六種の薫物とは?

平安時代には、粉末にした香料を調合し、蜂蜜や梅の果肉などを使って練り合わせた薫物(たきもの)と呼ばれる練香がお香の主流だった。基本となる調合方法をもとに、香料を微調整しながらオリジナルの薫物を創作することは、平安貴族にとって教養や財力、センスの良さを表現するものでもあった。このように創作されてきた薫物の中から優れたものは後世に引き継がれ、洗練されていき、その代表格が「六種の薫物(むくさのたきもの)」と呼ばれる。
六種の薫物は、「梅花(ばいか)」「荷葉(かよう)」「侍従(じじゅう)」「菊花(きっか)」「落葉(らくよう)」「黒方(くろぼう)」の六種類の香り。その調香処方は、平安朝の薫物記述の古文献『薫集類抄』に詳細記載され現代に伝わる。後伏見天皇、後小松天皇の各『宸翰書』も、『薫集類抄』に基づいている。
鎌倉時代末期に記されたとされる香道の起源・香趣を説いた伝書である『後伏見院宸翰薫物方(ごふしみいんしんかんたきものほう)』などでは、それらを春夏秋冬になぞらえている。

RECOMMEND

「いま、ウッディな香りが面白い」渡辺佳子×小泉祐貴子 LIVE対談レポート  〜ウッディ系フレグランスの変遷と、いま注目の香りアイテム〜_image

「いま、ウッディな香りが面白い」渡辺佳子×小泉祐貴子 LIVE対談レポート 〜ウッディ系フレグランスの変遷と、いま注目の香りアイテム〜

香り風景デザイナー・小泉祐貴子さんによるフレグランス連載【本物の香りを見極めるために】の特別企画として開催したオンライン対談をレポート。「日本フレグランス大賞2020」で審査員を務め、美容業界の第一線で活躍されている美容ジャーナリストの渡辺佳子さんをお迎えし、ウッディ(=樹木)系の香りをテーマに対談を行いました。

この直近、改めてウッディ系フレグランスの動きに目が離せないという渡辺さん。長く男性向けだと思われていたウッディの香りが、女性からも支持を集めていきそうだというのです。いったいどんな進化をし、どうしていま惹かれるのでしょう?

今回は、そんなウッディ系フレグランスをとりまく背景をはじめ、ウッディノートの解説、メンズフレグランスにおけるウッディの歴史から現在の使われ方などを実例をお見せしながらお話しいただきました。トーク後半では、渡辺さんがいま気になるオススメの最新ウッディアイテムもご紹介しています。

感覚を磨き、知識を学ぶ。香りの本物を識る近道とは?_image

感覚を磨き、知識を学ぶ。香りの本物を識る近道とは?

地球上にある匂い物質は約40万種類あると言われています。人、モノ、空間にはそれぞれ香りがあり、どこへ行っても誰とあっても常に私たちの周りに存在しています。いい香り、嫌な匂い、懐かしい香り、おいしそうな匂い……様々な香りに囲まれている生活に、「質のいい香りを選択する」ということを意識したらより素敵なライフスタイルを楽しめるかもしれません。

当連載では『匂いの風景論』の著者であり、世界トップクラスの香料会社「フィルメニッヒ」や日本を代表する化粧品メーカー「資生堂」で人と香りの関係を研究し、現在は香水・ルームフレグランスなどの香り製品の開発、コンサルティングを手掛ける香り風景デザイナーの小泉祐貴子さんが、「本物の香りを見極めるために」をテーマに香りにまつわるあれこれを解説していきます。

本物の香りを見極めるための感性の磨き方をはじめ、香りの分類や特徴、嗅覚のメカニズムなどの基礎、時代を動かしてきた権力者たちと香りの関係、近現代の名香、アートとなった香水瓶などの歴史、さらに自分らしい香りを取り入れるための選び方・着け方まで、全8回に分けてご紹介。番外編では、和の香りやフレグランスのトレンドについての対談も予定しているのでお楽しみに!

さて初回は、「本物の香り」とはいったいどんな香りなのか?本物を見極めるためにはどんなことを意識したらいいのか?などの基本を教えてもらいました。質の良い香りを識るための準備運動をはじめていきましょう。

チェコの香水瓶と「なくしたくない」から産まれるレトロ・チェコスロバキア_image

チェコの香水瓶と「なくしたくない」から産まれるレトロ・チェコスロバキア

チェドックザッカストアからチェコのガラスとチェコ文化を学ぶ今企画。これまで、ボヘミアガラスやガラスボタンを紹介してきましたが、今回は「チェコの香水瓶」。
店主・谷岡さんによると放っておけば失われてしまうかもしれないチェコの文化のひとつだそう。そして、チェコの若い世代による「復刻」という動きが注目されているようです。チェコの職人技の結晶の香水瓶をご紹介します!

万年筆と紙の相性:ノートも便箋も試し書きを一気見せ!_image

万年筆と紙の相性:ノートも便箋も試し書きを一気見せ!

万年筆と相性のいい紙について、万年筆のスペシャリストと試し書きをしながら調査していく「万年筆と紙の相性」。これまで4記事にわたってご紹介してきましたが、「試し書きを全部まとめて見たい!」という声をいただきました。そこで今回は、第1弾 代官山 蔦屋書店 文具コンシェルジュ・佐久間和子さんの「ノート編」と、第2弾 日本橋高島屋 S.C.本館 5F 万年筆売場 セーラー万年筆担当・西本和弘さんの「便箋&レターセット編」、お2人が試し書きした紙を一気見せ!

インクの発色や濃淡、にじみなど、紙との相性で異なる書き味。あなたの好みはどれですか?