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Ordovician period

カンブリア紀に出現した三葉虫は、オルドビス紀でもその勢いを止める事なく、この時代に3億年の中でも最大の繁栄を享受します。カンブリア紀には比較的平坦であった三葉虫も、オルドビス紀には立体的で複雑な形状をとるようになり、一部は棘を発達させるなど、ますますその多様性に磨きがかかります。世界中で産出するオルドビス紀の三葉虫をご紹介します。

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    Ceraurinus marginatus

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    Pseudosphaerexochus hemicranium

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    Calymene sp.

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    Eccoptochile cf. mariana

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    Gabriceraurus dentatus

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    Flexicalymene ouzregui

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    Megistaspis hammondi

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    Actinopeltis sp.

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    Dindymene didymograpti

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    Gravicalymene arcuata

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    Ceraurinus marginatus

    ケラウリヌス・マルギナトゥス (Ceraurinus marginatus) です。有名な北米のケラウルスの一種 (Ceraurus pleurexanthemus) とよく似ていますが、ケラウルスがスマートな体型であるのに対して、本種は幅広く、がっしりとした体型が特徴的です。サイズも70mm近くとケラウルス/ケラウリヌスの仲間では、比較的大型で迫力もあります。ケラウルスが女性的であるとすると、ケラウリヌスは男性的な印象を受ける種です。がっしりした体型である一方で、外形は丸っこく愛嬌もあり可愛らしさも伴います。

    先のケラウルスは、比較的入手がし易い種でありますが、本種は極めて入手が困難で、本標本のような完全体は滅多に市場でも見かける事はありません。他にケラウリヌス・イカルス (Ceraurinus icarus) という良く似た小型の同属異種も居りますが、こちらも希少で完全体は滅多に出回りません。

    母岩の中の配置も素晴らしく、マスコット的な可愛らしさも相まって、特にお気に入りの種の一つであります。

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    • 登録日:2020/6/7

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    Pseudosphaerexochus hemicranium

    シュードスファエレクソクス・ヘミクラニウム (Pseudosphaerexochus hemicranium) です。
    本標本のサイズは15mm程度ですが、最大でも30mmと小型の種です。小さくはありますが、泡状頭 (Bubble head) とも評される大きな膨らんだ頭鞍、ちょこんと可愛らしい眼、フリルのような尾部など、各部位が特徴的で、全体的に奇妙さと可愛らしさを兼ね備えた種です。オルドビス紀英国で産出する、シュードスファエレクソクス・オクトロバトゥス (Pseudosphaerexochus octolobatus) という類似種がいて、サイズこそ本種の2~3倍ですが、見た目はとても良く似ています。

    ロシア産三葉虫の中でも、非常に希少な種でもあり、この小ささにも関わらず高額な種でもあります。とても可愛らしいアイドル的な三葉虫であります。

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    • 登録日:2020/6/6

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    Calymene sp.

    オルドビス紀は、非常に多種多様な三葉虫が登場した時代ですが、それ故、種数が多く記載が追いついておりません。特に、モロッコのオルドビス紀三葉虫は、種数が非常に多く、風化が進んでいる傾向にもあり、未記載種に溢れています。

    これも、そんな良くわからないモロッコのオルドビス紀三葉虫のうちの一つ。
    入手元では、グラビカリメネ (Gravicalymene sp.) とされておりました。確かに形状はカリメネではあります。6番目の写真で標準的サイズのカリメネである、フレキシカリメネ・ミーキ (Flexicalymene meeki) と比較していますが、ご覧の通り巨大サイズのカリメネです。同国同時代の大型カリメネというと、博物館のショップやお土産レベルの化石でも有名な、多産するフレキシカリメネ・オウズレグイ (Flexicalymene ouzregui) があまりにも有名です。しかし、本種は見た目からして、明らかにオウズレグイとは異なります。

    一時は、自由頬のないプラドエラ (Pradoella sp.) かな?とも考えたのですが、やはりどこか頭部や尾部の構造が違うように思うのです。第一に、産地がKaid errami (一方、プラドエラはZagoraで産出する) ので、やはり違う種だろうなと考えております。

    結論は未定種、カリメネの一種 (Calymene sp.) としております。このような未知の種の多さもまた、モロッコのオルドビス紀三葉虫の魅力であります。

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    • 登録日:2020/6/9

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    Eccoptochile cf. mariana

    この何かのマスコットにでもなりそうな、巨大で愛らしい三葉虫は、エコプトキレ (Eccoptochile cf. mariana) といいます。モロッコのオルドビス紀の三葉虫です。欧州で広く産出する種であり、記載も欧州が先ですが、マニアにはモロッコのこちらのタイプが良く知られております。

