- trilobite.person Museum
- 3F Silurian period
- Cybantyx cf. anaglyptos
Cybantyx cf. anaglyptos
マルヴァン (Malvan) より産出のキバンティクス・アナグリプトス (Cybantyx cf. anaglyptos) です。
表面がツルっとした全体的に丸っこい体型に、頭部に占める割合としては大きめの半円状の眼を持つなど、可愛らしい見た目をしている種です。巷の標本を見ると、40-50mmの個体が多く、こちらはサイズとしては、標準よりやや小型のようです。
より黒っぽい標本本体の色合いを除けば、有名種である米国NY州のRochester shaleのブマストス (Bumastus ioxus) と見た目が似ております。今や、そのブマストス自体、良い標本は見かけない存在になってしまいましたが、英国産のキバンティクス/ブマストスは、もとより滅多に見かける事はありません。とても希少な標本と言えるかと思います。
キバンティクスとブマストスの形態的な差異は、今ひとつ把握できておらず調査中です。ただ、ある情報源によると、(やや不確かですが) 産出年代的には、ブマストスはシルル紀でも、本種キバンティクスの産する時代 (stage) のホメリアン (Homerian: 4億3050万年前-4億2740万年前) には出ないという話があります。
実際、ホメリアンの一つ前の時代 (stage) のシェインウッディアン (Sheinwoodian: 4億3340万年前-4億3050万年前) には、同じくマルヴァンやその近郊などで、ブマストス・バリエンシス (Bumastus barriensis) という、これまた、そっくりさんな種が産出するようで、少なくとも英国産ではキバンティクスとブマストスとで、微妙に時代がずれるようです。
本産地同時代からのキバンティクスとしては、アナグリプトス以外に産出せず、見た目からもキバンティクス・アナグリプトスとして良い気がします。ただ、採掘者氏からの提供情報では、何か思うところがあったようで、参照 (cf. anaglyptos) となっていた為、標本名はそちらを反映したままとしております。
trilobite.person (orm)
2023/03/011. 魅惑の三葉虫 2019年05月21日 21:48
見た目が安価なNYのBumastusと同じなので、軽視しそうですが、英国の本種は簡単に入手できるものではなく、このレベルの標本を入手できたのは幸運もありますね。AMNHの本種は大きさが記載しているだけで現実感がありませんが、実物はとんでもない存在感なんでしょうね。英国産の数が充実してきて、この分野では国内でもトップクラスのコレクターになられましたね。
2. smjpr672 orm 2019年05月21日 22:52
>>魅惑の三葉虫さん
国内のトップレベルのコレクターの中でも、魅惑の三葉虫さんは勿論、立松氏や巣穴氏などは欧州産標本も極めて充実していて、幅広いなあと思います。ただモロッコ、ロシア、北米産のハイレベルの標本群を持っているコレクターでも、欧州産はあまり蒐集の対象にしていない方は多いですね。確かに比較的地味なのですが、良い標本を手に入れた際に一番満足できるのは、個人的には英国産なんですよね。どことなくアンティークを集める感覚に近いものがあります。
ktr
2023/03/01 - 編集済みそのAMNHの標本を見てきましたが、こけしみたいでおもしろい形をしていますね。
こちらの標本はその小型版みたいな感じなので、anaglyptos でいいような気がしますが、ネットにあるタイプ標本をみると、ずいぶん形が違うので、cf. にされたのかもしれませんね。
あと関係ありませんが、AMNHにダイフォンの3.5㎝の標本があってたまげました。
前からあったんでしょうか。
顔線まで入っていて、形もだいぶたくましく見えます。
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trilobite.person (orm)
2023/03/01 - 編集済みそうなんですよね。タイプ標本は防御姿勢だからという事もあるかもですが、見た目が随分違うような気がするなあと思います。他にAMNHの英国のシルル紀の標本を見ていると、類似種としてLiolalax xestosという聞いたこともない種が置いてあって、しかし見た目やサイズはこちらの方が近いんでないか‥?とも感じてしまうのですよね。今ひとつ、種が断定し難い標本です。
件のダイフォンですが、前はなかったように私も思います。3.5cmというとダイフォンにしてはかなり立派ですよね。しかしこの標本、綺麗すぎるのがいけないのか、これまで見たどの同種の標本よりも、作り物っぽく見えてしまいますね‥