スピノサウルスと巨大ワニ形類の歯化石

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【推定年代】
中生代白亜紀
【産地など】
モロッコ

【解説】
言わずと知れた白亜紀前期の超大型獣脚類恐竜スピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)と、同時期に生息していた巨大ワニ形類であるサルコスクス(Sarcosuchus sp.)の歯化石。
いずれも中〜大型個体のものと思われる。(スピノ:長辺80mm重量42g、サルコスクス:長辺45mm重量19g。)

スピノサウルスと言えば、幼少の頃DVDが擦り切れるほど観たジュラシックパーク3のアレを思い出すのだが、当時の面影はどこに行ったのか最近は巨大なイモリの様な復元図になっている。

スピノの歯は小さく細長いものが大量流通しているが、当然大きく分厚くて状態の良いものほど流通量は減る。
この歯は目立つリペア跡が歯冠に一つあって歯冠先端も摩耗(生前からあったものと思われる)があるが、良質のエナメル層も残存しており、大きさがある事(最大幅3cm近く)を考えれば中の上クラスの品質と言えるだろう。

サルコスクスは既に科レベル(Elosuchidae)で絶滅した巨大ワニ形類(現生ワニの直系祖先ではない派生の系統)で、体長9m程度で現生ガビアルに似た姿だったと推定されている。
この歯は完全体ではないが目に見えるリペアは無く、計測できる底面の最大径は2cmを軽く超え、分厚いチョコレートブラウンのエナメル質も良好に保存されており、前記のスピノより高品質なもの。

スピノと巨大ワニ形類の歯は一見よく似ているが、よく比較するとワニ形類の方が全体的に寸詰まって彎曲しており、エナメル質の層もより分厚く頑丈で重量感があり、セレーションも見られる。
逆にスピノの歯は長さがあるが、全体的に線が細い上にエナメル層も薄く脆弱な印象で、また大きさの割に軽く、主な餌や摂食の仕方の違いにその理由があるのではないかと思っている。

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