年を重ねたいま履きたい。ローファーの特徴と代表モデル

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文/ミューゼオ・スクエア編集部

「お気に入りの革靴を履いている」満足感は、仕事や学業のパフォーマンスをあげてくれるもの。この連載では、革靴のデザインごとに代表モデルやディテールについて解説します。

愛せる革靴を探す旅。今回は学生の制服としてもおなじみ、コインローファー(ペニーローファー)を深掘りしていきます。

ローファーの特徴

J.M.WENTON(J.M.ウェストン)「シグニチャーローファー #180」

J.M.WENTON(J.M.ウェストン)「シグニチャーローファー #180」

ローファーとは、甲に馬具の鞍のようにアッパーをまたぐサドルストラップが縫い付けられた、スリッポンタイプの靴の総称です。スリッポンとは、紐やバックル・ストラップのような履き口を締め上げる部品が原則存在せず、靴全体の形状だけで足に固定させる靴を指します。ローファー以外にも、タッセルスリッポンなどが存在します。

ローファーとは英語で「怠け者」の意味で、紐などで結ぶことがなくまさに気楽に履ける靴です。中でもサドルストラップ部分に一文字があるローファーを「コインローファー」や「ペニーローファー」と呼びます。

ローファーの特徴と言えば、「怠け者」の名の通り、着脱しやすさと軽快感のあるその作りにあります。足馴染みの早い袋縫いのマッケイ製法に、つま先とかかと芯がなくライニングもつかないシンプルな構造ゆえに、「気軽に履ける靴」として人気を博しています。

一方で、グッドイヤー・ウェルテッドのローファーも存在します。オールデンのそれは、つま先に先芯が入り、アッパーもコードヴァンを使用しているためいくぶんか力強い仕上がりになっています。

コインローファーのサドルストラップには、大きく分けて2つの作りが存在します。一つがBASS社の「ウィージャンズ」に代表される「フラットストラップ」。その名の通りストラップの両端がフラットに縫製されているタイプです。

もう一つが、アメリカの靴メーカー「セバゴ」が産んだ「ビーフロール」。ストラップの両端がぐるぐると縫われた補強されています。

ローファーの歴史

MuuseoSquareイメージ

1960年代、アメリカでトレンドとなったアイビールックの足元を飾った靴がローファーでした。当時、サドルストラップの飾り穴にお守りやアクセントとして、ペニー硬貨を差し込んで履くのが流行ったことからそう呼ばれています。

ローファーの名前を最初に使用したのは、アメリカの靴メーカー「ネトルトン」。1934年にローファーという名前で靴を販売しました。現在のローファーの基本形になったのは、アメリカのBASSが1936年に発売した「ウィージャンズ」です。

なお、「ローファー」のルーツについては、1920年代にロンドンに暮らす上流階級向けの室内履きとして提案されたもののが起源ではないかと言われています。

ローファーの代表モデル

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JOSEPH CHEANEY(ジョセフ チーニー)「HUDSON」

ベーシックなコインローファー「HUDSON(ハドソン)」。木型にはジョセフ チーニーの定番に位置づけられるローファー専用の5203ラストを採用。英国靴らしい程よい丸みとボリューム感があり、品格も十分に兼ね備えたフォルムが特徴的です。

あくまでもローファーの定番たる表情を残しつつ、柔らかくなエレガンスを漂わせるブランドのローファーラインアップの中でも定番の1足です。

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John Lobb(ジョンロブ)「LOPEZ」

ブーツメーカーの最高峰、ジョンロブ。19世紀中頃に靴作りを始めて以降、素材、縫製、仕上げ・・・どれをとっても一級品のものづくりを続けてきました。

紹介するLOPEZは、ジョンロブを代表するローファーです。最初に発表された1950年以来、世代を超えて愛されている一足です。それは、ハンドステッチされたフロントエプロンを特徴とする、シンプルかつ普遍的なスタイルと完成度の高さによるものと言えます。

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Trading Post(トレーディングポスト)「ローファー」

「本当に良い靴」を見つけることができるセレクトショップ、「トレーディングポスト(Trading Post)」オリジナルのローファー。

程よいラウンドトウでありながらスマートに伸びたトウライン。指先まわりには程良いゆとりがあり、踵は立体的で丸みを帯びたヒールカップになっておりフィット感に優れています。

アッパーにはフランス産のカーフを使用し、底材にはしなやかなイタリアンソフトベンズを採用。充実した最新の設備と高い職人技術をあわせ持つインドの工場で生産される、コストパフォーマンスの高い一足です。

まとめ:試着してから購入したい!

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「怠け者」の名前の通り、カジュアルな靴でフォーマルには適していません。ノーズがやや短めの無骨なフォルムをチョイスすると、足元がスッキリと仕上がります。学生の頃から馴染み深く比較的どんな服装にも合うとはいえ、靴がカジュアルな分装いには少し清潔感のあるものを選びたいところ。

紐やストラップによって締め付けを調整できる機能がないので、足との相性がよくあらわれます。一度は試着した上で購入するのがおすすめです。

ーおわりー

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公開日:2019年4月17日

更新日:2022年5月2日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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