みんなのコレクションが集まるミュージアム

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Cambrian period

現代に存在する大半の動物門が出現したとも言われるカンブリア紀に、三葉虫もまた登場しました。この時代に巨大な眼や硬い外骨格などの基礎的な構造を発達させたこの生物は、ペルム紀の終わりまでの約3億年の長きに渡り、大繁栄を遂げる事となります。 カンブリア紀の三葉虫は一般的に、平坦でかさのない種が多いのですが、そんな二次元的な制約の中でも、その姿・形は驚くほどの多様さをみせ、我々の目を大いに楽しませてくれます。 アメリカ、中国、モロッコ、欧州などの多種多様なカンブリア紀の三葉虫をご紹介します。

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    Olenellus fremonti

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    Norwoodia boninoi

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    Lochmanolenellus trapezoidalis

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    Wanneria walcottana

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    Tricrepicephalus texanus

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    Spinamacropyge daliens

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    Lochmanolenellus trapezoidalis (2)

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    Albertella longwelli

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    Olenellus fremonti

    カンブリア紀の巨大なオレネルス、オレネルス・フレモンティ (Olenellus fremonti) です。
    オレネルス類はカンブリア紀を代表する一派で非常に多くの種がいますが、その多くは似通った形状をしており、なかなかその区別は難しいです。

    この中でも、オレネルス・フレモンティは頭鞍が発達しており、頭鞍先端が頭部の辺縁に重なる事から、比較的容易に区別が可能です。100mmを越える巨大なサイズにまで成長する事も特徴的で、本標本も150mmをオーバーしており、大迫力の標本であります。5億年以上前の化石ですが、まるで母岩の中を泳ぎ回っているようなハッとする美しさと生々しさがあります。私のコレクションを代表する重要標本であります。

    オレネルスは当時大繁栄した種であり頭部標本の部分化石だけならば、出回る機会は比較的多く、オレネルスの中で比較的希少なこのフレモンティでも、しばしば頭部化石を見かけます。一方、オレネルスは胸部〜尾部が脆弱で、余程の幸運に恵まれなければ化石化しにくい種でもあります。それ故、このように全身が残る標本はかなり希少と言えます。頭部化石のそれなりの多さと、全身化石の希少さを総合的に考慮して、レア度としては★3としました。

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    • 登録日:2020/6/7

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    Norwoodia boninoi

    カブトガニの子供の化石 !?
    一目みて、そんな印象を受ける方も多いのではないでしょうか?

    こちらはノルウーディア・ボニノイ (Norwoodia boninoi) 、正真正銘、三葉虫の化石です。アメリカのユタ州のウィークス累層 (Weeks Formation) で産出する有名種であります。

    ウィークス累層は、赤色〜黄色の母岩が特徴的なカンブリア紀中期の著名な産地です。現在は採掘が禁止されており、新規標本を得る事はできません。故に、現在市場に出回るのはオールドコレクションのみで、数が限られております。

    本種は、そんなウィークス累層の中でも産出量の少ない希少種です。特徴的な三日月のような頭部、長い尾部の棘など、カブトガニを彷彿とさせる形状を持ち、その見た目の面白さからも、非常に人気が高い種であり入手は困難です。

    何故こんな形をしているのでしょうか? そこに答えはなく、想像するしかありませんね。
    このような形態の多様さこそが、三葉虫、ないしは古生物の世界の面白さをより駆り立ててくれます。

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    • 登録日:2020/6/19

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    Lochmanolenellus trapezoidalis

    ネヴァダ州のポレタ累層 (Poleta fm) で産出するこの怪物は、ロクマノレネルス・トラペゾイダリス (Lochmanolenellus trapezoidalis) と呼ばれています。胸部の一部と尾部を欠いた部分化石ですが、70%程が残っていて、全体像がよく分かります。8枚目写真に見るように、この種の幼体、及び別種のオレネルス類 (Teresellus goldfieldensisか?) のventralも共産しております。

