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アルマンディンガーネット/鉄礬ざくろ石
1月の誕生石として知られる鉱物ですが,それゆえに一括りにされがちなガーネット。 ガーネットと一口に言ってもその種類は多岐に渡ります。 その中でもこのアルマンディンは鉄とアルミニウムを主成分とする品種で、ガーネット族の中ではポピュラーな存在。 特に断りなくガーネットと言った場合、このアルマンダインを指していることが多いと思われます。 こちらはミャンマーのモゴクで産出した二十四面体の結晶。 結晶形が非常に理想的で、24あるすべての面がほぼ明瞭かつ判別可能です。 鉄分により暗色がかっているとはいえ宝石質の透明結晶はやはり美しく、まさしく果肉に包まれたザクロの種子と見紛うばかりに見事なものです。
宝石 鉱物標本 7.5 Fe₃Al₂(SiO₄)₃テッツァライト
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ターフェアイト・ハートシェイプ/ターフェ石
ハートシェイプミックスカットが施された可愛らしいターフェアイトです。 重量は1.2ctほどあります。 ライラックカラーの美しい石ですが、特筆すべき点は発見された経緯にあるでしょう。 1945年のことです。 アイルランドの宝石愛好家であったリチャード・ターフェ伯爵が「スピネル/尖晶石」と思しきルースを観察していたところ特異な点を発見。 スピネルと思われていた紫色のそれが、立方晶系のスピネルでは起こり得ないはずの光学現象(複屈折)を示していたことに、氏は違和感を覚えたのです。 その後の詳細な検査の結果、やはり正体は新種であったことが判明。 発見者の功績を讃え、未知の鉱物は『Taaffeite』と命名されました。 このようにカッティングされた石から新種が発見されるなど前代未聞の出来事であります。 おまけにターフェアイトの示す複屈折率など微々たる数値で、とてもではありませんが容易に肉眼判別できるほど劇的なものではありません。 ましてや当時の人々が使用していた検査機器の性能なども、現代のそれと比べたら一体どれほどのものだったのか。 そのような条件下で僅かな光学的差異を捉えた観察眼の鋭さには、ただただ敬服するばかりであります。 ターフェ氏が発見者でなければこの石はどのような名前になっていたのか…あるいは新種と認識されず、長いことスピネルと混同され続けていたかもしれません。 探求の眼差しが、ある一石の運命を変えたことは間違いないでしょう。
宝石 鉱物標本 8~8.5 Mg₃Al₈BeO₁₆テッツァライト
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ウクライナフェナカイト/フェナク石
フェナカイトはケイ酸とベリリウムからなる無色透明のシンプルな鉱物で、美しい個体には研磨が施されます。 シンプルであるがゆえ水晶やトパーズといったクリアな宝石と間違えられることも多いようで、名前のフェナカイトはギリシャ語で欺くを意味する"phenax"から命名されました。 こちらは近年になってよく見かけるようになったウクライナ産のフェナカイト。 国の西端に位置するヴォルィーニ州の出身です。 斧の刃を思わせる扁平な形状にガラスの透明感が特徴的で、どこか儚げな印象を覚える美晶であります。 これまでフェナカイトといえばロシアやミャンマー、マダガスカル産が有名で、かつ柱状の結晶が主流だったため非常に新鮮味を感じました。 私がミネラルショーで訪れた店では、他にもウクライナ産ベリルやトパーズなど高品質で美しい顔ぶれが並んでいました。 これまで見ることのなかった新産地の登場に胸が躍る想いです。
宝石 鉱物標本 Be₂SiO₄ ウクライナテッツァライト
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マグネシオターフェアイト2N'2S/ターフェ石
スリランカの誇る "宝石の都" ラトゥナプラで産出したターフェアイト原石です。 不完全ではあるものの六角樽型の面影を残す稀な標本となっています。 モーブカラーの美しい石ですが、特筆すべき点は発見された経緯にあるでしょう。 1945年のことです。 アイルランドの宝石愛好家であったリチャード・ターフェ伯爵が「スピネル/尖晶石」と思しきルースを観察していたところ特異な点を発見。 スピネルと思われていた紫色のそれが、立方晶系のスピネルでは起こり得ないはずの光学現象(複屈折)を示していたことに、氏は違和感を覚えたのです。 その後の詳細な検査の結果、やはり正体は新種であったことが判明。 発見者の功績を讃え、未知の鉱物は『Taaffeite』と命名されました。 このようにカッティングされた石から新種が発見されるなど前代未聞の出来事であります。 おまけにターフェアイトの示す複屈折率など微々たる数値で、とてもではありませんが容易に肉眼判別できるほど劇的なものではありません。 ましてや当時の人々が使用していた検査機器の性能なども、現代のそれと比べたら一体どれほどのものだったのか。 そのような条件下で僅かな光学的差異を捉えた観察眼の鋭さには、ただただ敬服するばかりであります。 ターフェ氏が発見者でなければこの石はどのような名前になっていたのか…あるいは新種と認識されず、長いことスピネルと混同され続けていたかもしれません。 探求の眼差しが、ある一石の運命を変えたことは間違いないでしょう。
