「ヴァニタスの静物画」 国立西洋美術館
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17世紀オランダのピーテル・クラースゾーンの絵画「ヴァニタス」に、懐中時計が描かれている。
上野の国立西洋美術館で「ヴァニタス」を見た時の驚きは、言葉にならなかった。
浅学の身ゆえ、
時の経過を知る仕組みは、凡そ7000年程前から認識されていたということぐらいしか覚えは有りませんでしたが、
この「ヴァニタス」には、
400年も以前の科学の結実が、機械式懐中時計として明確に描かれていた。
燃えつきて煙がかすかに上る蠟燭立て、
倒れたグラス、
時の経過や有限の生命を表す懐中時計、
ぼろぼろに朽ちた書物に紙とペン、
このモチーフのすべてが人間の宿命としての死を忘れるなという教えだ。
髑髏が全てを象徴する。
この世の栄華、富、知識、快楽などの虚しさの意味を持つ。