Dalmanites caudatus

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英国三葉虫のダルマニテス・カウダトゥス (Dalmanites caudatus) です。詳細産地は不詳ですが、おそらくマルヴァン (Malvern) 産なのではないかと思います。

全体が残る良品ではありますが、比較的古い時代に採取されたものなのか、表面の状態はやや荒れており保存状態は最良というほどではありません。複眼も潰れてしまっていて、残念ながら残っていないようです。

英国ダルマニテスには、代表的には本種以外に、ダルマニテス・ミオプス (Dalmanites myops) とダルマニテス・グリンドロディアヌス (Dalmanites grindrodianus) という種がいます。これらは、頭部の吻の出っ張りのある無しや尾剣の長さなどで分けられると思うのですが、特にカウダトゥスとグリンドロディアヌスの違いは微妙な気がします。
この標本名は、差し当たりご提供元に準拠していますが、調査の結果、また標本名を変更するかもしれません。悪しからず。

他の地域の類似種としては、米国NY州のダルマニテス・リムルルス (Dalmanites limulurus) が有名で、色合い以外は瓜二つです。

本種はダドリー・バグの一つですが、他のバグと比較すると、市場で見かける機会はやや多い印象があります。灰色の母岩に、茶色の標本本体と落ち着いた色合いの、年季を感じる標本です。

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    Trilobites

    2023/03/19 - 編集済み

    私も以前公開していたD.myopsで登録していた標本があるのですが、再公開する際には、種名を本種に変更しないとダメかなと思っていました。モロッコ産の良質な標本しか集めていないコレクターには見向きもされない状態ではありますが、この荒れた質感を含め、古い産地と標本は価値があります。

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    • mixi図鑑時代に公開されていたD. myopsのことですね。ちょっと記憶が曖昧ですが、あの標本は頭部の吻が出っ張っていたような気がしますね。本当に古い産地の種は、種小名の断定が困難ですよね。資料が少ないですし、頼みの綱の例の英国三葉虫図鑑も、種小名レベルでは結構間違っているような気がします。一方AMNHの名が正確性が高い印象があり、同定には重宝しています。
      新しい産地のような保存状態は望めなくても、Dudley、Eifelにせよ、New Mexicoにせよ、古典的産地産はアンティーク的な要素も楽しめて、そこがまた味わい深いなと思いますね。

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    ktr

    2023/03/19 - 編集済み

    ダルマニテスは例の英国三葉虫本に多数掲載されていますが、見たこともないような保存状態のものばかりで、ある意味目の毒ですね。
    本標本あたりが、手に入る最上の部類になるのかもしれません。
    NY産は、本種の中軸の両端にある凸がないので、やっぱり印象が変ってきますね。

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    • 例の三葉虫図鑑の標本群は、目標であると同時に青い鳥のようなものですね。入手は不可能に近く、図鑑で満足すべきものと納得しています。複眼の保存状態の良い別の標本もあるのですが、そちらは変形が激しく、尾部もなかったりと、完璧を求めるのは難しいです。
      NY産のlimulurusは、言われてみれば、中軸の両端に盛り上がりが無くて、その分中軸が幅広く見えるような気がしますね。その辺りが最大の違いでしょうか。

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