宝石 鉱物標本 8~8.5 Mg₃Al₈BeO₁₆テッツァライト
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ベニトアイト・シールドシェイプ/ベニト石
勇者の盾を思わせるヒロイックな姿のベニトアイトです。 ベニトアイトは1906年にカリフォルニア州サン・ベニト郡で発見された鉱物で、アメリカ三大稀少石のひとつに数えられる宝石です。 1985年には州宝石に指定されており、同州にとってまさしく英雄的存在といっても過言ではありません。 青の宝石として知名度と硬度ではブルーサファイアに劣るものの、単なる劣化版青色石に留まらないのがこのベニトアイトという鉱物。 最大の強みとも言える特性として、ダイヤモンドに比肩する高い分散率を誇っているのです。 「分散」とは石の内部に入射した光が波長ごとに分光される現象を指します。 この分散率の数値が秀でていることで、反射光の中に虹色の光がより鮮明に現れるようになるのです。 蒼茫と透き通るファセットに光輝が映える様は多くの宝石好きが夢に見る光景です。 こうして光の屈折に伴って解き放たれる光彩は老若男女見るものすべてに感銘を与えるかのようであります。 青く勇壮な輝きの中に希望の煌めきを秘めたこの宝石は、今日もどこかで誰かの心を照らしているのです。
宝石 鉱物標本 6~6.5 BaTiSi₃O₉テッツァライト
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シリマナイト/珪線石
シリマナイトはカイヤナイトおよびアンダルサイトと同質異像の鉱物です。 すなわち他の2種と化学組成は共通するものの、高温の環境下で生成されるためまったく異なる性質をしています。 「藍晶」のカイヤナイト、「紅柱」のアンダルサイトと違い唯一和名に色がありません。 シリマナイトにも青や黄色などカラーバリエーションは存在しますが、主成分はケイ酸アルミニウムであるため基本的には無色透明。 そのため多色性にも優れた両者と比較するとシンプルな印象を受けます。 私のシリマナイトもややグレイッシュながらほぼ無色透明で、他の2種のような鮮やかはありません。 しかしこの混じり気のない姿は美しいものであり、高潔な水晶のように胸の透く思いがあります。 結晶形も非常に整っており、対称性に優れた両剣型の結晶は見事としか言いようがありません。
宝石 鉱物標本 7 Al₂SiO₅テッツァライト
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アンダルサイト/紅柱石
アンダルサイトはシリマナイトおよびカイヤナイトと同質異像の鉱物です。 すなわち他の2種と化学組成は共通するものの、高温低圧の環境下で生成されるためまったく異なる姿をしています。 アンダルサイトは一見すると褐色がかった鉱物であり、青色麗しいカイヤナイトらと比較すると暗く地味な印象を受けます。 しかし光に透かすと姿は一転。 ある方向から見るとオレンジ色に、また別の方向か見ると黄緑色に、といったように光の透過する方向によって色味を変化させる面白い特性を秘めているのです。 この性質を「多色性」といい、3種の中では最も顕著な色変わりを呈します。 こちらアンダルサイトはトリオの中では最も小さいですが有意な多色性で存在感を示しています。 結晶を径方向から照らすとグリニッシュに、そして軸方向から照らすと『紅柱』の名に相応しいレディッシュブラウンを披露してくれます。
宝石 鉱物標本 7.5 Al₂SiO₅テッツァライト
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キプロスキュプライト/赤銅鉱
キュプライトはその名が示すとおり銅を含有する鉱物です。 化学組成はCu₂Oと不純物が少なく、なおかつ酸素原子1つに対し銅原子が2つ結合してることから高品位の銅鉱として扱われます。 英名はラテン語で銅を意味する"cupurum"に由来し、さらにcupurumは銅の古典的産地であるキプロスにちなむとされています。 まさか出会えると思わなかったキプロス産のキュプライト。 由緒ある古典的産地からの美しい結晶です。 昨今のキュプライトはロシア産の黒色不透明な標本が多く流通していますが、このアルマンダインガーネットのような色と透明感をキプロス産が備えているとは思いもしませんでした。 表面は酸化被膜にやや覆われていますが、それでも古典的産地の意地と底力を感じさせる素晴らしい一石でありました。
