オーダーメイドのスーツ、テーラードジャケットを作るなら。オーダー上級者が教える4つのポイント。_image
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オーダーメイドのスーツ、テーラードジャケットを作るなら。オーダー上級者が教える4つのポイント。

「既製品のメンズスーツやジャケットでも仕立ての良いものはもちろんありますが、やはり自分の体型に合わせて仕立てられたオーダーアイテムは着用感も見栄えも確実に良いですね」と服飾ジャーナリスト倉野路凡さんもオススメのオーダー。ただ決して安くない買い物なので後悔はしたくない! 今回は、オーダー通の倉野さんに納得の1着を手に入れるためのオーダーのコツを教えてもらった。

取材日: 2016年11月22日

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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ビスポーク(フルオーダー)とパターンオーダーの違いとは。

既にご存知の方もいるだろうが、今一度ビスポークとパターンオーダーについての違いについておさらいしておこう。

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●パターンオーダー●
テーラーが用意しているゲージ(試着用のサンプルジャケット)の中から好みのものをセレクト。その型を体型に合わせてサイズ調整していく作り方。全体的なシルエットデザインは限定されるが、生地、パーツデザインなどのディテールも好みで選べる。ビスポークと比べてリーズナブルな価格でオーダーできるので、オーダー自体初めてという人にもトライしやすい。ちなみにパターンオーダーは日本独自の呼び方。海外ではス・ミズーラなどと呼んでいる。

パターンオーダーの工程

1:カウンセリング
2:採寸
3:体型補正(生地にピンを留めて調整)
4:生地、裏地、ボタン、パーツデザインのセレクト
5:縫い(縫製工場)
6:完成

★完成までの時間:約2~3週間(長い場合は1ヶ月)

ちなみに、パターンオーダーとひとことで言っても、型やパーツを選ぶだけのカジュアルなものから限りなくビスポークに近いものまで、テーラーによってもシステムや呼び名も違ってくる場合がある。ちなみに、パターンオーダーよりさらに選べる範囲が広いイージーオーダー(パーツごとの型紙を組み合わせて作る)というものもある。

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●ビスポーク(フルオーダー)●
英語のBe Spokeが語源となるビスポークは、その呼び名の通り、顧客と話をしながら、カッター(生地を裁断する人)またはフィッターが採寸、型紙作りをする。その後、テーラー(縫う人)が縫い、仕上げまでの工程を作り上げる方法だ。場合によっては全工程を一人の職人が行うこともある。よりいっそうの手間暇がかかるためパターンオーダーより価格帯は上がる。究極のフィット感が欲しい人や、パターンオーダーでは補正しきれない体型の人、細部まで自分のこだわりを注ぎたいという人むけ。工程はパターンオーダーの縫いの工程で仮縫い、中縫い、本縫いと3度の縫いが追加され、より顧客の要望や体型に合わせて完成される。

ビスポークの工程

1:カウンセリング
2:採寸
3:生地、裏地、ボタン、パーツデザインのセレクト
4:型紙作り
5:生地の裁断
6:縫い(仮縫い/中縫い/本縫い)
7:完成

★完成までの時間:約3ヶ月程度(人気店の場合は1年待ちも)

コツその1:初めてのオーダーは春夏ではなく秋冬モノがベスト!

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一般的に夏は汗をかきやすくなるので夏物は早く傷みやすい傾向がある。少しでも長持ちさせたいならば、秋冬物をオーダーするのがベター。ビスポークの場合は秋冬物の厚みのあるウール生地のほうがアイロンワークなどの職人技を生かしやすいこともあり、秋冬物はビスポーク、春夏物はパターンオーダーといった具合に使い分ける常連者もいる。また、オーダーするタイミングにも注意!「欲しい」と思い立った時、パターンオーダーならば2~3週間で仕上がるところもあるが、ビスポークではオーダーしてから完成するのが3か月程度かかる。いざ完成して着ようとしたら既にシーズンが過ぎていた。そんな悲しい結末にならぬようオーダーは早め早めの計画が肝心なのだ。

コツその2:オーダー時のイメージは可能な限り具体的に!

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オーダーする側に具体的なイメージがあればあるほどテーラーも理想の形に近づけやすいもの。仕事着なのか、休日のカジュアルなのか、どのようなシーンで着たいかイメージすることは大前提。その上で、普段着ているジャケットを着用していく、中に着たいベストやシャツを持参するのも良い比較資料になるだろう。また、スーツの場合はパンツの長さを調整することもあるため、必ず革靴を履いていくこと。お気に入りのブランドがあるならその名前を伝えるのもいいし、007のジェームズ・ボンドの着こなしに憧れるならそれも是非伝えて。自分好みの仕上がりに近づけるためにも、自分をさらけ出すことを恥ずかしがらず、出し惜しみなく伝えよう。

コツその3:生地マニアにならずとも、良い生地に触れておこう!

