宝坂の貴蛋白石/ノーブルオパール

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福島県・宝坂の『屋敷鉱山』といえば、その道の人間で知らぬ者はいないオパールの聖地。

阿賀野川の支流「鬼光頭川」の畔に位置するこの地にはとある伝説が残されており、それ基にした「宝の川」というエピソードがまんが日本昔ばなしで放送されました。
(以下データベースへリンクします)
http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=852

それはとある娘が川の中から美しい石を見つけ幸せを掴むというお話なのですが、ここに登場する石というのがまさしくオパールなのではないかと伝えられているのです。

劇中ではその美しい石を宿場へ持ち込んだところ高価で買い取られ、おかげで娘は裕福な暮らしを手に入れることができたと語られています。

もしその石が本当にオパールのことを指しているのだとすれば、宿場で高値が付いたという話も頷けます。

現代よりも煌びやかなものを目にする機会が少なかったであろう時代、それも日本の貧しい山間が舞台。
ともすれば、オパール特有の鮮やかで目まぐるしく変化する光学特性が奇特に映ったことは想像に難くありません。

このような話を幼い頃に観ていたこともあり、いつかは自分もその場所に行くことを夢に見ていたのでした。
しかし私がオパールに興味を持ち始めた矢先、2008年に鉱山が完全閉山。

何しろ採掘権を所有する企業が退いて以降、一家一個人が管理してきた小規模な鉱山のこと。
それを危険の伴う坑道掘りで操業してきたとなると致し方ありません。
その坑道も既に埋め戻されてしまったとのことでした。

幕を下ろすにはあまりに惜しすぎるこの美しさ。

真珠岩から覗く凝固体がとても瑞々しく、水に濡れ、光を透過する姿は皮を剥いたライチの果実と見紛うばかり。
その表面には極彩色が踊り狂い、色とりどりの炎が潤いの中で燃え盛っているかのようです。

このように美麗な遊色に出会える確率は低かったようで、運が良くて数十個、悪い時は数百個もの原石をかち割ってようやく一個といった調子であったと聞きます。
それだけに、見事な虹が目に飛び込んでくる喜びは筆舌に尽くし難いものであったことでしょう。

私もその感動を直に味わいたかったです。
#オパール #国産鉱物

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  • オパールの産地日本にもあるんですね!知らなかったです。

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    • 意外かもしれませんが、ありますよ〜👍
      日本は火山国なのでほぼ全国的に産出しますね!
      勿論このような虹色が現れる標本はごく一握りの地域に限りますが、質を問わなければ割と広く分布しています。

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