宝石 鉱物標本 3.5~4 2019年テッツァライト
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オーロラin田上山トパーズ/黄玉
滋賀県田上地方は石好きにとって聖地のひとつ。 水晶や長石をはじめとした鉱物を胚胎する当地は日本三大ペグマタイトとして知られ,古くから多くのマニアたちの羨望を集めてきました。 中でも琵琶湖の南部にそびえる湖南アルプスの「田上山」は伝説級の産地。 明治期から高品質のトパーズを産出し,その宝石級のクオリティから多くの結晶が海外に輸出されたという(勿体ない)エピソードは有名です。 田上山には私も一度だけ登った経験があり,かの有名な中沢晶洞の中を観察した思い出があります。 こちらのトパーズはなんとその田上山で採取されたという酒黄色の巨晶。 大きい,美しい,そして何より結晶形が整っている! 私が田上山に登ったときは目当てのトパーズが採れなかったのでこれはまさに念願の一石であります。 実はこのトパーズ,ただ美しいだけでなく面白いギミックが隠されていました。 それはなんと蛍光性。 短波の紫外線を照射すると,結晶内部に黄緑色の靄が浮かび上がるのです。 結晶の全体像はあくまでも透明であるためその正体を肉眼視することはできませんでしたが,これは何らかの蛍光物質を包有しているということなのでしょう。 まさか田上山産で,しかもインクルージョン蛍光を有する標本に出会えるとは思いませんでした。 ミネラルショーでニチカさんからの購入品です。
宝石 鉱物標本 8 Al₂SiO₄(OH,F)₂テッツァライト
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ロージルコン/風信子石
ジルコンはジルコニウムを主成分とする宝石鉱物ですが,不純物としてウランやトリウムを含みます。 そのため放射線測定器に感応し,放射性崩壊によるα線やβ線の放出が活発に行われていることが判ります。 ウランおよびトリウムの崩壊により放出される放射線はなんとジルコン自身を侵し,さながら内部被曝を受けているかのように結晶構造を破壊します。 この現象をメタミクト化と呼び,すなわち原子配列が失われガラス同然の物質に変異してしまうのです。 こうして結晶構造が蝕まれたジルコンは光学特性が変化し,例えば屈折率は低下し,宝石として光り輝く力が失われてしまうのです。 さらに耐久性にも難が生じ,このように性質が低下したジルコンのことをロータイプと呼び区別されます。 思えば輝きが鈍ることは宝石として極めて致命的であり,このジルコンという鉱物には哀愁すら感じてしまいます。 ですが私はこの重大な欠陥を抱えた幸薄いロージルコン結晶が堪らなく好きです。 派手さとは無縁な,しかし光に透かすと見るものを引き込む暗緑色。 水磨作用により擦り切れているものの正方晶系らしさを残した結晶形。 イイです実に素敵です。 傷みを知る者にしか出せない味ってあると思うんですよね。
宝石 鉱物標本 7.5 2021年テッツァライト
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モゴクルビー/鋼玉
コランダムの赤色変種であるこの石は、誰もが認める宝石界のレッドクイーン。 結晶の生成過程で微量のクロムを取り込み、ピンクでも紫でもなく《濃赤》に染まった個体のみがルビーと認められます。 そのビビッドな色調は、まるで動脈を流れる鮮血のように熱くエネルギッシュ。 ひと目見た瞬間、めくるめく衝撃が眼底から全身へ駆け巡るのを感じるのは、やはりこの石が「生命」や「情熱」の象徴とされる由縁でしょうか。 先に『擬スピネル型ルビー』を登録していましたが、私の持っているルビー原石はこちらが真打。 https://muuseo.com/tezzarite/items/105 ミャンマーに所在する世界屈指の宝石郷モゴクより産出した真紅の雪華です。 ご覧ください、この礼賛せずにはいられない六角形。 そして非加熱無処理石でありながら赫々と燃える発色。 それでいて瑞々しいまでの透明感…。 石っコになり私も17~8年ほど経ちましたが、これまでに遭遇してきた中で最高のルビーです。 この結晶を目にした瞬間、今後しばらくはこれを超えるルビー原石に出会うことはないだろうと確信した程でした。
宝石 鉱物標本 9 2020年テッツァライト
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エカナイト/エカナ石