    モロッコのエコプトキレは、形態的に見ても何種類かいる事が知られています。標準的な本種や、頭鞍の目立たないタイプ、集団で産出するそれほど可愛らしさのないタイプ (なんという決めつけ‥) など、少なくとも2種類以上は居るように思います。ただ正確な分類は進んでおらず、いずれも、現時点で科学的には記載されておりません。その為、欧州のエコプトキレ・マリアナ (Eccoptochile mariana) のcf. (confer: マリアナっぽさがあるけど不確実の意) などと表記される事が多いです。

    大きな鼻のような頭部、ミシンの縫い後のような胸部側葉の模様、丸いフリルのような尾部など、あまりに特徴にまみれた種で、大変人気があります。産出量もけして多くはなく、比較的希少種と言えるかと思います。

    レア度は★2とするか、★3とするか微妙なところですが、状態を選ばなければ入手困難という程でもなく、★2.5といったところです。厳しめにつけて少数切り捨てとして、★2とさせて頂きました。

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    • 登録日:2020/6/7

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    Gabriceraurus dentatus

    ウミユリの茎に囲まれるように産出したこの美しい三葉虫は、ガブリケラウルス・デンタトゥス (Gabriceraurus dentatus) といいます。オルドビス紀のカナダは数々の美しい綺羅星のような、ケイルルスを産出する事で有名であります。中には写真でしか見た事のないような超希少な種もいますが、この種は、その中でも比較的良く知られた種です。

    最も一般的な北米のケイルルス/ケラウルスである、ケラウルス・プレウレザンセムス (Ceraurus pleurexanthemus) にベースは似ています。ただ、40mm前後のサイズがせいぜいのプレウレザンセムスよりも明らかに大型となる事が知られており、また頬棘と尾棘が長くて発達している事が特徴的です。本標本でも70mm近くと結構大きいのですが、本種の本当に大きな標本は100mmをoverするものさえあり、大迫力であります。

    この標本は全てのパーツが良く残っており、何より周囲に散らばるウミユリの茎が、この標本の美しさを際立たせています。右胸部の棘の間にウミユリの茎が複雑に絡んでいるのも面白いです。当時、おそらくウミユリの陰に潜んで生活していたのではないかという事が想像できて楽しい標本です。

    かなり希少な種ではあり、★4をつけても良いかと思いましたが、同産地のケラウリヌス・マルギナトゥス (Ceraurinus marginatus) と比べると産出量は多く、★3つとしました。

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    • 登録日:2020/6/10

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    Flexicalymene ouzregui

    フレキシカリメネ・オウズレグイ (Flexicalymene ouzregui) です。

    博物館や恐竜展のお土産物などでもおなじみの巨大カリメネで、北米のエルラシア・キンギ (Elrathia kingi) と並び、市場で最も出回る三葉虫です。安価で風化が進んでいるものや、別の個体のパーツを繋げた粗悪品も多く、蒐集家には軽視されがちの種でもあります。

    しかし、カリメネの中では実はトップレベルに巨大な種で、実際、本種に大きさで勝負できるカリメネなど、カナダのディアカリメネ・シチュチェルティ (Diacalymene schucherti) という希少カリメネぐらいなのではないかと思います。サイズという一点だけでみても、けして軽視できる種ではないと思います。私が、このカリメネを初めて目にしたのは幼少期ですが、ボロボロの標本だったにも関わらず、その巨体感に感動したものです。

    出来るだけ風化が進んでおらず、ノジュールを割ったままの自然な標本を選びました。灰色く表面が風化したような見た目の標本が多い本種ですが、この標本は色も黒くて安っぽくなく、比較的表面の状態は良好です。こちらは、ミネラルショーでドイツの有名ショップ『Horst Burkard』より購入しております。

    2個体が縦に並んでいるのも、どこか滑稽で面白い構図です。

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    • 登録日:2020/6/9

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    Megistaspis hammondi

    このやたら巨大な三葉虫は、メギスタスピス・ハムモンディ (Megistaspis hammondi) です。私が現在所有する標本の中では、三葉虫本体サイズ比較で、最大の標本となります。モロッコのオルドビス紀産。

    パッと見は、モロッコオルドビス紀の数多のアサフスと良く似ているのですが、尾部に長い尻尾が生えており、他のアサフス系種との見分けは比較的容易です。頬棘も割合立派で、良くわからない謎の種が多いモロッコのアサフス類の中では、一目に判別できる種であります。幼体と思われる10cm前後の標本も見かけますが、一般的にこのサイズまで成長する種であり、巨大な標本も市場でしばしば見かけます。写真7枚目では、北米のファコプス (真ん中の母岩の上の黒い三葉虫。Eldredgeops rana rana 。10mm程度) と比較しております。なんとなく巨体感が掴めるのではないかと思います。

    本標本は置き場所に困っており、居場所を求めて、常に私の家の中をあっちへこっちへと彷徨っております。扱いに困るので、この標本以上のサイズのものは手を出さないでおこうと心に決めております。

    存在感の割には、あまりマニアの間では話題にならない種であります。しかし、軟体が保存された本種がたまに見つかる事もあり、過去には実際、消化器官や付属肢が良好に保存された標本がScientific Reportsで紹介され、ニュースになった事もあります。

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    • 登録日:2020/6/17

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    Actinopeltis sp.

