レディス革靴・座談会。プロ目線から、革靴の魅力と選び方、おすすめの一足を聞く 連載「革靴のススメ」番外編・前編

レディス革靴・座談会。プロ目線から、革靴の魅力と選び方、おすすめの一足を聞く 連載「革靴のススメ」番外編・前編_image

文・写真/ミューゼオ・スクエア編集部

近年一部の女性の間で評価を得つつある紳士靴=レディス革靴について、服飾ジャーナリスト・飯野高広さんが解説していく連載「おじ靴のススメ」。今回は、革靴の販売、PR、靴磨き、シューケア用品などに携わる4名をお迎えしZOOM座談会を開催!司会は、飯野さんです。

本編では、これまでレディスを取り扱う革靴ブランドの紹介、靴のデザイン・スタイル、靴底の製法など、革靴の基本からかなりマニアックなところまでお届けしてきました。連載も終盤にさしかかり、このまま深〜い革靴の話を期待されている方もいると思います。ですが、その前に!革靴を実際に愛用している方々の声を聞いてみませんか?

前半では、革靴のどこが好きなの?何をきっかけにハマったの?一番気に入っている革靴は?革靴の選び方のポイントは?などを聞いてみました。

おじ靴→革靴に呼び方を変えました

「革靴」と文字にすると、紳士靴=男性のものというちょっと遠い存在に感じる方もいるのではと考え、当初連載では親しみやすく「おじ靴」と呼んでいました。初回の本文を読んでいただいた方はご存知だと思いますが、実は連載当初から飯野さんと「おじ靴」という表現は違和感あるよね。と話していました。ただ、他に的確でしかも簡潔な表現を見つけることができず、代わりの名称を模索しながらのスタートとなりました。

連載が進むにつれその違和感がふつふつと大きくなり、番外編での座談会や靴のイベントで実際の声を聞くことで、改めて「おじ靴」という呼び名ってどうなの?と立ち返りました。今の時点ではまだ完全に相応しいと感じる呼び名を探し出せてはいませんが、第6回からは「おじ靴」という呼び方をやめ、デザインにある程度以上のドレス性と古典性を有し性別も気にせず履ける靴の総称として「革靴」を用いてみようと思います。ただし、私達が気付いていないだけで、もっと相応しい呼称があるかもしれません。皆さんのご意見を賜りたく、SNSなどでお気軽にご意見いただけたら嬉しいです!

※連載名とタイトルは「革靴」と変更しましたが、第5回までの本文ではそのまま「おじ靴」と記載しています。

革靴ZOOM座談会のメンバー紹介

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「東急ハンズ 新宿店」靴お手入れ用品担当・阿部さん

「靴のお手入れ用品は、間違いなく日本一の品揃え!半月に1回、下手すると週1行っています」と飯野さんも頻繁に通う、東急ハンズのシューケアアイテム売り場で勤務。革靴の沼のひとつ「メンテナンス用品」にハマったきっかけもこの売り場から。以前は、レザークラフトエリアでも活躍。
Instagram▶︎@mao.photo

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「Mahogany(マホガニー)」靴磨き職人・磯野さん

山梨県の靴磨き職人。靴磨き店「Brift H(ブリフトアッシュ)」の長谷川さんの動画をきっかけに紳士靴に魅了され、靴磨きの道に入ったそう。同・長谷川さん主催の「紳士靴探求塾」で革靴を学び、「100足練磨」と銘打って磨きの修行を経た後、2020年1月に100足磨きを達成し「マホガニー」をオープン。
Instagram▶︎@fuuspt

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「BRITISH MADE(ブリティッシュメイド) 横浜店」店長・尾山さん

「Stories of British Life」をコンセプトに、上質で長く愛用できるイギリス製品が揃うセレクトショップ。革靴は「JOSEPH CHEANEY(ジョセフ チーニー)」「Church’s(チャーチ)」を取り扱っている。店長を務めるニュウマン横浜では、多くのレディス製品が揃っている。
BRITISH MADE
Instagram▶︎@british_made