エカナイトは1953年にセイロン島で発見された暗緑褐色の放射性鉱物。 その発見者にしてスリランカの学者であったエカナヤク氏(F.L.D.Ekanayake)に因んで命名され、1961年に新種として認定されました。 組成中にトリウムと微量のウランを含有するケイ酸化合物で、往々にして多くの個体が「メタミクト化」を引き起こしているとされます。 メタミクト化とはウラン・トリウム等の放射性元素を含有するために起こるもので、それらの崩壊に際して放たれる放射線により、自己の結晶構造が破壊されてしまう現象です。 その照射を長期間にわたり受け続けた結晶には格子欠陥が生じ、硬度や屈折率、色味といった諸々の物性が低下してしまうのです。 エカナイトが主成分とするトリウム核種は、おそらく天然存在比99.98%かつ半減期140億年の『トリウム232』。 従ってこの石が発する放射線は、トリウム232がラジウム228へ壊変する際に放出されるα線。 そしてラジウム228から鉛208へ至る壊変過程で放出されるα線とβ線が多くを占めていると思われます。 試しにサーベイメータを近付けてみたところ忙しないクリック音とともにカウントが上昇。 測定の結果、計数率455cpm、線量率にして1.363μSv/hという数値が得られました。 一応は宝石として扱われている鉱物ですが如何せん色が地味すぎるため価格も人気も低く、一般的なジュエリー売場に並ぶことはまずありません。 そして何より放射性であることが災いしてか、こうして愛好者向けのカット石が少量ばかり流通するのみであります。 放射性鉱物…そんな危なっかしい代物を一般人が所持していて大丈夫なのかと不安視される方もおられるかもしれません。 そこで簡単ではありますが以下のようなリスク評価をしてみました。 まずトリウム232が放つα線エネルギーには4.012MeVまたは3.950MeVの2パターンがありますが、これらは空気中を数cm進むことが精一杯な強度であるため、人間の皮膚に到達しても表面の不感層70μmを通過することができません。 よってα線による外部被ばくを考慮する必要はありません。 次にトリウム232の子孫核種が放っているβ線について。 β線は皮膚の中を数mm進むことができるもののやはり透過力が弱く、薄い金属板で遮蔽することができます。 そこでアルミ板を隔てて計測すると、線量率は0.039μSv/hにまで低減されることが確認できました。 また、保管用のガラス蓋ケースに入れた状態で測定したところ0.189μSv/hに減少。 アルミほどではないにしろ、ガラスでも確かな低減効果が認められました。 従って常に肌身離さず装着しているならまだしもこのようにケースに入れ、更に十分な離隔をとって保管しておく分にはβ線の影響もそこまで心配する必要はないと思います。 強いて気を付けるべきことがあるとすれば、それは誤飲等による体内への取り込み。 このようなルースであれば飲み込んだとしても間違いなく体外に排出されますが、α線の真の恐ろしさは内部被ばくにあると言っても過言ではありませんのでこれだけは何を置いても避けなければなりません。 渋い色味ながら、ペンライトで照らすとペリドットのように笑み返してくれるこの石が私は大好きです。 なので今後も「時間」「距離」「遮蔽」の3つを心掛けて、楽しく安全に愛でて参りたいと思います。
宝石 鉱物標本 4.5~6 2012年テッツァライト
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バルティックアンバー/アゴダチグモ入り琥珀
太古の松柏類の樹液から揮発成分が抜け、硬化することで誕生する有機鉱物。 そこはかとなく薫る芳香で古代の生物たちを虜にし、現代に至ってもなお多くの人々を惹きつける甘美な宝石です。 それら中でも北欧のバルト海で産出する琥珀が『バルティックアンバー』であります。 その主たる起源はロシアのカリーニングラード州に存在する約5500万年~3500万年前の地層にあるのですが、そこから人の手に渡るまでの過程が実に情趣的。 波の浸食により地層に含まれている原石が浚い出されて海を漂流。 それがやがて浜辺に打ち上げられ、"シーアンバー"として拾い上げられる…というこの上なくロマンティックな琥珀なのであります。 そのためカリーニングラード州を始めリトアニアやポーランドといった沿岸各地では琥珀が特産品に挙げられており、今日まで数多くの良質な琥珀製品が世に送り出されてきました。 元となった樹種の影響によるものか、他地域の琥珀よりも多い3~8%のコハク酸を含んでいることもバルティックアンバーの特徴であります。 さて、私の手にあるこの琥珀についてですが、内部に目をやると何やら奇怪な生物が閉じ込められていることが分かります。 ペリカンのクチバシのように張出した鋏角や、不自然な位置関係にある頭部… "アサシンスパイダー"とも称される異形のクモ『アゴダチグモ』のArchaea paradoxaという個体です。 このアゴダチグモ、異質なのは姿だけではありません。 なんと《他の蜘蛛を捕食する》という恐るべき生態が知られているのです。 https://www.youtube.com/watch?v=kF7_HS_sihI 彼らはいったい何のために同族を狩るのか。 その意図が伺い知ることができないだけに非常に興味深く、不気味ながらもその美しい姿に注目せずにはいられません。