    初めて見た方は『何だこのお茶の水博士のような鼻の三葉虫は?』と思われるかもしれません。
    この頭部のでっぱりは、正確には、鼻ではなく頭鞍といいます。この頭鞍が大きく膨らんだ、奇怪な風貌の本種は、アクチノペルティスの一種 (Actinopeltis sp.) と呼ばれます。モロッコのオルドビス紀産の三葉虫です。

    このような頭鞍を持つ種は、アメリカ、ロシア、英国など、世界に複数種が居て、その見た目からコレクターの間では、頭ボール/ボール頭などと称されます。奇妙ながらも、どこかコミカルで愛らしい風貌から、非常に人気の高い種でもあります。

    モロッコ産の本種は、他の産地の類似種に比べると、比較的入手し易くも、入手機会はそこまで多くはありません。本標本は、風化したかのような茶色の発色ですが、産地によっては真っ黒な標本もあり、さらにサイズや特に尾部の形状もまちまちで、モロッコだけでも複数種類がいるようです。ただ、現時点では、いずれも正式な学名はついておりません。

    この不思議なボールの機能については、大食説 (ボールの部分が胃)、抱卵説など様々ですが、いずれも仮説に留まります。特にカンブリア紀の何種かの三葉虫では頭鞍は、一種の消化器官 (Crop:素嚢) であることが確認されており、個人的には後者 (抱卵説) よりは、前者 (大食説) がもっともらしいかなとは感じます。

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      4がいいね!と言っています。

    • 登録日:2020/6/19

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    Dindymene didymograpti

    『三葉虫の中で、最も好きな名前の種を挙げてください』

    そう聞かれれば、私はこの種を推薦します。
    ディンディメネ・ディディモグラプティ(Dindymene didymograpti) 。やたら『ディ』が多い種ですが、語感が良いので、発音はし易く、覚え易くもあると思います。

    ディンディメネというのは、アナトリア地方の大地の神で、地母神 (the mother of the Gods) の一人の、ディンディメネから取ったものと思われます。この神は別名キベレ (Cybele) とも言います。ちなみに、三葉虫界でキベレと言えば、ロシアの奇妙なカタツムリのような三葉虫 (Cybele panderiなど) を表す属名でもあります。学名はその生物の特徴を表しているものが多いですが、人名、地名や神の名由来だったりして、思わぬところで色々な雑学が繋がるのも、古生物をやっていて面白いなと感じる点であります。

    さて、この種はイチゴ頭の三葉虫、エンクリヌルスの仲間なのですが、面白い事に眼がないのです。エンクリヌルスと言えば、ぶつぶつの頭鞍以外に種によっては、ニョキッと伸びた、眼が特徴的であります。この種にはそんな眼が存在しません。多分、光の届かない大陸棚よりも深部、若しくは洞穴環境で生きていたのでしょう。他、写真ではほぼ捉えられないのですが、頭部の最後部より垂直に伸びた避雷針のような棘もあるようです。写真頭鞍後方のピンボケしている部分がそうです。

    実は8mmととても小さい標本なのですが、とても見所の多い種であります。

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    • 登録日:2020/7/4

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    Gravicalymene arcuata

    イギリス産の三葉虫、グラビカリメネ・アルクアタ (Gravicalymene arcuata) です。三葉虫蒐集のかなり初期に入手した標本ですが、その後市場で見かける事もそれほど多くなく、産出量のそこまで多くない種だという印象です。

    ぼやっとした境界不明瞭な標本が多い本種ですが、本標本は細部まで観察でき立体感もあり、35mmと本種にしてはサイズもかなり大きめです。ポジネガともに揃っており、良標本かと思います。

    カリメネはシルル紀を中心に全世界で繁栄した種ですが、本種のように古くはオルドビス紀にも分布していました。市場で見かける種で、Gravi-が接頭につくカリメネはあまり多くありませんが、有名どころでは本邦で産するグラビカリメネ・ヤマコシィ (Gravicalymene yamakosii) が知られております。アルクアタとは対照的に、ヤマコシィはデヴォン紀の種ですので、カリメネ全体で見ればオルドビス、シルル、デヴォンと3つの紀に渡り、生息していた事がわかります。

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      4がいいね!と言っています。

    • 登録日:2021/7/14

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