レントゲン藝術研究所とは?

1991年、池内務(いけうち つとむ)が東京・大田区の大森に立ち上げた1990年代の現代美術シーンを象徴するスペース。
倉庫を改造した3階建て190坪という巨大な空間では、DJを呼んでのイベントや「ワンナイト・エキシビション」と名付けられた、たった一夜だけの新人の展覧会など、昼夜エネルギッシュなイベントが繰り広げられていた。代表的な展覧会として、村上隆(むらかみ たかし)による「WILD WILD」展や、会田誠(あいだ まこと)のデビューでもある「fo(u)rtunes」展などがある。中でも評論家・椹木野衣(さわらぎ のい)のデビュー・キュレーションとなる展覧会「アノーマリー」は現在もなお語り継がれている。
「東京ポップ」が持っていたオフミュージアム志向と作品の非物質化・コンセプチュアル化がアートの主流になっていくなかで、造形物としての出来の良さや作りの細かさを第一義に考える池内との方向性の違いが浮き彫りとなり、1995年に活動を停止した。
1996年、青山に「レントゲンクンストラウム」として拠点を移し、2001年には「レントゲンヴェルケ」として吉祥寺に移転した後、六本木に移転し2008年に閉鎖した。2019年7月30日に閉鎖するまで日本橋馬喰町に「ラディウム」 を再びオープンして活動を続けていた。
2020年3月には、藝術・表現が一体何ができるかを問うべく、池内と鈴木萌夏(すずき もえか)による展覧会企画ユニット「レントゲン藝術研究所準備室」をスタートした。

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これほどのビッグ・コレクターならば、「いつかはプライベート・ミュージアムを」という思いがあってもおかしくない。

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かといって、コレクションを自分たちだけの楽しみにすることもない。コレクションの質の高さから、美術館などから出品依頼の声がかかることも多く、むしろ積極的に公開をしている。

過去には、タグチコレクションの名を冠した展覧会もたびたび開催され、来年も北海道内の美術館を巡回する予定だ。

父から娘に引き継がれるコレクション。インタビューで、弘さんは、しばしば実業家としての顔をみせながらアート購入時のアドバイスや、現代アートが持つ力を語った。美和さんからは、ギャラリー巡りを始めたころの意外なエピソードが明かされた。

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アートに関心のない方でも、一度はその作品をみたことがあるに違いない。そんなスター作家を世に送り出してきた、小山登美夫ギャラリー代表の小山登美夫さん。プライベートでは、頭で理解できないような主題のアートが好きだという。

「言葉で説明できるものなら、絵にしなくていい。言葉で言ってくれればいいと思ってしまうんです」

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欧米が主導権を握り、中国が活気づくアート市場で、日本がすべきこととは?ギャラリーが果たすべき役割とは?現代アート・コレクターの笹川直子さんが、話を聞いた。

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