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plusu by chausser(プリュス・バイ・ショセ)」プレス・山本さん

厳選された革に定評のある国内の革靴ブランド「chausser(ショセ)」のレディス靴。暖かみのあるデザインで、女性からの人気も高い。プライベートでも「#革靴女子会(SNSで革靴好きがオンオフで集まる会)」に参加されることもあるほど、公私共に革靴好き。
plusu by chausser
Instagram▶︎@chausser_inc

革靴が好きになったきっかけは?音と香りと、タフで柔軟な革靴の魅力

はい、はじまりました、レディス革靴ZOOM座談会(パチパチパチ👏)!皆さんよろしくお願いします!
最初の質問は、革靴が好きになったきっかけです。皆さん革靴にハマって長いと思うのですが、どんなところに魅力を感じて革靴の世界に入ったのでしょう?ここからは飯野さんに司会をバトンタッチ。

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最初は「革靴」というより、「靴」に興味を持っていました。元々、素材よりもデザインや見た目の方のこだわりが強く、市販のものでは欲しいと思えるものが見つからなかったんです。高校がデザイン科だったので、家具や陶芸と色んなモノを作っていくうちに「市販のもので好きなものがないなら作ればいいのか」と単純に思って。それで、卒業後は、靴の専門学校へ。そこが革を使って靴を作っていく学校だったので、その辺りからだんだん「革」の魅力にハマっていきました。
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山本さんは、デザインや靴を作るところから入ったんですね。具体的には、どんなことを学びましたか?
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制作はもちろんですが、履き心地の良さも捨てられないと思い、足にトラブルがある人に対して、インソールや革の素材を選んで作っていくことを学びました。
その過程で革の香りというか、作っているときの接着剤と混ざったときの匂いが好きだなと思ったんですよね……。って、あんまり言うと変に思われるかもしれませんね(笑)。
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いやいや、全然変に思うことはないですよ!例えば、香水だと「レザーノート」という、なめした革のような渋い匂いを使っていることがあるんです。この香りって、香水の成分としては重んじられているんじゃないかな。だから、革の匂いが好きで革靴が好きになったのは、自然な流れだったのではないかなと思います。
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そうですね。革ってだんだんと変化していくのが面白いし、変化していく過程の香りもすごくいいなと思っています!
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私の場合は、一番最初にちゃんとした革靴を履いたのが中学・高校生のときでした。外反母趾でいわゆる学生が履いている「HARUTA(ハルタ)」のローファーを履けなかったんですよね。そこで初めて履いたのが、ビルケンのストラップシューズでした。
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はい。「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」ですね。
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ストラップシューズの後、学生時代はずっとスニーカーをメインで履いていたのですが、たまたま入ったビルケンの店頭に並んでいたウィングチップのシリーズがもう可愛くて一目惚れ。これが2足目で、自分で買った初めての革靴です。
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スタートがビルケンというのは、いいですね。ある意味、伝統的でもあるし、ある意味、今時というのもあるし。やっぱりコンフォート(快適さ)から革靴に入る人もいますよね。外反母趾のような足のトラブルから目が向いたのは、興味の入り方としては「なるほど。確かにそうだよね!」と思わせてくれるところです。
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その頃、ちょうど売り場のゾーニングの変更が重なり、前に担当していたクラフトの売場の隣に、シューズケアコーナーがきて……もうそこからはお手入れ用品の方にズルズル、ハマっていった感じですね。
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売り場の配置変えの影響もあって、あの恐怖(!)のゾーンに入り込んでしまったと。靴クリーム、ワックス、カルナバ、蜜蝋、染料、顔料の世界ですよね。本体より、なんで付属商品の方がこんなにぶっ飛んでしまってるんだろうみたいな。そういう沼ですよね(笑)。あの環境では、ハマりますよ。
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迷い込んだ感じですね。完全に(笑)。
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私も阿部さんの足のトラブルから入ったのと、山本さんの革の匂いが好きっていうところは共通しています。革の匂いが好きだと聞いたときに「でたー!」って思いました(笑)。
それ以外で言うと、靴箱の中の薄葉紙。あのカサカサした感じも好きなんですよね。靴を買ってきて、パカッと開けると玉手箱みたいな。ああいう感覚。
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おー、そこですか!お出まししました、みたいな?
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紙のカサカサ感とか、手触りとか。箱を開けて白い紙の中から現れてくる、そういうワクワク感ですかね。
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それ、すごくいい話だな。私なんかは恥ずかしいけどやっぱりとにかく箱を開けて、実物を早く見たい(笑)。革や接着剤の匂い、紙に触れる音、そういうフィーリング的なところからの入り口もあるんだなと改めて思いました。

