セットインスリーブとは?

一般的な袖付けの方法という概念で考えるとセットインスリーブ、シャツスリーブ、ラグランスリーブの3種類に大別される。
セットインスリーブは、スーツなどに見られる、肩から脇にかけて垂直に切り替えが入っている袖のこと。
体に沿うように袖が付くため、袖山のいせ込みにより袖に丸みが出て、腕を包み込むゆとり分が確保できる。一方で、袖の付け根が襟(衿)から袖下にかけて斜めになっていて、肩から袖が1枚の生地でつながっている袖のことをラグランスリーブという。

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コート解体新書:第一回「ステンカラーコート」当たり前にも色々ある_image

コート解体新書:第一回「ステンカラーコート」当たり前にも色々ある

元来私は寒がりなこともあって、夏よりも冬の方が正直苦手。でも、装いに関しては冬場の方が断然意欲が出てくる。

暑い時季には考えたくもない重ね着が愉しめるからで、中でも一番上に羽織ることになるコートについては、「今日は何を着ようか?」と一人でワクワクすることも多い(笑)。

ただし、地球温暖化による暖冬傾向や保温性の高い下着の進化もあってか、世間では以前に比べてコートへの関心が薄らいでいるような気がしてならない。

と同時に「???」と首をかしげたくなるような、トレンドのみを追っているような浅くて説得力に欠ける解説や情報も多く目にするようになっている。

今日一般的に身に着けている衣服の中では、コートほどその起源が形状や用いる生地にハッキリと残っているものはない。

なのにそれを無視してどうする…… と言いたくもなるのだが、現行の既製品のそれを見るにつけ、これは着る側ではなく作る側、つまりコートのブランドのデザイナーや企画者の知識がかつてほどはなくなっている点のほうにこそ問題の根幹があるのかな? とも感じる。

欧米諸国に比べコートが活躍できる季節が短いわが国では、特にメンズのものは1シーズンで処分されるものではなく、短くても10年長ければ次世代に引き継げるだけの使用に耐えうる堅牢さと普遍性の高さが求められるべきだ。

作る側がもはやその文法を理解できなくなっているとしたら、使う側が理論武装するしかそのようなコートを得られるチャンスは皆無になってしまうだろう。という事で、今回から数回に渡り代表的なコートについて
・起源
・大まかな形状とシルエット
・特徴的なディテール
・生地

などに焦点をあて解説することにしたい。まずは手始めに、日本では気候がら最もポピュラーなコットン系のコートについてお話ししよう!

コート解体新書:第五回「チェスターフィールドコート」優雅さ際立つ一着_image

コート解体新書:第五回「チェスターフィールドコート」優雅さ際立つ一着

ヴィンテージコートの定番品を例に、コートの源流をたどる飯野高広さんの連載。第五回は優雅さと清楚が際立つチェスターフィールドコートと、より普段使いに適したボックスコートを取り上げる。

よく耳にする「チェスターコート」は、本来の「チェスターフィールドコート」とはまったく異なるもののようで……。

コート解体新書:第八回「ポロコート」アメリカトラッド系とクラシコイタリア系を比較する_image

コート解体新書:第八回「ポロコート」アメリカトラッド系とクラシコイタリア系を比較する

ヴィンテージコートの定番品を例に、コートの源流をたどる飯野高広さんの連載。第八回はポロコートを取り上げる。

人気が定着したアメリカとイタリアのものでは、生地もシルエットも異なるそう。

【コート鼎談・後編】コートはもっと楽しめる!3人の愛用コートを参考に、素材や機能、デザインを語る_image

【コート鼎談・後編】コートはもっと楽しめる!3人の愛用コートを参考に、素材や機能、デザインを語る

クラシックファッション通3名によるコート鼎談・後編。服飾ジャーナリストの飯野高広さんと倉野路凡さん、ミューゼオ・スクエア編集長の成松に、連載「コート解体新書」の応用編として、前編の記事ではコートの着こなしや学生時代からの変遷、憧れたあの人のコート姿などを語っていただいた。

意外なブランドからアパレルブランドが出ていたり、自分なりのコーディネートルールを考えさせられたり、驚きと発見があった。

後編では、3人に持参してもらったコートを参考に、素材や機能、デザインについて教えてもらいましょう。既製品、オーダーメイドのそれぞれの良さを知ることで、よりコートの楽しみ方がわかるはず!

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「伝説」と称されるシューメーカー、Nikolaus Tuczek(ニコラス・トゥーシェク)。

John Lobb(ジョンロブ)、George Cleverley(ジョージクレバリー)、Henry Maxwell(ヘンリーマックスウェル)、Peal & Co.(ピール&コー)など、名だたるビスポークシューメーカーを輩出してきた英国。

上記のメーカー製のヴィンテージシューズはコレクターの興味の中心に常にあるものですが、Nikolaus Tuczek(ニコラス・トゥーシェク)製の靴は、その美しさ、作りの細かさ、希少さのため別格の扱いを受け、一生に一足は手に入れたいといわれるほど、コレクターの憧れの的になっています。

今回は伝説のシューメーカー、ニコラス・トゥーシェクの靴の魅力をご紹介します。

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近代デザインのキーワード:アーツ・アンド・クラフツ運動

ココ・シャネルが1926年に発表したリトルブラックドレスが女性の立ち姿を変えたように、デザインが社会に影響を与えることもあればその逆もしかり。1940年代〜1960年代のアメリカでは、軍事技術として発展した積層合板やプラスチック、金属などを用いた家具が生みだされました。

デザインに関するキーワードを政治や素材開発の進歩といった出来事と並べてみると、なぜそのデザインが生まれたのかを知る手がかりとなります。

この連載ではアーツ・アンド・クラフツ運動からポストモダンまでの近代デザインにまつわるキーワードを、当時の社会の状況と合わせてまとめます。

第一回は「アーツ・アンド・クラフツ運動」を紹介します。

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ライティングデスクでつくるロマンチックな書斎 〜アンティーク家具世界への招待状〜

コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、「自分の家に書斎をつくりたい」という人が多いといいます。そこで注目を集めたのが前回ご紹介した「ライティングビューロー」ですが、もうひとつ人気を集めているのが「ライティングデスク」です。ビューローと比べ、少し大きめの机なのですが、歴史や由来を知っていると面白い、ロマン溢れるデスクが多いのです。今回もアンティーク家具専門店「ジェオグラフィカ」の岡田明美さんに教えていただきました!

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コート解体新書:第三回「トレンチコート」いかつさには理由がある

時代が移ろい、その機能が求められなくなったとしても、現在進行形で生産されているコートの中には主要なデザインが開発当時から変わっていないものも多い。時代に流されない普遍性はどこにあるのだろう?

ヴィンテージコートの定番品を例に、コートの源流をたどる連載。第三回はトレンチコート。ステンカラーコートと同様に、バーバリーとアクアスキュータムのトレンチコートを比較しながらディテールを紐解いていこう。