レメディオス・バロ   魔術的な不思議な世界 続き

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レメディオス・バロ・ウランガ(Remedios Varo Uranga, 1908~1963)はスペイン・ジローナ生まれのシュルレアリスムの画家。
後にフランスを経て、メキシコに移住した。

ダリも在籍していたというサン・フェルナンド美術アカデミーで学ぶ。

よく足を運んだプラド美術館で魅せられたヒエロニスム・ボッシュの禁断の絵に、
バロが探求する精神世界が色濃く反映されている。

ときに、心理学や精神医学の領域に踏み込みながら、科学の論理や秩序を巧みにもちこむ手法である。

「魔術」や「錬金術」が、モチーフに現れるようになり、徐々に神秘的な傾向が強くなってくる。
具体的には、星や月、鳥といった錬金術的アイテムが多くとりあげられている。

代表作とも言うべき『星粥』(最初の画像) 
かごの中の月の赤ちゃんに、星を砕いて作ったお粥を与える情景を描いた、何ともファンタスティックな作品です。
また『星の狩人』(#2画像)では、虫取り網(星取り網?)で星を捕まえる女性が描かれている。

スイカやトマトの果汁を吸うベジタリアンの吸血鬼『菜食主義の吸血鬼たち』(#3)、
床に敷き詰められた市松模様の絨毯と服が一体化した「無用の科学あるいは錬金術師」(#4)
セミの羽根を有した学者が不毛な土地(広島や長崎の被爆した野をイメージしている)に植物をみる「突然変異した地質学者の発見」(#5)
妖精が木漏れ日の光の帯で弦を弾く『ハーモニー』(#6画像)

ナチス戦乱にともない1941年にメキシコに亡命する。
同時代の画家、フリーダ・カーロとの交流もあり、その画風を成熟させていく。
バロの絵がもっとも充実していたのはパリから移り住んだメキシコ時代である。

メキシコの地には、創造に欠かせない魔術的な特別なアウラが漂っていたのかもしれない。

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