磯野さんが今年立ち上げた「マホガニー」は、靴磨きの屋号ですよね。靴磨きの方に興味を持ったのは、何だったのでしょう?
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靴磨きをはじめたきっかけは、「ブリフトアッシュ」の長谷川さんの動画を見てからです。私のやりたいことは「これだ!」と思って、いてもたってもいられず青山のお店を訪ねて、借りてきた紳士靴を磨いてもらいました。それから靴磨きをはじめて、「100足練磨」と銘打って、周りの方々に声をかけ100足磨かせていただきました。その100足が達成したところで「マホガニー」を立ち上げたんです。何万足も磨いこられたプロの方々に少しでも近づけるよう改めてスタートの気持ちでした。今のところお店を構えたわけではなく、お預かりした靴を磨かせてもらっています。
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靴磨きの百人斬りを達成して、ついにオープンしたんですね。おめでとうございます!
尾山さんはどうですか?
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学生時代からよく古着屋へ行っていたのですが、そこで見つけたアメリカのミリタリーシューズ、いわゆるプレーントウのダービーシューズとの出会いがきっかけでした。「あー、かっこいいな!」と思って、もう本当に何も考えずに手にしていましたね。
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ダービーシューズは、外羽根式の革靴の一種ですね。そのミリタリーシューズは、新品?ユーズド?
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ニューオールドストックでした。状態がよく、しかも値段も抑えめなものです。元々、雑誌『FUDGE』のファッションが好きだったのですが、なかなか踏み込めてなくて。その靴を買ってから火がつきました。嬉しくて毎日履いていたんですよ!本当に毎日履いていて、他の靴にはない革靴の作りの良さ、持ちの良さに驚きました。
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そこで革靴の丈夫さ、耐久性を実感したのですね。
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はい。当時からよくカバーオールを着ていたのですが、その足元にもすごく合うこともあり、もっといいのが欲しいと思うようになったんです。
ちょうどそのタイミングで、1年間イギリスに語学留学をしました。そこで、ロンドンのポートベロー・ロード・マーケットへ行き、「ジョセフ チーニー(以下チーニー)」の革靴を見つけたんです。それがイギリス靴との出会いです。
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なるほど。その出会いが、今のお仕事先「ブリティッシュメイド」にも繋がったわけですね。
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そうですね。そこでチーニーの靴をはじめて履いたのですが、やっぱり最初に履いた靴とは全然違う。履き込んでいけばいくほど、チーニーの靴の良さを感じて感動しました。そこからイギリス靴を扱う仕事をしたいと思い、今に至るという感じです。
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新品から入ったのではなく「ビン靴(ビンテージ革靴の略称。ユーズドやニューオールドストックの状態で古着店などで売られている革靴のこと)」がスタートだったというのは、今ならではかもしれません。そこから「他の国の靴や今の靴はどうなんだろう?」と、どんどん扉を開けていった感じなんでしょうね。
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はい、そうですね。
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私の年代だと、いきなり「ビン靴デビュー」ってことはほとんどなかったかな。だけど、今では革靴に興味を持ち出した人のうち古着屋さんでいい靴を見つけて、そこからハマった人は結構いますね。ここは、納得される方も多いのでは!

