ライター好きが集まる「FEEFクラブコンベンション」を訪れて分かった、Zippo・ライターが愛される理由。

取材日: 2017年11月19日

取材・写真 / ミューゼオ・スクエア編集部

ライター好きが集まる「FEEFクラブコンベンション」を訪れて分かった、Zippo・ライターが愛される理由。_image

私の記憶では、20世紀の映画にはタバコを吸うシーンが多かった。俳優の手元にはライターが映しだされ、自然な動作でタバコの火をつける。そんな姿に憧れた大人は、とても多かったのではないだろうか。
日本では、1980年〜90年に「モノマガジン」などがZippo(ジッポ)特集を組み、男性を中心にZippoブームが発生。日本でも、Zippoに代表される ”ライター” が、単なる喫煙道具という枠を飛び越え、コレクタブル・グッズとして認知されてきた。
今回は、そんなライター好きなコレクションダイバーが集まる年に1回のイベント「FEEFクラブコンベンション」に参加。ライターの魅力、Zippoを集める楽しさの秘密を探ってきた。

コレクション・ダイバー【Collection Diver】とは、広大なモノ世界(ワールド)の奥深くに潜っていき、独自の愛をもってモノを採集する人間(ヒト)を指す。この連載は、モノに魅せられたダイバーたちをピックアップし、彼ら独自の味わいそして楽しみ方を語ってもらう。

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ライター好きが集まる「FEEFクラブコンベンション」とは?

まず最初に、「FEEFクラブコンベンション」に関して説明したい。FEEFとは、Far East Eternal Flameの略で、日本語に訳すと ”極東で永遠に燃え続ける炎” となる。実は、Zippoや古いライターの愛好家が集まるクラブは、アメリカを中心として海外には存在してきた。
ヴィンテージライター、Zippoの著名なコレクターである渡部(ワタベ)さんが5年前に日本で創設したのが、FEEFである。FEEFは、ホームページやメーリングリストでライター好きな同士が交流する場を作っているのだ。そして、年に一回、リアルな場所でライター好きな人が集まるのが「FEEFクラブコンベンション」である。

コンベンションの特徴は、「買える」「繋がる」「楽しめる」の3つである。

ライターを集めている個人、ショップがブースを出店。そこでは、幅広いジャンルのライターを購入することが出来る。私も訪れて驚いたのだが、Zippoだけでも本当に奥が深い。1930年代に誕生したZippoは世界中に広がり、無数の種類が発売された。古いモノになるとZippo社も把握できておらず、「祖父の遺品から、誰も見たことのないZippoが出現する」なんていうこともある。そこまでのZippoに出会うことは珍しいが、今回のコンベンションでも貴重なヴィンテージZippoが数多く販売されていた。

ライターのコレクションを幅広く集める上で「情報」はとても大切である。希少価値が高いZippoになると、買いたくても買えない。なぜなら、世界で限られた数のみが存在しており、所有者が手放さない限り、市場に出回らない。そんなZippoが海外のオークションやマーケットに稀に登場することがある。その情報を個人で探すのは困難。そんな時に、FEEFなどのメンバーと「繋がる」ことで、情報を入手しやすくなる。FEEFクラブコンベンションでは、そんなメンバーと実際に会える貴重な機会である。

ライターにあまり詳しくない人も「楽しめる」のが、FEEFクラブコンベンションの特徴だ。トークセッション、オークションなどが、学園祭のようなアットホームな雰囲気で実施される。また、出店している人に気軽に質問できるのも楽しい。Zippoに関して分からないことを聞けば、2倍の情報量で返ってくる。会場から帰る頃には、Zippoにかなり詳しくなっているはずである。

Zippo社に依頼をした、FEEF公式のZippoも会場で限定販売されていた。

Zippo社に依頼をした、FEEF公式のZippoも会場で限定販売されていた。

出店する人に聞いてみた。ライター、Zippoの魅力とは?

