ラウル・デュフィ 『電気の精』(la Fée Électricité)壁画

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8月25日まで、東京国立近代美術館で開催されている「TORIO パリ・東京・大阪モダンアート・コレクション」

ラウル・デュフィの『電気の精』10点組のカラー・リトグラが展示されている。
この作品は、1937(昭和12)年パリ万博・電気館パビリオンのための壁画の1/10の縮小版だ。

現物は、パリ市立近代美術館の中心部に展示されている、縦10×横60メートルの壮大な壁画。
1937年パリ万博 電気館のテーマとして制作された、ラウル・デュフィの代表作。
ラウル・デュフィ 60歳。

1937年のパリ万国博覧会。
電気やエネルギーなど近代文明の進化を讃えるためのパビリオン「電気館」が設けられ、大盛況を博した。

開催の1年前、電気館の顔となる大壁画を請け負った人物こそがラウル・デュフィだった。

1851年に始まった万博は、産業革命により飛躍的に発展した科学技術などの成果を大々的に披露するための催し。

特に開催国は高い産業力を他国に誇示すために趣向を凝らした。

機械類のような産業分野に属するものの他、工芸品や絵画、彫刻に至るまで多くの産物が出品された。

さて、デュフィが請け負うことになった壁画の大きさは、何と横60m、縦10m。
とてつもなく巨大なスケールに、
何をどう表現するかデュフィは悩む・・・・

思案の末主題に選んだのは、電気にまつわる科学者や哲学者を讃える壮大な叙事詩。
108名の英雄たちが登場する。

画面の右から左へと繰り広げられる物語の始まりは古代ギリシャ、

アルキメデス、タレス、アリストテレスのいる牧歌的風景から始まる。

古代ローマのコロッセオや橋、工場などが現れ、都市文明の進化が描かれていく。

電気の発達が全体的テーマのため、蒸気機関や煙突のついた工場群、機械などあまり絵画では見られないモティーフの数々が印象的だ。

さらに画面左へと時は流れ、人間の叡智の進化や近代文明をオリンポスの神々が祝福。
最後に、
地上からの光を浴びて「電気の精」が飛翔するシーンで遠大な叙事詩はで締めくくられている。

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