化石 宝石 鉱物標本 2~2.5テッツァライト
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ロシアンアレクサンドライト化したバルタン星人
ミューゼオ随一の怪獣消しゴムペインター、Reirei Paint Art様よりお譲りして頂いたアイテム。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/items/372 遠い空の向こうからやって来た美しき侵略者です。 彼らは元々「バルタン星人宝石化計画」で製作された作品で、クリアブルー素材へのペイントにより宝石の美しさを再現。 何れもReirei様の技術力が光る逸品となっております。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/diaries/27 怪獣フィギュアと鉱物 ―。 ジャンルの異なる二つの世界が、このミューゼオにおいて邂逅を果たし化学反応。 例えば地球深部でマグマが岩石と接触し、その高温・高圧がもたらす変成作用により新たな鉱物が形成されるように彼らは誕生したのです。 モデルとなった石は当館の『ロシアンアレクサンドライト』というアイテムです。 https://muuseo.com/tezzarite/items/89 アレクサンドライトはベリリアとアルミナを主成分とする鉱物で、別名を「変彩金緑石」とも称される貴石。 その名のとおり不純物として含まれるCrイオンにより変色性が備わっており、太陽光や蛍光灯では青緑色、そして白熱灯や火灯の下では赤紫色へとカラーチェンジする不思議な石です。 そんな生彩豊かな宝石が、何とも不思議な縁でバルタン星人と化合。 まず目を惹くのが《青色》のカラーリング。 これは私のアレクサンドライト本来の色である、ピーコックブルーをイメージしたものとなっております。 涼やかで深みのある色調が鮮やかで、もうこれだけでテッツァライトの好みに刺さる刺さる… そしてこの宝石の見所であるカラーチェンジは、上半身部分を《赤~紫色》に塗装することで表現されていました。 ご覧ください、透明感のあるワインレッドが本物さながらでとても情熱的。 極めつけにブラックライトで照らすと、まるで赤熱したように灯り出すのが最高にアツいです。 また、私が撮影でよく使用する白熱灯の光をイメージしてかボディの端々が《黄~橙色》で彩られており、モデル画像を徹底的に再現しようとするこだわりも伺い知ることができました。 総じて各色のコントラストが実に見事であり、ひと目見た瞬間、心の隅々まで染み渡ったことを覚えています。 特に夕焼け空を背景に透かして眺めた時の感動は忘れられません。 透明で美しいことに加え、世界にこれ1体のみという稀少性を備えたこの技巧の結晶は、もはや宝石の新たなスタイルと言えましょう。
フィギュア 宝石 鉱物アイテム 2021年テッツァライト
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ゴールドシーンサファイア化したバルタン星人
ミューゼオ随一の怪獣消しゴムペインター、Reirei Paint Art様よりお譲りして頂いたアイテム。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/items/371 遠い空の向こうからやって来た美しき侵略者です。 当アイテムは元々「バルタン星人宝石化計画」で製作された宝石バルタンの一体で、クリアブルー素材へのペイントにより宝石の美しさを再現。 何れもReirei様の技術力が光る逸品となっております。 https://muuseo.com/ReireiPaintArt/diaries/27 モデルとなった石は当館の『ゴールドシーンサファイア』というアイテム。 https://muuseo.com/tezzarite/items/62 ミッドナイトブルーに金色の金属酸化物を包有するアフリカ産の新種です。 最大の特徴であるゴールドは主に右鋏と右下半身に使用。 さり気なく頭部にも施されており、まるで兜の前立てのような装飾が最高にカッコイイです。 ゴールドとしての輝きもラメによってしっかり表現されており、その光学特性が忠実に再現されていました。 その絢爛な煌きと、静謐なブルーから生み出されるコントラストのなんと見事なこと… 敢えて残された素体のクリアブルーとも絶妙に調和しています。 また、反射光だけでなく透過光で眺める色相も格別。 特に画像3枚目の角度から観測できる小宇宙が個人的なお気に入りであります。
フィギュア 宝石 鉱物アイテム 2021年テッツァライト