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ジャケット、スーツオーダーには生地選びも付き物。この生地選びで出来上がりの印象が大きく変わると言ってもいい重要ポイント。テーラーでももちろん解説してくれるはずだが、全く知らない丸腰状態でオーダーするよりは、少しでも生地の知識を知っておくだけで、他生地との比較もしやすい。何も生地マニアにならなくても良い、付け焼き刃的でもOK。以下オススメする参考生地を一度見て触れて知ってほしい。テーラーで「知ってるな」感を醸し出すのにもオススメだ(笑)。

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ドーメル

ブランド:ドーメル
生地:アマデウス 
適度な艶もありラグジューアリー感があるので、着る人をワンランク上に見せてくれる。パターンオーダー、ビスポークともに人気がある。


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ハリソンズ・オブ・エジンバラ

ブランド:ハリソンズ・オブ・エジンバラ
生地:フランネル
珍しい紡毛フランネルで、とても重厚感があり、クラシックなスリーピースなどに選びたい生地。くせとりやイセ込みなどのテーラーの技術力を反映しやすいこともあり、ビスポークで選ぶ人も多い。

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ホーランド&シェリー 

ブランド:ホーランド&シェリー 
生地:全般
英国のマーチャントで、高品質な生地でよく知られている。光沢感のあるラグジュアリーな生地も多く揃っていて、ビスポーク上級者や人前に出る機会の多いVIPたちに人気が高い。

エルメネジルド・ゼニア

ブランド:エルメネジルド・ゼニア 
生地:トラベラー 
ハイツイスト系(強撚糸)でしわになりにくく復元力がある。出張の多いビジネスマンから支持されている。他にも機能的な生地が揃っているのが魅力だ。

カチョッポリ

ブランド:カチョッポリ
生地:コットン
ナポリのマーチャント(生地商)が展開しているカチョッポリ。陽射しの強いナポリに映えるような発色のいいコットン生地が人気。春夏物にカチョッポリを選ぶ人も多い。

コツその4:良いテーラー探しは感とフィーリングだけで決めないこと!

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 自分と相性の良いテーラー、腕の良いテーラーを知っていればもう何も言うことがないが、初めてでは何が良いのかすら分からないのが当たり前だろう。一概には言えないが、僕のこれまでの取材とオーダー経験から編み出した、判断する際の基準を参考としてご紹介したい。

●顧客に対してのスタンスがきちんとしている。

 どちらが偉いというわけでは決してないが、きちんと顧客が上の立場であるというスタンスで対応してくれるテーラーかをチェックしてほしい。僕がこれまでお会いしてきたプロの方々は、どんなに親しくなってもこのスタンスを崩すことなく徹底されている。
 
 そして仕事が丁寧な職人さんほど、必ずと言っていいほど顧客への対応が丁寧で行き渡っているのだ。その昔、テーラーの始まりも王族、貴族に仕える職人だったのだ。親しみやすさを重視する人もいるかもしれないが、クラシックなスーツへの造詣の深さや、技術の探求心を常に意識しているテーラーが望ましい。テーラーがトレンド情報を仕入れてもあまり意味がない。注文主の体型を的確に補正して、いかにカッコよく、立派に見せるかが大切なのだから。

●テーラーに自分のイメージにそったサンプルがある

 特にパターンオーダーでは、体型補正をするために着用するゲージ(サンプルジャケット)というものがある。本来はそのゲージを着用して、フィッターまたはカッターがピンで留めて体型補正を行うのだ。まずゲージを着せてもらって、鏡の前でそのジャケットのシルエットが自分に似合うのかどうかを確認する。可能ならば写真を撮ってもらい、その場で決めないで、本当に似合っているのかどうかを帰宅してから客観的に確認するといい。もしゲージが似合っているのであれば、さらに体型補正をしていくので満足度は高い。

 可能ならいくつかの店舗でゲージを着用して、一番似合うゲージのお店にするのも方法のひとつ。お店にとっては面倒な客にも映るがけっして安いお買い物じゃないのだから慎重に選びたい。この試行錯誤を寛容に受け止めてくれるのも良いテーラーの一つとも言えるだろう。

●(パターンオーダーの場合)取引している縫製工場が複数ある

 パターンオーダーをする場合、縫製はテーラーが取引のある縫製工場に依頼をしている。工場によってイギリス調の縫製が巧いとか、ナポリっぽい縫製が得意など、特徴があるのだ。その縫製工場の特徴を踏まえた上で縫製依頼先を使い分けるのがテーラーの力量の一つでもある。

