パライバトルマリン "エイトリータ"0.220ct, CuO:2.49% MnO:1.20%

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1982年、ブラジルのパライバ州サンジョゼ・ダ・バターリャにおいて、エイトール・ディマス・バルボーサ(Heitor Dimas Barbosa)は仲間の鉱夫らと共に、ブルーの鮮やかな鉱物を発見しました。当時は不透明なものしか出なかったようですが、その後、エイトールは私財を投じ、1988年(87年?)、遂にその鉱物の透明石を発見します。

中央宝石研究所のCGL通信によれば、1988年発見の透明石は僅かに10kg程度で、あまりに鮮やかなそのブルーは、当初、誰も天然石と信じられなかったようです。

エイトールの発見したその青い透明石は、翌年のツーソンで鮮烈なデビューを飾ります。ショー開始時に90US$/ctだったものが一気に2,000US$/ctに跳ね上がったことは有名な話です。

このような経緯で、パライバトルマリンが表舞台に登場したのは、20世紀終盤の、他の宝石と比べればまだまだ最近のことです。

パライバトルマリンといえば鮮やかな蛍光色を帯びた、緑がかったいわゆる"ネオンブルー"が特徴的な宝石として広く知られており、その色合いはアパタイト以外では唯一無二、人気の主要因になっています。

しかし、エイトールが発見した最初期にはこの裸石のような、深みのあるブルーの石が採れました。

発見者であるエイトールの名前から、最初期(1988年〜1990年)に2〜30kg程度のみ採掘することができた、特別に綺麗な裸石は"Heitorita"「エイトリータ」と呼ばれています。

パライバトルマリンエイトリータは「非加熱のパライバ」と定義づけられることがあります。パライバトルマリンにおいて、非加熱を看破するノウハウを持つ鑑別機関は限られており、スイスのギュベリンは確実に可能と聞きました。ただ、国内では、パライバトルマリンに関する鑑別ルールのため「加熱の痕跡は認められない」と記載することはできません。

パライバトルマリンの加熱処理を看破するにあたり、ノウハウをもつ鑑別機関は

①明らかに非加熱である。
②加熱・非加熱の特徴がいずれも見られる。
③明らかに加熱である。

のいずれかを判断します。
その結果、半分以上は②で残りの過半数が③、最も少ない残りが①ということらしいです。

また、例え非加熱を看破できたとしてもそれを鑑別書に書くことは叶いません。パライバトルマリンは通常、加熱されることで、石の中の3価マンガンを2価マンガンに変化させ、あのようなエレクトリックブルーの色彩を出すようにしています。で、あるため鑑別書には加熱の有無に関わらず「通常加熱」と記載されます。

「通常加熱」と記載することは国内の鑑別ルールで決められた内容です。これを何で書かないとダメかといいますと、コメントに何にも書かない=つまり非加熱、と悪質なセラーはこうやって販売します。

話を元に戻しますが、中央宝石研究所のCGL通信には、以下の記載があります。

>1988年には透明度の高い原石が10kgほど〜

> 1989–1990年にかけてさらに15–20kgの原石が採取され、このうちの10kgが高品質〜

最初期に採れた、透明度の高い高品質のものが、所謂エイトリータです。最初期に採れたことを証明するのは困難ですが、この石のようなストレートブルーの石は、ほんの最初期にしか採れなかったようです。ストレートブルーでかつ産地同定検査で、ブラジル産と出たもの、かつインクルージョンが肉眼で見えないようなものはエイトリータと呼べるものと私は考えます。

この石は、偶然大阪府内のイベントで見つけ、一目みて、衝撃が走りました。そのセラーが取り扱っていた単一ブルーのパライバトルマリンは3ピース。しかしこの石だけ、明らかに彩度と、何より輝きが違いました。セラーに確認した際、この石のみが"heitorita"と言われていました。

また、一部の単一ブルーの上質なパライバトルマリンにはカラーシフト効果があります。この裸石は、画像の通り、LED下でブルー、ペンライトでグリーンに変化します。GIAの鑑別書にもカラーチェンジあり(国内AGL鑑別では記載できない色変化(寒色→寒色))の記載があります。

この石は、ロシアンアレキサンドライト、カシミールサファイア同様、入手が極めて困難な、色石の頂点です。

鉱物名:トルマリン
宝石名:パライバトルマリン "エイトリータ"
組成: Na(Li,Al)3Al6(Bo3)3Si6O18(OH)4
重量:0.220ct/ CuO:2.49%、MnO:1.20%
産地: Batalha mine, São José da Batalha, Salgadinho, Borborema mineral province, Paraíba, Brazil
鑑別:GIA, 日独宝石研究所

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  • 石ってトレーサビリティがないので買い手側は不利な立場でしたが、価値を左右するような重要なステータスもある程度の確度を持って断定してもらえるようになったので本当に心強いですよね。
    ちなみに間違ってたらとても恥ずかしいのですが、ひょっとしてアイジェムスさん取り扱いの品でしょうか?

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      shm

      2020/03/18

      仰る通りです。私も専門知識がなく、鑑別書上で記載される内容や、書籍に記載されている内容、またはネット情報を総括して得る知識以上のものがないので、鑑別の現場に携わる方から得る情報は何よりもありがたいです。

      仰るショップですが、パライバに特化されているお店なんでしょうか。関西のイベントにもご出展されているみたいですが、私が失念してしまっているのか、そちらのショップではないです。御徒町のニミットジェムズ様お取り扱いのものです。
      販売していたストレートブルーのパライバは3ピースで、1ctアップ、0.6ct台、0.22ct(これ)。1ctアップは100万円台で、0.6ctはこの石よりも安価でした。他の2ピースもかなり綺麗でしたが、この石だけ明らかに見た目に差があり、エイトリータと呼ばれていたのはこの1ピースだけでした😳

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    • 専門というわけではなくコンク真珠やガーネット、トパーズといったお馴染みのルースや、ロシア産かつ無処理の折り紙付きエメラルドまで取り扱われていました。

      アイジェムスさんは関西圏でしか出店していないと仰っていたので、もしかするとShinichiさんも立ち寄ったことがあるんだろうな~と想像していた次第です。
      ついでながら店員さんとの会話劇の中に聞き覚えのあるフレーズがあったもので「もしや」と思ったのでした(笑)
      勝手な憶測失礼しました💦

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      shm

      2020/03/19

      なるほど、ではイベントに参加していればいずれお話する機会がありそうです😊というより、私が失念しているだけで既にお見かけしたことがあるかもしれません^_^

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