Geoffrey Bawa の世界  Heritance Kandalama (ヘリタンス・カンダラマ)

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紅茶を飲みながら・・・ フ~ッと、一息。
 
2016年 初夏に訪れたスリランカ。
インドの南、ラッカディブ海に浮かぶ、光り輝く宝石の国 と紹介される、人口2100万人の島国。

スリランカの建築家ジェフリ-・バワ(1919~2003)の建築探訪です。
土地の風土文化に根ざし自然と一体になることを目指した彼の建築。

Heritance Kandalama (ヘリタンス・カンダラマ)
眼前に広がるのは広大な貯水湖、
湖を望む高台の岩盤に寄り添うようにこのホテルは建てられている。

湖に張り出すようにプールが設けられ、プールの縁が水面すれすれにあるため「縁のない」ように見える水辺が遠くの湖面へとつながっている。
プールの人工的な直線が、有機的な自然に貫入することで、より印象的に自然を感じる。
「インフィニティ・エッジ」と呼ばれる、水際がそのまま風景とつながる仕様の、原型が設えられている。

また岩盤を、意図的に建築内部に侵襲させて野生を感じさせる。
赤道に近い熱帯雨林、植物も旺盛に繁茂する。
鉄とコンクリートで出来た建物の大半は、蔓など多肉系の植物で覆われ、自然と混然となって建築の全容を知るのは難しい。 客室の窓には、サルに注意とある。
自然や土地の恵み、スリランカの風と光の素晴らしさを享受したことでした。

アマンなどのアジアンリゾートの源流とも言われる。
他に、Jetwing lighthouse Galle, The Bluewater Wadduwa, などのホテルや、
自宅「No11」、ヴィラ「Boutique 87」などなど。
熱帯特有の環境を取り込んだトロピカル建築、
ハイエンドのバワ空間を視察~体験したのでした。

最後の画像は、途中の村で見かけたカソワリ(火食いどり)体長2mにもなるそうな
エミューとは異なる種とのこと。
オーストラリアやニューギニア周辺に棲息する火喰鳥は、
喉の赤い肉垂が火を食うように見えたのが名の由来という。

さて、そのスリランカが混乱の渦中にある。
コロナ禍による観光の低迷、食糧価格の高騰、停電。
通貨下落で、生活必需品の不足や高騰が深刻だ。

国民の怒りは長年にわたるラジャパクサ 一族の支配そのものに向けられた。
ラジャパクサ兄弟を裏で支えてきたのが中国。
結果、債務返済に窮したスリランカ政府は、
南部ハンバントタ港の99年間の運営権を中国に与えてしまった。

その昔、大英帝国が、清国から「香港」を略奪したように・・・・
援助と引き換えに権益を奪われる「債務のワナ」の典型と指摘される。

1951年のサンフランシスコ講和会議。
外務省によれば、スリランカ(当時セイロン)代表で後の大統領、ジャヤワルダナ氏は
「憎悪は憎悪によって止(や)まず、愛によって止む」と仏典の言葉を引用し、
賠償請求権を放棄し日本を国際社会に受け入れるよう訴えた。

優しい国が陥った混乱。 そこで暮らす人々の不安ははかり知れない。

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