赤坂 一ツ木通り 「白 妙」

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コレクターには、「これダ~!」
「これしかない!」と思い込んでしまったアイテムが、必ずあります。

津軽のじょっぱり 川越さんの場合は「ユンハンスのスリゲル」でしだ。

とにかく、壁という壁にはビッシリ、 ユンハンス・・・だらけ。

壁に掛けきれない分は、家中の、押入れという押入れに、ビッチリと積み上げられていた。

何んと!!600台だと言う。
 
コレクター駆け出しは、「これ、どうするんですか~」と、呆れ果ててしまった。

その川越さんが、私が持参した写真を見て、
「あんたも、道楽者だな~」と、やさしく 津軽弁で言われた。 
 
忘れられません。  
 
そう云う私も500台をとっくに超えてしまったのだ・・・・
欲張った挙句、シックリこないものもも混ざってしまう。→ そぎ落とすこと

蒐集は、足し算と引き算。
成熟したシンプルさが理想のクオリティ。
その境地に、なかなか達せない。

さて、しばらくたって‘76年ご子息が 赤坂一ッ木通りに、洋菓子店を開業されたことを知りました。 

チーズケーキが人気で、「an an」等の女性誌にたくさん取り上げられ、大評判の店になりました。

2階の喫茶室の漆喰壁には、ユンハンスの逸品が掛けられている、

来し方・行く末 の時を静かに刻んでいました。

あの600台はどうなってしまったのか?・・・

川越さんの鮮烈な記憶を思い浮かべるが、何処にも面影はない。

お嬢さまは画家を志し、当時フランスに留学中とお聞きしました。

「白妙」のロゴや、ドァハンドル、サインデザインなど隅々に、

お嬢さまの心意気が込められている、と思い廻らせております。

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