ローファーとは、甲に馬具の鞍のようにアッパーをまたぐサドルストラップが縫い付けられた、スリッポンタイプの靴の総称です。スリッポンとは、紐やバックル・ストラップのような履き口を締め上げる部品が原則存在せず、靴全体の形状だけで足に固定させる靴を指します。ローファー以外にも、タッセルスリッポンなどが存在します。
ローファーとは英語で「怠け者」の意味で、紐などで結ぶことがなくまさに気楽に履ける靴です。中でもサドルストラップ部分に一文字があるローファーを「コインローファー」や「ペニーローファー」と呼びます。
ローファーの特徴と言えば、「怠け者」の名の通り、着脱しやすさと軽快感のあるその作りにあります。足馴染みの早い袋縫いのマッケイ製法に、つま先とかかと芯がなくライニングもつかないシンプルな構造ゆえに、「気軽に履ける靴」として人気を博しています。
一方で、グッドイヤー・ウェルテッドのローファーも存在します。オールデンのそれは、つま先に先芯が入り、アッパーもコードヴァンを使用しているためいくぶんか力強い仕上がりになっています。
コインローファーのサドルストラップには、大きく分けて2つの作りが存在します。一つがBASS社の「ウィージャンズ」に代表される「フラットストラップ」。その名の通りストラップの両端がフラットに縫製されているタイプです。
もう一つが、アメリカの靴メーカー「セバゴ」が産んだ「ビーフロール」。ストラップの両端がぐるぐると縫われた補強されています。
1960年代、アメリカでトレンドとなったアイビールックの足元を飾った靴がローファーでした。当時、サドルストラップの飾り穴にお守りやアクセントとして、ペニー硬貨を差し込んで履くのが流行ったことからそう呼ばれています。
ローファーの名前を最初に使用したのは、アメリカの靴メーカー「ネトルトン」。1934年にローファーという名前で靴を販売しました。現在のローファーの基本形になったのは、アメリカのBASSが1936年に発売した「ウィージャンズ」です。
なお、「ローファー」のルーツについては、1920年代にロンドンに暮らす上流階級向けの室内履きとして提案されたもののが起源ではないかと言われています。
「怠け者」の名前の通り、カジュアルな靴でフォーマルには適していません。ノーズがやや短めの無骨なフォルムをチョイスすると、足元がスッキリと仕上がります。学生の頃から馴染み深く比較的どんな服装にも合うとはいえ、靴がカジュアルな分装いには少し清潔感のあるものを選びたいところ。
紐やストラップによって締め付けを調整できる機能がないので、足との相性がよくあらわれます。一度は試着した上で購入するのがおすすめです。
ーおわりー