 芯地をしっかり入れるのが得意な工場もあれば、芯なしの柔らかなジャケットが得意な工場もあるのだ。一方で一つの縫製工場としか取引のないテーラーもある。その縫製工場ならではの高い技術力を生かしたスーツを提供しているテーラーなら問題はない。

 なんとなく工賃が安いからその縫製工場に依頼している。そんなテーラーは問題がある。事前に尋ねるテーラーがどんな縫製工場と取引があるのかもチェックしたい。

●できればビスポークにも対応していることろがベスト

 これも一概に言えないが、ビスポークもやってるテーラーの方が、採寸する技術や、補正する技術も総じて高いところが多いと感じる。まだオーダー経験が浅く、まずはパターンオーダーからと考えている人にはまずビスポークテーラーでのパターンオーダーから始めてみてはどうか。

ミューゼオスクエアオススメのテーラーは記事末尾でご紹介!

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最後に、、、

冒頭でオーダーは着心地も見栄えも格別とお伝えしたが、ビスポークやパターンオーダーで着る人の印象が劇的に変わるというわけではない(笑)

ただ、着用するものがジャストフィットになり、サイズの合っていないだらしなさがなくなる。つまり全体的にきちんとした印象になるというのがオーダーの良さなのだ。
常に既製服を着用していると気づかないものなのだか、パターンオーダー、ビスポークをしてみて初めて見える世界もある。そしてブランドに頼らずとも服をかっこ良く着られるようになるという大きな利点もある。知らないで終わるのはもったいない。そして「おまかせで」で終わってしまうのももったいない。ぜひ自分のこだわりを注いで10年先も愛用できる1着と出合ってもらいたい。

ミューゼオスクエアオススメのテーラーはこちら!

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BLUE SHEARS(ブルーシアーズ)

英国王室御用達で知られるサヴィルロウの老舗テーラー、ギーブス&ホークスで修行をした異色のカッター、久保田によるテーラー・BLUE SHEARS。独自の芯地づくりや、緻密な手縫い工程など細部にまで神経の行き渡った仕事でリピーターが絶えない。世田谷瀬田のアトリエは完全予約制のため、訪れる際には事前に電話予約を。渋谷青山には久保田氏が自ら教鞭をとりテーラリングを指導する「BLUE SHEARS ACADEMY」も。

東京都世田谷区瀬田1−14−2

03−3707−4611

完全予約制

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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companie van verre(コンパニエヴァンヴェール)

テーラー&カッターの水野隆守氏が手がけるcompanie van verre。日本の高品質を誇るファクトリーで生産される工場製スーツやハンドメイドによるフルオーダースーツなどメニューが豊富である。海外及び国内の厳選された生地見本から選ぶことができるのも魅力。洋服のお直しや、カスタマイズ、リメイクなども請け負っている。
<MENU>
MADE-TO-ORDER by factory   108,000円~(日本の高品質を誇るファクトリーで生産される工場製スーツ)
MADE-TO-ORDER by studio   270,000円~(ハンドメイドによるフルオーダースーツ)
MADE-TO-ORDER SHIRTS by factory 12,960円~(日本製パターンオーダーシャツ)

東京都渋谷区千駄ヶ谷3-6-3 Pelangi–gingu B1

03-6885-4573

12:00~20:00

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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Vorterano(ヴォルテラーノ)

ヴォルテラーノでは店主でありテーラーであり、パタンナーでもある岡本さんがテーラー以外に自らデザインする既製品(メンズのみ)も販売している。既製品の良さとテーラーリングの良さの両方を知っていて、なおかつコミュニケーション能力に長けているからこそ、柔軟な対応ができるのである。また、お客さんが喜んでくれるなら面倒なことでも惜しまないという岡本さんの思いから、型紙の制作から縫製まですべての作業を一人で行っている。こだわりぬいたオーダースーツを希望の方におすすめの一店である。

東京都目黒区八雲1-5-2

03-5647-6321

10:30〜20:00
定休日:月曜

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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LOUD GARDEN(ラウドガーデン)

LOUD GARDENの特徴は、ズバリ遊び心。テーラーと普通のブティック的な要素を兼ね備えており、店内に展示しているモデルはイギリスのスーツがデザインのベースとなり、そこに店主こだわりのロックテイストが反映されている。一見アバンギャルドのようだが伝統的な製法やカッティングを行っている。オーダーを受けたアイテムは、その季節内に着用できるように、なんと一ヶ月半でのお渡しもしているという。これは普通のテーラーでは考え難い期間である。また、お店はテーラーでは珍しく予約制ではないため初心者でも来店しやすいおすすめの一店である。

東京都港区南青山4-1-3

03-6438-9563

月、火、金  12:00 - 20:00
土、日 11:00 - 20:00
水、木 休み
※水曜日は予約のみ対応

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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