意外な共通点?一番お気に入りの革靴

ジョセフ チーニー「MILLY」

ジョセフ チーニー「MILLY」

カルミーナ「ADJ1482004_NEGRO」

カルミーナ「ADJ1482004_NEGRO」

プリュス バイ ショセ「PC-5053」

プリュス バイ ショセ「PC-5053」

ビルケンシュトック「ララミーロー」

ビルケンシュトック「ララミーロー」

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色んな革靴を手にしていく過程で、ふと気づいたときに、私ウィングチップしか持ってないなと思って(笑)。
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きたよ。ほらほら。こういうのあるよね!
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意図して集めていたわけではないのですが、持っている靴の半分くらいがウィングチップなんですよね。気づいたら手元に集まってきた子たちが、みんななぜかウィングチップだったという……ウィングチップ集団みたいな。
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いいですね、それ。つま先が妙にウネウネしてる系が、ムヨムヨきてるわけですね(笑)。
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はい、迫ってきています。
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実は、私もウィングチップが大好きでして……(笑)。
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え、そうなの!?
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チーニーの「MILLY(ミリー)」というモデルがあるのですが、私これが一番好きな靴なんです。全体的に、ブローギング(靴のアッパーの縫目に施される穴模様のこと)があまり華美過ぎないというか、派手すぎない。さりげない感じで入っているのがいいんですよね。
木型も細すぎないのですが、綺麗なラインが出ているんです。革靴って足元に持ってくると、ちょっとメンズっぽく見えがちじゃないですか。でもMILLYはしっかりと女性らしさがあるっていう点で、すごく好きです。
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確かにMILLYは、いいところをついてきた革靴ですよね。その持っている靴のソールは、ハーフラバー?
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そうです。今日は私物を持ってきました。5年前に購入したモデルで、レザーソールにハーフラバーを貼っています。
現行のものは、全面ラバーソールに変わっています。「レザーソールにはちょっと抵抗がある」という女性のお客様も多いのですが、これは滑りにくくて多少の雨の中でも履いていただけるので非常に人気のモデルなんですよ。
「<a href="https://www.british-made.jp/c/brands/cheaney/cheaney-women/cheaney-wing-l/gd2099" target="_blank">MILLY</a>」¥63,000+税/ジョセフ チーニー(ブリティッシュメイド 銀座店)  こちらは、連載 第2回でも登場!▶︎<a href="https://muuseo.com/square/articles/1322" target="_blank">「おじ靴のバリエーションを知る。飯野高広の厳選17足!」</a>

MILLY」¥63,000+税/ジョセフ チーニー(ブリティッシュメイド 銀座店) こちらは、連載 第2回でも登場!▶︎「おじ靴のバリエーションを知る。飯野高広の厳選17足!」

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コーディネートもしやすそうな靴ですよね。人気があるのが分かります。さて、チーニーの話が出てきたところで、これは負けていられませんぞ!ショセ・山本さんのお話も聞かせてください。
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はい(笑)。実はお気に入りの1番が決められなくて、ずっと悩んでいたんですけど……、やっぱりこれかな。連載 第2回でも紹介してもらったショセの「ボタンアップブーツ」です。ファスナーが付いていなく、付属のフックを使ってボタンを外して履いていただく靴です。
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可愛い!
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すごい!
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脱ぎ履きしにくいという点で、お客様にはちょっと嫌がられることもあるのですが、時代に逆行するこの面倒さが私はいいんです。木型も裏から見るとウエストがしっかり絞ってあります。
ポイントとしては、やっぱりソールの製法です。土踏まずより前半分が「グッドイヤー・ウェルテッド製法」で、後ろ半分が「マッケイ製法」で作られています(底付の違いは、連載 第5回でチェック)。メリハリがついて見た目もフィット感もいいんですよね。ヒールは程よい高さがあり、コーディネートしやすいです。