今回、FEEFクラブコンベンションでは30ブースほどが出店をしていた。その中のいくつかにインタビューを実施。そこから、ライターの魅力、Zippoの魅力が分かるかもしれない。

TOSHI

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Zippoの収集歴25年を超えるTOSHIさんは、ヴィンテージZippoを中心に展示。特に1950年代に企業宣伝で作られた未使用のZippoがとても目を引いた。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「古いZippoでも、製造された年代が分かる。なので、歴史を集めることができる」との事だった。Zippoの裏側を見ると、製造された年代がほぼ分かるので、自分が生まれた年のZippoを探して、集める人も多いらしい。

イーエスシノダ

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こちらのブースでは、Zippoの表面を刻み、オリジナルのデザインで刻印するところをデモしていた。最近では、家紋やアニメのキャラクターデザインなどを依頼されることが多いとのこと。興味がある方は、ホームページから問い合わせて欲しい。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「すぐ火がついて、消える」。シンプルな回答だが、喫煙器具として、とても重要な役割である。

アイハラ

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Zippoコレクターでもあるアイハラさん、その所有数は1400個以上。誕生日のプレゼントで知り合いに貰ったZippoと出会ってから、喫煙を始めたというのが面白い。今回の出店では、Zippo社のナイフやピンパッジなど小物を中心に並べており、ひときわ目立つ存在だった。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「コレクター気質のある僕にとって、ピッタリ当てはまった」とのこと。手のひらサイズの大きさであり、湿気などに影響されないZippoは、数あるコレクションのジャンルの中でも、集めやすいのかもしれない。

ジッポーパーク

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1000円〜3000円程度の普段使い用のZippoを数多く揃えており、初心者の方が手に取りやすいのが特徴。20年以上Zippoを中心とするライターを販売していきたが、最近は昔に比べて売り上げが減少しているのが心配だそう。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「永久保証であること。どんなに古いモノでも修理して使うことができる」。Zippoの構造はシンプルに作られており、ほぼ全てを修理することが可能だ。そのため、お気に入りのZippoを手に入れれば、死ぬまでの一生、利用できるのは嬉しい。

ブラッドフォード東京

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多くのお客さんが取り囲んでいたこのブースでは、Zippo社のノベルティグッズが数多く販売されていた。中でも、ひと際目についたのがZippoのセールスマンが持ち歩いていた「Zippoのショーケース」である。1950年代〜60年代に実際に使われていたショーケースが、この保存状態で出回るのは珍しいとのこと。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「永久保証。Zippo社に送れば無料で修理をしてくれる。そんなコレクションは、世の中探してもZippoだけかも。そのZippo社のポリシーに惚れています。」

柘製作所

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1918年にオーストリア・ウィーンでライター製造を初めたIMCO社(イムコ)のライターを展示しており、デザインの種類が豊富なのが特徴的。柘製作所は、IMCO社が管理していたサンプル用のライターをまとめて買取り、国内で販売をしている。1940年代〜50年代の ”未使用” IMCO社のライターを数多く所有している。
IMCO社のライターの魅力を一言で表現してもらうと、「Zippoは実用性の一点張り。IMCOは、そこにメカニズムの美しさを加えている。」IMCOのライターは、Zippoに比べて多くの部品で成り立っている。その複雑さに”美” を感じるのは、とても興味深い。

ODDBALL

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ブースに、ベトナム戦争のヘルメットが置かれており、ヘルメットにはラッキーストライクとZippoが挟まれている。当時は、こんな姿のアメリカ兵が多かったのだろうと想像が膨らむ。ODDBALLでは、Zippoのオイル缶や芯などが、発売当時の状態で並んでいる。芯のパッケージデザイン一つ取っても、時代により少しづつ変化しており、集めるのが楽しくなる。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「種類が多いこと。Zippo自体もそうだし、その周りの付属品も種類が多いから、集める人が多いのかな。」

しんかい

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ヴィンテージのZippoを中心に展示していたこのブースでは、1933年製のZippo社の初年度のものに出会うことができた。また、1940年代のZippoを眺めるとデザインがシンプルかつ、可愛いのが印象的だった。ベトナム戦争で利用されていたZippoも数多く並んでいた。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「売る立場からすると、製造年が分かることが重要。生まれた年のZippoを探す人もいますよ。」

