つま先の切り替えが一文字に入ったデザインで通称「一文字」の愛称でも親しまれている。発祥の地イギリスでは「ストレート・キャップ・トウ」或いは「ストレート・キャップ・オックスフォード」などと呼ばれる。
つま先に芯地を入れる際に目安として施した線がそのままデザインになったという説がある。余計な装飾を省いたごくシンプルな佇まいから、黒の内羽式のストレートチップはビジネスシーンや冠婚葬祭でも着用できるフォーマル靴とされる。
デザインバリエーションには、一文字にメダリオン(穴飾り)があり、より華やかな印象をあたえる「パンチド・キャップ・トウ」も。茶色よりも黒、外羽根式より内羽根式のものの方がフォーマル度は高い。
「プレーン・フロント(Plain Front)」なる別名もある、つま先や甲周りに何も飾りが施されていないシンプルなデザイン。そのためカジュアルスタイルにもビジネススーツにも幅広く合わせやすい一足。
バリエーションとしては、履く人から見て羽根がVの字に切り替えらえた「Vフロント」や、一枚革を贅沢に用い踵にのみ縫い目がある「ホールカット」などもある。
外羽根式か内羽根式かによっても見た目の印象が変わるが、黒×内羽根式の組み合わせはより畏まった印象になりタキシードや燕尾服、夜宴の礼服とも相性が良い。
靴紐がなく脱ぎ履きが容易なスリッポン(英語のSlip-onから)タイプの靴の一種。英語で「怠け者(loafer)」を意味する。デザインは甲周りにUの字型のステッチや切り返しが入り、その切り返しにまたがるように帯状の飾りがついたもの。
1920年代にイギリスの上流階級向けの室内履きとして登場したといわれているが、1950年代にはアメリカの大学生たちがサドルストラップ(帯状の飾り)の切り込みに1セントコインをお守りとして差し込んで履きそれが流行に。そこから「ペーニーローファー(別名:コインローファー)」と呼ばれるようなり、アイビールックの定番シューズとなった。
縫い目にブローキング(アメリカではパーフォレーション)、つま先部分にメダリオンと呼ばれる飾り穴がそれぞれ施されたデザインをブローグ(Brogue)と呼ぶ。その中で、甲部分にW字状の切り返しとブローキングが入ったものが「フルブローグ」と分類されている。
このW字状部分が鳥が羽を広げているようにも見えることからアメリカでは「ウイング・チップ」の呼び名で通っている。バリエーションとして、縫い目がブローキングではなくステッチングで飾っている「ブラインドフルブローグ」、W字状の切り返しとブローキングが踵までぐるっと囲うようにデザインされている「ロングウィングチップ」などがある。
先にあげたフルブローグとの違いは、つま先部分の切り返しとブローキングがW字状ではなく一文字状になっていること。また、つま先部分にメダリオンが施されていないものは「クォーターブローグ」と名称が変わる。どちらもフルブローグに比べ抑制の効いた顔立ちになるので、ビジネスの場でも広く活用し易い。
なお、もともとブローグの原型とされているのは、16世紀頃のスコットランドやアイルランドで履かれた耐水性に飛んだ編み上げ状の作業靴。飾り穴のブローキングは通気性や水はけを良くする工夫としてあしらわれ、今日的な意匠に洗練されたのは19世紀に入って以降と言われる。
1対のバックルとストラップで甲を締めて固定させる形をモンクストラップ、もしくはシングルモンクストラップと呼ぶ。原型のモデルとなったのは15世紀のヨーロッパ、アルプス地方の修道士(モンク)が履いていたサンダルとされている。
バリエーションとしては2対のバックル&ベルトで固定する「ダブルモンクストラップ」や、バックルの位置が靴の履き口のサイドにまで回り込んだ「サイドモンクストラップ」がある。
「ダブルモンクストラップ」は、ロンドンのシューメーカー・John Lobb(ジョンロブ)がイギリス20世紀最強のセレブと謳われる、ウィンザー公(元イギリス王国エドワード8世)の為に「普段履き」として造り上げたもの。
甲周りにUの字型のステッチや切り返しが入ったデザイン。ただし、Uチップという呼び名は日本だけ。イギリスではノルウィージャン・ダービーやエプロン・フロント・ダービー、アメリカではアルゴンキンブルーチャー、フランスではシャッス(狩猟)など呼び名が違う。
1920〜30年代、狩猟やゴルフなど屋外スポーツを楽しむ為の靴として原型が出来上がり、その後、軍用靴として世界各国に広がっていったとされる。
Uの字型の縫い目がVの字型に変形した「Vチップ」や、UやVのように1本の線で繋がらず、2本線のままつま先へ落ちていく「スワールモカシン」または「バイシクルフロント」もある。