昔のヨーロッパっぽい雰囲気があるので、シンプルなデニムに合わせたりロングスカートに合わせたり、色んなバリエーションを楽しんでいます。脱ぎ履きに関しては慣れてしまえばもう2~3分で履けるので、気持ちよく履ける革靴かなと思っています。
「PC-5053」ボタンブーツ用金具付き ¥56,000+税/プリュス バイ ショセ こちらは、連載 第2回でも登場!▶︎<a href="https://muuseo.com/square/articles/1322" target="_blank">「おじ靴のバリエーションを知る。飯野高広の厳選17足!」</a>

「PC-5053」ボタンブーツ用金具付き ¥56,000+税/プリュス バイ ショセ こちらは、連載 第2回でも登場!▶︎「おじ靴のバリエーションを知る。飯野高広の厳選17足!」

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今ボタンアップブーツって、メンズにはほとんどないんですよね。注文生産では「大塚製靴」「Enzo Bonafe(エンツォ ボナフェ)」などが作ってくれているのですが、それを既成のレベルで作ってくれるのはすごく嬉しいことです。
磯野さんはどうでしょう?
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こちらに磨いたものを持ってきたのですが、一番気に入っているのは「カルミーナ」のクォーターブローグです。こちらは「ジュック」という木型なのですが、これがまず私の足にぴったり合っているんです。
そして紳士靴の顔をしながら、パンプスやヒールのようなかかとの曲線、見てください!
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これは、綺麗な後ろ姿だな!
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ヒール4cmで、とても歩きやすい。紳士靴に憧れを持ってる私にとっては、紳士靴の良さと女性の着こなしに合う良さを両方叶えてくれる靴です。パンツにもスカートにも合わせられる万能選手なんですよね。
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カルミーナの靴は、紳士靴と婦人靴の両方の良さを兼ね備えていると。
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磯野さんが持っているのは、カルミーナ「ADJ1474001_CUERO」。

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はい。同じデザインの靴が集まるという現象でいうと、私はカルミーナですね。
こちらはキルトが付いてヒール7cm。横から見たラインが好きなんです。他にも、紐についている「クリリン」。これは私が勝手に名前をつけてるんですけど(笑)。これがもう大好きで、履くときはいつも大事に履こうと思いながら紐を結びます。

オレンジの中敷きの端にパンチング(穴飾り)が入っているのもポイントです。履いちゃえば見えないところですが、さりげない華になっているんですよね。
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細かい部分まで凝っていますよね。
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実はカルミーナが好きすぎてスペインに行きたくなって、スペイン語を勉強し始めちゃいました(笑)。
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靴から語学へ、いいですね!
一番好きな靴、気に入っているポイントは、まさに四者四様。デザインについては、ブローグがお好きな方が多いのかな?デコラティブな靴が出てきたなという印象です。
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当日、お二人もウィングチップを持っていました!山本さんが持っている靴はFlorsheim(フローシャイム)「ハーバード」、磯野さんが持っている靴はLe Yuccas(レ ユッカス)「Y20613」。

他の靴と比べて、革靴の選び方の違いとポイントは?

次は、革靴を買うときの選び方について聞かせてください。革靴以外のヒールやパンプス、スニーカーも皆さん好きだと思います。夏だったら、サンダルもありますよね。それらと比べて、革靴を選ぶときの違いやポイントって何でしょう?

