- 0318 Museum
- 150F NAWCC National Association of Watch and Clock Collectors
- 垂揺球儀(すいようきゅうぎ) 考
垂揺球儀(すいようきゅうぎ) 考
垂揺球儀(すいようきゅうぎ)とは、江戸時代に作られた和時計。
振り子時計の一種であり、振り子の振動回数を表示し、そこから時刻を求めることができる。
また、振り子の振動を維持するための動力源や伝達機構が備わっている。
江戸時代に天体観測や改暦などの用途で使用されたほか、
伊能忠敬の全国測量の際にも携行された。
(詳しく知りたい方は WIKIPEDIA へ)
16世紀後半にガリレオ・ガリレイによって「振り子の等時性」の法則が発見された。
オランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスはこの法則を利用して、
1656年に振り子時計を発明した。
その後もヨーロッパでは振り子時計の改良が続いた。
一方、当時の日本では西洋の技術は伝わりにくかった。
そのため、天体観測で時刻を知る必要があるときは、振り子時計ではなく、
百刻環と呼ばれる日時計や、漏刻(水時計)などを使っていた。
1720年(享保5年)には洋書の輸入が一部解禁されたが、振り子時計の技術がすぐに伝わることはなかった。
日本に振り子時計を伝えたのは、1748年(寛政元年)に持ち込まれた書物『霊台儀象志』である。
この書はベルギー出身で清在住の南懐仁(フェルディナント・フェルビースト)が1674年に漢文で書いたものである。
同書には「垂線球儀」という項があり、ここに、振り子を使って時間をはかる方法が簡単に記されている。
さらに、「新製霊台儀象志図付録儀象志図」の中に、振り子を使った時計の図が描かれている。