Balizoma variolaris

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何かの病気にでも罹っているいるのじゃないかとでも思えそうな、この三葉虫はバリゾマ・ウァリオラリス (Balizoma variolaris) です。

英国の古典的産地、ダドリー (Dudley) の標本です。ダドリーは産業革命期に鉱石や石炭の採掘で賑わった町ですが、採掘の際に、同時にシルル紀の豊富な化石も見つかりました。三葉虫に関しても、カリメネをはじめとする魅力的なシルル紀の多様な種が産出した事から、歴史的に三葉虫研究の黎明期の重要な研究対象となっています。以後、ダドリー産の化石は、研究者のみならずコレクターも魅了し多くの蒐集家がおしかけましたが、現在、産地は保護されており、新規標本を得る事はできません。今、市場に出回る標本はオールドコレクションの放出によるものです。

この、ダドリーもしくはその周辺で採取された三葉虫全体を指して、ダドリー・バグ (Dudley Bug) もしくはダドリー・バッタ (Dudley locust) と総称されます。

こちらは、そんなダドリー・バグを代表する種の1つ。
頭部にぶつぶつを持つ (イチゴ頭と総称される) 事が特徴であるエンクリヌルスの仲間ですが、この種は中でも病的なほど大きな顆粒を持つ事が特徴で、これは種小名のvariolaris-痘瘡にも反映されております。ダドリーでは、他にもエンクリヌルス (Encrinurus punctatus, Encrinurus tuberculatus) が産出し、いずれも希少ですが、それと比べてもバリゾマは市場に出回る機会が少ないように思います。

16mmという小ささにも関わらず、とても存在感のある種です。

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    Trilobites

    2020/06/12

    やはりシルル紀の代表に相応しい種ですね。三葉虫の研究は、Dudleyから始まったといっても過分ではないと思える記念碑的産地です。近年はコレクターの裾野が広がって、この様な産地よりモロッコやロシアなどを中心に集めるコレクターのが多いとは思いますが、集めたくても入手困難ということも大きいかもしれませんね。Dudleyの三葉虫は、採取から100年以上経過し、何代ものコレクターを渡り伝わった一品ですので、骨董品に近い感覚ですね。

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    • シルル紀もダドリーも他の時代や産地に比べると地味なので、蒐集初期はあまり注目されない産地かもしれませんが、ある程度コレクションが進むとどうしても気になる産地ですよね。モロッコやロシアの度肝を抜く種があれば、この産地や英国・欧州の三葉虫のように落ち着いたシックな種もあり、更にそのいいとこ取りのような北米種もあるというところが、この世界の面白く奥深い点ですね。
      特にこの産地の三葉虫は確かに、歴史を重ねた骨董的価値が加わり、そこも大きな魅力でもありますね。

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