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思い浮かぶのは、捨て寸の取り方と幅の間隔でしょうか。パンプスだと全体的にちょっと窮屈な感覚で選ばないと、履いているうちに緩くなったり、かかと抜けしたりします。一方で革靴だと、幅はきつめだけど、つま先は少し余りを取らないといけないという感覚。そこは、いつも選ぶときに気をつけています。
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「捨て寸」という発想ですね。
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革靴は靴下で履くことが多いので、指の幅一本分くらいのゆとりを持たせています。幅は、履いていくうちに柔らかくなってゆとりが出てくるのですが、つま先はどうしても長さが変わらないので。
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サイズ感でいうと、スニーカーってメーカーごとにやや大きめとかタイトめとか、それぞれ決まった特徴があって選べると思うんです。でも革靴って、同じブランドで同じサイズでも履いてみると「いや、前回より細くない!?」ということがありませんか?
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ですね。確かにあります。
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そこはスニーカーと違って、毎回ちゃんとフィッティングしないといけないなと思っています。
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木型そのものが違うというか、設定が違うというか、フィット感が異なるんですよね……。これは特に、海外のブランドで顕著なのではないでしょうか。例えば私が試着するとき、このモデルだったらサイズ6でいいのに、あのモデルだったら7じゃないと快適に履けないということが結構あります。確かに悩みどころですよね。

国内のブランドさんはそこまで差はないけれど、それでもこの木型だと1/2下げた方がいい、1/2上げた方がいいということがありますもんね。
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サイズ感以外だと、リペアがきくかどうかも重要視しています。革靴は作り込みがしっかりされている靴なので、きちんとメンテナンスをして愛情を注いであげれば一生付き合っていけるんですよね。時代のトレンドに左右されるものでもないですし。そういった点でも、リペアを繰り返して長く付き合っていけるかは大事だと思っています。
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そうですね。デザイン的にちょっと旬が過ぎたかなと履かなくなってしまう靴はありますよね。それに比べて革靴は、トレンドが移り変わってもついてこれる。そうなると長い付き合いになるから、お手入れがしやすくて、かつリペアもできるようなものを選ぶのは、大事なポイントになりますよね。
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私は本職が受付なので立ちっぱなしの日が多く、朝と夕方とでは、むくんで足の状態が変わるんですよね。そういう時にパンプスだと窮屈になってきて、夜はもう痛みしかない状態。でも革靴だと、足の状態に合わせて紐で調整できるんですよね。
日によっても時間帯によっても変わってしまう、足の状態に合わせられる機能面でも頼りになっています。
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これは、とても貴重な意見です。「靴紐って、なんで付いているの?」って、気づいていない人結構いると思います。実は、フィット感の微調整のためなんですよね。それをきちんと意識して履くと、コンディションが変化する足にもついてきてくれるんです。

靴によっては痛みや疲れなどの足のセンサーに「気づけない」ことがあるんですけど、革靴は作りが古典的なものだから、「お前ちょっと調子悪いぞ」「少しフィット感を緩くしておいた方がいいんじゃない?」という足の状態に気づかせてくれる。その効果が一番適切に働くのが革靴なんじゃないかな。外反母趾なども、靴で根治出来るわけではないけど、少しでも緩和してくれる。そういった足のトラブルから見ても、靴選びがきちんとできるっていうポジションなんでしょうね。

この辺りに気づくと、さらに革靴の領域が広がってくるんだろうなと思いました。
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革靴を知ることで、足と上手く付き合っていく方法が見つかる

靴を包む薄紙の音にワクワクしたり、革の香りに惹かれたり、靴本体よりシューケア用品や磨きの方にのめりこんだり、意識していないのに似た靴が集まってきたり……。愛用者だからこそわかる革靴の魅力を話していただきました。そして足のトラブルと靴との関係も深い。飯野高広さんのもと目下勉強中の筆者も、「革靴を知ることは、日々変わる自分の足と上手く付き合っていく方法を知ることに繋がるのだな」と改めて考えさせられました。

さて、参加メンバーの方々からは「もう、あっという間でしたね」というメッセージをいただきましたが、濃ゆ〜いお話が続きまだ半分しかお届けできていません。後半では、革靴を取り入れたコーディネートやお手入れ事情についてお聞きしました。どうぞお楽しみに!

ーおわりー

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公開日:2020年9月18日

更新日:2021年10月14日

Contributor Profile

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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