古典屋  続きの つづき・・・ ANSONIA STAR cc - 086

1

やがて、この京橋・梅田ビルも周辺の再開発に伴い、取り壊しとなる。
'79年、古典屋は、渋谷区東の明治通り沿いへと移っていった。 
時代も「生活骨董」から「アンティーク」「キュリオ」へと変わっていく。 
古典屋の変遷史は、1970年代から90年代へ向かっての首都・東京の大改造をガリガリと進めた高度成長経済の裏面史を見る思いがする。

'93年の桜の花も散りはじめた頃でした、 久しぶりに古典屋を訪ねた。
店の前の道路は工事中で、桜の花びらと埃が風に舞っている休日の昼下がり、
「こんにちヮ~」と後ろ手にガラス戸を閉める。 
騒音はプツッと消え、店内には、静寂が戻った。

木村さん(先代の御子息)は留守で、奥さんが出ていらした・・・ 
あれやこれやと暫く店の中をさ迷う。以前の圧倒的な量感はない。  
二言・三言言葉を交わしながら、出されたお茶を頂く。
 
ブルーガラスの宮型とansoniaのキャレッジクロックに心を定め、
値を尋ねる。 
「主人は00万円と言っていますが、売れるわけは有りません」
「あなたが買いたい値段で結構ですから、どうぞおっしゃって下さい」
 
初めての経験だった。
日日の家計を与る主婦の生活感覚と余りにもかけ離れた世界だったのだろうか?

Ansonia carriage clock STAR time & alarm saca 1900 最初の画像です。

勿論、私にも衿侍がある。 
失礼な値を付けることは決して無い。

基本的にアンティークの世界は、「一物一価」
売りたい人と買いたい人の心持ちが揃って、初めて値が決まり、ものが動く。

Default