ジッポーワールド・ナカムラ

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1970年代に小売店としてZippoを販売しており、長い間、大阪でZippo文化を支えてきたジッポーワールド・ナカムラ。当日並んでいたのは、Zippo社のマスコットキャラクター Windy(ウィンディ)をモチーフにしたオリジナル作品など。ジョークも加えたセンスは、見ているだけでも楽しい一品。現在は、製造されていないために、入手するのが難しい。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「一生の相棒。永久保証が付いている。壊れても修理に出せば必ず直してくれる。ひとつ買えば、無くさない限りは一生使える。」

村瀬隆志

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熱烈なZippoファンである村瀬さんは、30年以上のZippoコレクター。プレゼントで貰ったのがきっかけで、徐々に種類を増やしていった。この日、展示をしていたのはサッカー関連のZippoが多かった。インタビューの最終、突然ポケットから出てきたのは18金製のZippo。その価格60万円以上するそうだが、普段使いとして利用しているから驚きだ。ちなみに、パチンコ屋にこのZippoを置き忘れたことがあるが、ちゃんと保管所で見つかったそう。
Zippoの魅力を一言で表現してもらうと、「一つ一つにストーリーがある。300、400個を持っていても、どこで買ったのか覚えている。」

横浜元町ヒュミドール

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Zippoと一緒に、1930年代のデュポン社製のライターなどが並んでいたのが特徴的なブース。普段はタバコ屋として商売をしており、珍しい外国製の葉巻の空箱を無料でプレゼントしていた。
「商売という意味ではZippoが売れるが、個人的に好きなのはデュポンのような複雑なライター。ジャンクで買って、それを修理して販売するのが楽しい。」

日本における、ライター文化の火を消さないのが大事。

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今回の「FEEFクラブコンベンション」の主催者であり、FEEF代表の渡部さんにお話を伺った。
FEEFの役割とは?そして、FEEF今後の展開は?

「FEEFとは、Far East Eternal Flameの略で、日本語で ”極東で永遠に燃え続ける炎” 。その名前の通り、日本における、ライター文化の火を消さないために、誕生した団体です。コンベンションは5回目を迎えて、最初の頃よりも、人と人の繋がりが増えてきた。これが大切です。
また、FEEFのHPでは、古いライター、Zippoなどの情報を少しづつデータベース化しています。昔のライター、Zippoなどは情報が少ないので、それらの情報を後世に残す役割も果たしたいと思っています。最近ではHPを観た海外のライターマニアたちから問い合わせが増えてきていますね。」

今回の会場を見渡すと、中国やタイから訪れた人もいることに気づいた。そして、女性の姿も目にすることができ、参加前に抱いていた「男だけの楽しみ」という私の予想とは異なった。

最後に、渡部さんは、こんなことを付け加えた。
「海外のライタークラブでは、『コレクションの適正なシェア』という役割もあるのです。これは、例えば貴重なコレクションを所有していた人が亡くなった時に、遺品となったコレクションを適切な価格でクラブ内のメンバーが買い取る仕組みです。リサイクルショップなどに持っていくと貴重なライターの価値が適切に評価されない。そうなると、遺族の方に残る資産が少なくなる。しかし、クラブ内で価値に見合った適切な金額を遺族の方に渡すことで、故人も喜ぶと思う。その仕組みをFEEFでも取り入れたいと思っています。文化遺産の保存という意味でも。」

逆風にも負けない灯火(ともしび)は、これからも燃えつづける。

今回の「FEEFクラブコンベンション」に参加してみて、あらためて、趣味が合う人とリアルで集まる場は、必要だと感じた。もちろん、コレクションを集める方法は自由である。一人でモクモクと集めてもいいのだが、こうやって仲間を増やしながらコレクションを集めること自体が、楽しそうに感じる。

時代は変わった。
喫煙する場所は減少し、タバコの価格は上がり続ける。
喫煙家にとって、完全に逆風である。しかし、FEEFのような団体が存在すれば、その火は、どんなに逆風でも消えることはないだろう。

ーーおわりーー

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