    最も最初期に誕生した三葉虫のオレネルスの仲間ですが、実際、累層の時代はカンブリア紀初期 (Lower Cambrian) と非常に古い時代の種です。

    なんと言っても、この種の特徴は、頭部から巨大な頬棘が2対出ている事 (Double genal spinesなどと呼ばれます) で、このような特徴を持つ三葉虫は、私の知る限り、ロクマノレネルスの一派だけです。類似種に、ロクマノレネルス・ペンタゴナリス (Lochmanolenellus pentagonalis) という種がいて、こちらもやはり、Double genal spinesを持ちます。体全体が三角形で、デッサンが狂っているような種です (褒め言葉です) 。どちらも、他のオレネルス類とは一線を画す見た目で、実に奇妙な印象を与えるロマン溢れる種であります。

    本標本のように巨大になり得る種です。写真7枚目では、私の手持ちの中でもトップ5のサイズを誇る154mmのオレネルス・フレモンティ (Olenellus fremonti) と並べてみましたが、もし完全体なら、更に一回り上回りそうで、170mmぐらいあるんじゃないでしょうか。

    この種の完全体は極めて貴重で、おそらく世界に10体となく、入手は困難というよりほぼ無理です。レア度は文句なしの★5つです。

    下世話な話、この標本もかなり高価でしたが、完全体となるとちょっと良い車レベルの超高価格帯となります。しかしながら、私はこの種に惚れ込んでしまっているので、無理と分かりつつも、いつか何とか完全体を入手してみたいものです。

    私の三葉虫蒐集の一つのゴールであります。

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    • 登録日:2020/6/9

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    Wanneria walcottana

    ワンネリア・ワルコッターナ (Wanneria walcottana) です。広い意味でのオレネルスの仲間で、Olenelloidea (オレネルス超科) に属します。

    今にも消え入りそうで、どこか儚い印象すら受ける、オレネルス属 (例えば、オレネルス・ギルベルティ (Olenellus gilberti) など) と比較すると、全体的に外殻が厚くて力強い印象を受けます。幅広の体型が特徴的でもあり、この標本のように大型の個体が多く、華がある種です。私はオレネルス類が特に好きなのですが、オレネルスマニアにとっては、この種はマストだと感じます。

    産地がペンシルバニアのキンザーズ (Kinzers) とやや特殊な所です。他の種のオレネルス (例えば、巨大なオレネルス・ゲッティ (Olenellus getzi) など) も産出します。入手元によると、30年以上前に産地閉鎖し、現在は駐車場になってしまっているようです。その為、本種含め同産地の種の入手は限定的です。

    他、市場で見かけるワンネリア属としては、カナダのワンネリア・ドゥンナエ (Wanneria dunnae) という種も居て、本種と似た風貌をしております。ただ、こちらは本種に輪をかけて希少な種で、入手困難種であります。

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    • 登録日:2020/6/19

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    Tricrepicephalus texanus

    トリクレピケファルス・テキサヌス (Tricrepicephalus texanus) 。
    有名産地ウィークス (Weeks) 累層産の三葉虫で、この地を代表する有名種であります。

    一見ケイルルスの仲間のようにも見えますが、旧分類ではプティコパリア目 (Ptychopariida) に属しております。それらの仲間はエルラシア・キンギ (Elrathia kingi) をはじめとして、一般的にはシンプルで、ゴテゴテした装飾がない種が多いのですが、この種は力強い尾棘がある事が特徴的です。実際、この尾部の棘がなければ、他種に埋もれて今ほど有名な種になっていたとは思えません。尾棘に加えて、比較的目立つ頬棘の絶妙な組み合わせが、本種を唯一無二の存在にしています。シンプルながら、とてもバランスが良く美しい種だと思います。

    もしも、誰か初めて三葉虫を見る人に対して、『三葉虫というのはこんな感じ』という見本を見せたい場合には、私ならこの種をチョイスするかもしれません。ウィークスというよりは、三葉虫全体を代表する種の一つと言っても、過言ではないと感じます。

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    • 登録日:2020/6/17

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    Spinamacropyge daliens

    こちらは、スピナマクロピゲ・ダリエンス (Spinamacropyge daliens) 。
    中国でも南に位置し、ベトナムとも接している、広西チワン自治区のサンドゥ累層 (Sandu formation) 産の種であります。サンドゥ累層はカンブリア紀でも、オルドビス紀にほど近い時代の産地であり、カンブリア〜オルドビスの生物の変遷がよく分かります。最近研究もホットになりつつある時代であります。

