沈香とは?
沈香という名前は略式で、「沈水香木」という種類の香木のこと。沈香木の比重が水よりも重く、普通の木材とは違って水に沈んでしまうことに由来している。英語では「アガーウッド(Agarwood)」、中東では「ウード(Oud)」と呼ばれる。
もとになる木は東南アジアの熱帯雨林を産地とする香木のみで、現在はワシントン条約により特定の手順以外では輸出入が制限される極めて希少な原料。ベトナム産を「シャム沈香」、インドネシア周辺産を「タニ沈香」と呼び分け、この2種類を総称して「沈香」としている。
ジンチョウゲ科の樹に、重量物による負荷、強風、虫食いなどの環境的ストレスがかかり、樹木内に空洞が発生した隙間を埋めるために樹液がにじみ出し、更にそこに沈香特有の芳香成分に変質するための胞子やバクテリアが付着し、固まって樹脂となるという長い段階を経て沈香木が生成されるのではないかと言われている。沈香ができるメカニズムは現在でも謎が多く、偶然性や自然に左右される面が大きいことから、人工的に生成することは極めて難しい。