みんなのコレクションが集まるミュージアム

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Silurian period

生物の歴史は栄枯盛衰。 オルドビス紀に最大最高の繁栄を誇った三葉虫も、この時代にその多様性や絶対数を一気に減らし、一転衰退傾向となります。この後の時代であるデヴォン紀に一部で盛り返しはするものの、オルドビス紀ほどには再び大繁栄をする事はなく、この時代が三葉虫にとって、ひとつのターニングポイントとなった事は確かです。 衰退はするものの、この時代には、三葉虫の中でもシンプルな美しさを持つカリメネ類や、他にも多くの独特な形状を持つ種が登場します。オルドビス紀や後のデヴォン紀に見られるような派手な種は少ないものの、見所のある三葉虫が多く生まれた時代でもあります。

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    Sphaerexochus britannicus

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    Balizoma variolaris

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    Sphaerexochus britannicus

    当ミュージアムのエントランスのアイコンにもなっている三葉虫です。

    この不思議な形状の芋虫のような三葉虫は、スファエロクソクス・ブリタニクス (Sphaerexochus britannicus) 。ブリタニクスの名が示す通り、英国の種であります。英国のウースターシャー (Worcetershire) のマルヴァン (Malvern) の産です。

    マルヴァンはユネスコジオパークにも登録されている、シルル紀の重要産地であります。地理的に近く採掘が禁じられているダドリー (Dudley) と共に、英国の古典的産地として有名であり、今やそれら産地の化石が市場に出回る機会は限られています。

    スファエロクソクスは大きく膨らんだ頭部を特徴とし、胸部は芋虫のようで、尾部は丸いフリルのような構造を持ち、やや地味な見た目ながら、良く見ると実に奇妙で面白い種でマニア受けする種かと思います。他に、スウェーデンや国内でも類似種が産出する事が知られていますが、頭部や尾部だけの部分化石が大半です。

    本種は部分化石すら市場に出回る事は珍しく、特に胸部が何故か非常に残りづらい為、このような全身が揃った完全体は世界的にも極めて貴重です。シルル紀を代表する三葉虫の一つでありながらも、独特な形状を持つ超希少種と言えるかと思います。

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    • 登録日:2020/6/7

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    Balizoma variolaris

    何かの病気にでも罹っているいるのじゃないかとでも思えそうな、この三葉虫はバリゾマ・ウァリオラリス (Balizoma variolaris) です。

    英国の古典的産地、ダドリー (Dudley) の標本です。ダドリーは産業革命期に鉱石や石炭の採掘で賑わった町ですが、採掘の際に、同時にシルル紀の豊富な化石も見つかりました。三葉虫に関しても、カリメネをはじめとする魅力的なシルル紀の多様な種が産出した事から、歴史的に三葉虫研究の黎明期の重要な研究対象となっています。以後、ダドリー産の化石は、研究者のみならずコレクターも魅了し多くの蒐集家がおしかけましたが、現在、産地は保護されており、新規標本を得る事はできません。今、市場に出回る標本はオールドコレクションの放出によるものです。

    この、ダドリーもしくはその周辺で採取された三葉虫全体を指して、ダドリー・バグ (Dudley Bug) もしくはダドリー・バッタ (Dudley locust) と総称されます。

    こちらは、そんなダドリー・バグを代表する種の1つ。
    頭部にぶつぶつを持つ (イチゴ頭と総称される) 事が特徴であるエンクリヌルスの仲間ですが、この種は中でも病的なほど大きな顆粒を持つ事が特徴で、これは種小名のvariolaris-痘瘡にも反映されております。ダドリーでは、他にもエンクリヌルス (Encrinurus punctatus, Encrinurus tuberculatus) が産出し、いずれも希少ですが、それと比べてもバリゾマは市場に出回る機会が少ないように思います。

    16mmという小ささにも関わらず、とても存在感のある種です。

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    • 登録日:2020/6/12

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