    本種はそんなサンドゥの、それなりの希少種。半円状の頭部、長い頬棘、美しく流れるような胸棘と、なんとも美麗な種であります。サンドゥ産は妙な形状の種が多いのですが、そんな三葉虫群の中にあって、この種は正統派な見た目です。ぼんやりとした、境界不明瞭な保存状態の標本が多いのですが、この標本は細部に至るまで奇跡的な保存状態で残っています。

    スピナマクロピゲ (Spinamacropyge) の名が示すように、棘を持つ (spina) 大きな (macro) 尾部 (pyge)が特徴的で、特に尾部の形は団扇のようで、面白い見た目だと感じます。

    正直、パッと見はレドリキア類に見えます。しかしどうやら、他のサンドゥの多くの種同様、アサフス目 (Asaphida) のようなのです。超科で言えばAsaphoidea。アサフス目は、そもそもが、かなり範囲の広い分類群であります。サンドゥと同時代のフーロンギアン (Furongian) の産地である、カナダのマクケイ産 (Mckay) の種々の三葉虫も、殆どがアサフス目ですが、見た目は凡そアサフスらしくありません。アサフス目とはそういうものなんだろうなぐらいの気持ちで考えております。

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    • 登録日:2020/7/2

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    Lochmanolenellus trapezoidalis (2)

    ロクマノオレネルス・トラペゾイダリス (Lochmanolenellus trapezoidalis) の完全体化石です。7枚目でNo. 2の同種の化石と、8枚目で同程度のサイズのオレネルス・フレモンティと比較しています。

    ずっと完全体に憧れていた種でありますが、ようやく入手する事ができました。

    本種は分類上は、レドリキア目 (Redlichida) -オレネルス亜目 (Olenellina) -オレネルス超科 (Olenelloidea) の中の、ビケラトプス科 (Biceratopsidae) に含まれております。ブリストリア、フレモンテラ、ペアチュラなど、オレネルス類の中でも異色の形態を持つ種を含むグループであり、本種も負けず劣らずの奇妙な形態を持つ種であります。

    特に頭部が特徴的で、前方に寄り気味の頬棘 (genal spine) に加え、後方のintergenal spineが非常に発達しており、まるで頬棘が2つあるように見える実に不思議な種です。

    5億1800-1900万年前のほぼ最古級の種でありながら、その巨大さや奇妙な見た目から、一度みたら忘れられない魅惑的な三葉虫です。

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    • 登録日:2021/7/10

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    Albertella longwelli

    3対の目立つトゲが特徴的な種、アルベルテラ・ロングウェリ (Albertella longwelli) です。産地はネヴァダ州のカララ累層産 (Carrara fm) です。

    ただ3対の棘を持つだけであれば珍しくないですが、本種では、頬棘、第3胸節からの棘、尾棘の3つの棘が、どれも同程度に長く、これがアルベルテラの見た目を特徴的にしています。ちなみに、種小名のLongwelliは、棘が長い (Long-) とは関係がなく、ネヴァダ州の地質研究に貢献した地質学者のChester Ray longwell氏に因んでいるのではないかと思われます。

    サイズは34mmと標準〜やや大きめ。この種は20-30mmの標本が多い気がします。標準サイズはそれほど大きくない種ですが、最大級のサイズの標本では70-80mm近くにまでなるようです。

    本種はネヴァダ州のアルベルテラでそれなりに希少な種でありますが、同じく米国内であれば、モンタナ州にも同属 (Albertella helena) がいて、こちらはよりレアな印象です。他、市場では殆ど見かけませんが、カナダのBC州からも同属が産出するようです。

    本標本は周囲の母岩を削る事でコントラストをはっきりさせております。標本の境界がはっきりして良いのですが、このクリーニンング法には、多少好みが分かれるかもしれません。とは言え、プレパレーターはこの業界では、有名なベン・クーパー (Ben Cooper)氏で、さすが見栄えよくプレップしているなと感じます。

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      3がいいね!と言っています。

    • 登録日:2021/7/10

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