕生したことを忘れるべきではありません。
トランプ氏が次期大統領選へ向けて、活動を強めていることへの批判記事です。