本格革靴の原点。プレーントゥの特徴と代表モデル

取材日: 2018年10月27日

文・写真/ミューゼオ・スクエア編集部

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「お気に入りの革靴を履いている」満足感は、仕事や学業のパフォーマンスをあげてくれるもの。この連載では革靴のデザインごとに代表モデルやディテールについて解説します。

愛せる革靴を探す旅。今回はプレーントゥを掘り下げます。飾り気のない見た目だからこそ、フォルムやハトメの付け方、ソールなどにブランドごとの違いがよく表れます。

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プレーントゥと一口に言っても色々存在する

プレーントゥとは、その名の通りトゥの部分に装飾が施されていない靴を指します。

プレーントゥには、大きく分けて4つのタイプが存在します。エレガントな内羽根式、活動的な外羽根式。外羽根式と似た形状ながら、鳩目が少なく上品な印象を与えるVフロント、シンプルゆえに職人の技術が如実にあらわれるホールカットの4種類。

それぞれどういったデザインの靴なのか、写真と合わせて紹介していきます。

内羽根式

EDWARD GREEN(エドワードグリーン)「Carnegie」ラスト88

EDWARD GREEN(エドワードグリーン)「Carnegie」ラスト88

内羽根式プレーントゥとは、羽根(靴紐を通すハトメがついた部分)が甲の下に入るような革靴を指します。

シンプルで流麗なフォルムは、洗練されたエレガントな印象をもたらします。特に黒と内羽根式プレーントゥの組み合わせは品があり、燕尾服やタキシードなどを着るべき格式高い場にも問題なく合わせられます。

ただし、モーニングやディレクターズスーツなどの場合は、内羽根式キャップトゥの方がよりふさわしいとされているので注意が必要です。

なお、プレーントゥ全般に言えることですが、外羽根式と比べると羽の開きが小さいため、サイズ調整はよりシビアになります。

外羽根式

Alden(オールデン) 「990」ラストBarrie

Alden(オールデン) 「990」ラストBarrie

外羽根式プレーントゥは、内羽根式プレーントゥと異なり羽根と甲が一体化しておらず外に開いている革靴のこと。

外羽根式プレーントゥは、羽根で足の甲を覆う部分が多いため、紐を結んだ時にフィット感の調整がしやすいことが特徴です。また、内羽根式と比べるとカジュアルで活動的な雰囲気があり、デニムパンツなどのカジュアルな装いにも合わせることができます。

ビジネスユースにも使用することができる、実用性が高いオールラウンダーと言えます。

Vフロント

John Lobb(ジョンロブ)「 Peelier」ラスト2466

John Lobb(ジョンロブ)「 Peelier」ラスト2466

外羽根式のプレーントゥのうち、羽根の形状がV字に広がるタイプの革靴を「Vフロント」と呼びます。鳩目の数が外羽根式プレーントゥと比べると少なく、位置も高めでより上品な雰囲気が漂います。ヨーロッパではタキシードを着用する際、オペラパンプスの代用としても着用されているほど。

甲の高い部分で紐を結ぶことができるため、フィット感も得ることができます。

ホールカット

J.M. WESTON(J.Mウェストン)「ワンピースオックスフォード FLORE COLLECTION 402」ラストJ0

J.M. WESTON(J.Mウェストン)「ワンピースオックスフォード FLORE COLLECTION 402」ラストJ0

ホールカットとは、プレーントゥのうち革一枚で作られたデザインを指します。別名はワンピース。

縫い合わせが甲とかかとのみで最低限のため、足に合うように製造することが難しく技術が求められます。また、一枚の革を贅沢に使うため、傷のない大きい革必要と、まさに靴職人の技術の結晶とも言えます。

プレーントゥのその他のデザインと比べると合わせる洋服はやや限定されるものの、無地のスーツなどを合わせると靴のエレガントさが引き立ちます。

プレーントゥの歴史

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内羽根式プレーントゥの歴史は古く、1850年ごろのイギリス王室のヴィクトリア女王の夫、アルバート公が内羽根式のミドルシューズを作らせたのが発祥であると言われています。

なお、イギリスでは内羽根式プレーントゥをアルバート公が好んだ王室御用邸の名前を取り「バルモラルシューズ」とも呼んでいます。

外羽根式革靴の歴史はさらに古く、1800年代の初頭に歩兵用の靴として製造されたことがルーツにあります。プロシアの陸軍元帥だったゲハルト・ブラヘルが考え、ナポレオンに挑んだワーテルローの戦いにて使用されたことから普及したと言われています。

その後、郵便配達用のポストマンシューズとしてや、海軍士官のサービスシューズなど少しづつ形を変えながら今の時代まで使用されています。

ハイブランドのアイコンモデルから、初めての一足まで。プレーントゥの代表モデル

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Crockett&Jones(クロケット&ジョーンズ) 「ALEX」

1879年、靴作りの聖地イギリスのノーサンプトンにて創業したクロケット&ジョーンズ。

ALEXは、モダンなホールカット。エッジーなスクエアが特徴のラスト#348を使用しています。切り返しや穴飾りがないため、トウにかけてのシルエットの綺麗さは抜群。フォーマル用としてもお使いいただけます。また、ラバーソール仕様なので耐久性にも優れています。

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BERLUTI(ベルルッティ)「ALESSANDRO」

創業当初から、ビスポークの世界で培った確かなノウハウを土台に、熟練の技を製品に反映してきたベルルッティ

創業者である「アレッサンドロ・ベルルッティ」の名前を冠したこのホールカットは、「メゾン・ベルルッティ」を代表するモデルです。

アッパーは植物タンニン鞣し(なめし)とクロム鞣し(なめし)を使ったヴェネチアレザー。しなやか、かつ深みのある色を表現できる、唯一無二の皮革です。スリーアイレットで、シンプルな美しさが際立つ「ALESSANDRO(アレッサンドロ)」は、まさに芸術品。

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REGAL(リーガル)「2504」

日本のビジネスマンの足元を支え続けてきたリーガルが製造する、普遍的なデザインのプレーントゥが「2504」です。

底付けはグッドイヤーウェルト製法、アウトソールはラバーソール。足馴染みがよく長時間履いていても疲れが少ないことが特徴です。

約50年前に生み出された「2504」がいまなおビジネスマンに愛され続けていることこそが、そのクオリティの高さを物語っています。

まとめ:シンプルで、万能だからこそクオリティに違いが出る

本格的な紳士靴を購入しようと検討しているならば、一足目には黒の外羽根式がおすすめです。

外羽根式のプレーントゥはデニムにも合わせることができる上に、ビジネスの場でも問題なく合わせることができます。一足持っておいて出番がないことは、まずないでしょう。なお、フォーマルユースに最適とは言えませんが、急な冠婚葬祭であればなんとか許容される範囲のデザインです。

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内羽根式は外羽根式と比べるとより洗練された雰囲気になり、タキシードなどの礼装のオペラパンプスの代用としても用いることができます。

ポストマンシューズなど、ラバーソールでトゥがぽってりとしたデザインのプレーントゥはよりカジュアルな雰囲気になります。

レザーソールを選べばよりシックに、ラバーソールならばよりカジュアルな見た目に。シンプルだからこそ、雰囲気やクオリティの差が如実にあらわれる、正直なデザインです。

ーおわりー

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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