アート業界を盛り上げたい!アート・コレクター夫妻の行動と実践

アート業界を盛り上げたい!アート・コレクター夫妻の行動と実践_image

モデレーター/深野一朗
文/塚田史香
写真/中村優子

アート好きを10人集め、「ヴェネチア・ビエンナーレの次の日本代表作家は?」と聞いたとしたら、いったい何人が答えられるだろう。

ヴェネチア・ビエンナーレは、現代美術の国際美術展覧会のひとつであり、その代表作家に選出されることは、世界のアートシーンにおいても名誉なことだ。しかし日本国内では、その扱いがあまりにも小さい。

この状況に課題意識をもちアクションを起こしたのが、現代アートコレクターの長谷川一英さん・惠美子さんご夫妻だ。

E&K Associatesという法人を立ち上げ、作家やギャラリーを独自の方法でサポート。現在は、「ある事情」によりその活動を休眠しているが、聞けばその事情もまた興味深い。

夫婦でどのようにコレクションを楽しんでいるのか。どんな活動で、どんな景色をみたいのか。お話を伺った。

今回の取材は、10年以上のキャリアを持つ3つのギャラリー、<a href="http://www.yamamotogendai.org/japanese/">山本現代</a>・<a href="https://urano.tokyo/">URANO</a>・<a href="http://galleryhashimoto.jp/jp/hao/">ハシモトアートオフィス</a>が合体して誕生した新ギャラリー<a href="http://anomalytokyo.com/">ANOMALY</a>で実施した。

今回の取材は、10年以上のキャリアを持つ3つのギャラリー、山本現代URANOハシモトアートオフィスが合体して誕生した新ギャラリーANOMALYで実施した。

二人の直感があうことは、重要

——アートに限らず、コレクションは一個人の趣味で形成されるイメージがあります。おふたりは、現代アートをどのようにコレクションされるのでしょうか?

惠美子さん:基本的には、二人が良いと思った作品を購入します。二人の意見があうことが重要だと考えています。

長谷川惠美子さん

長谷川惠美子さん

——おふたりの中に、良い作品の基準があるのでしょうか?

一英さん:私の場合、自分には思いもよらない視点や発想で創られた作品に興味があります。理系の人間なので、特にサイエンティフィックな作品に魅かれることが多いです。たとえばナイル・ケティング(Nile KOETTING)さんとか。

長谷川一英さん

長谷川一英さん

惠美子さん:私は、普段は作家さんの経歴や過去の展示や作品などといった情報に興味があるのですが、購入作品については、一期一会を大切に、けっこう直感的に決めるほうです。二人の意見が毎回一致するわけではありません。意見が違うときは、良いと思う理由を言葉で説明して説得します。

——説得できなかった時は、購入をあきらめる?

惠美子さん:……ことが、多いと言っておきましょう(笑)。実は、夫はあまり興味がないけど、私が前々から気になっていた作家さんの、小さめの作品を、先日ついにこっそり購入しました。基本的には「二人が欲しいと思うもの」がコレクションになるので、購入の資金はどちらが負担しても良いというルールなのですが、その時は私のお財布から。「実力行使」と呼んでいます(笑)。

一英さん:僕の関与しないところで(一同、笑)。反対に、私も、彼女に事前に言わず購入した作品はありますよ。

感動体験の共有で同時にスタートした現代アート

——おふたりの最初の現代アート・コレクションについてお聞かせください。

一英さん:最初のコレクションは、2011年。佐伯洋江さんの大きなドローイングです。原美術館で展示をみて佐伯さんを知り、その時に展示されていた作品を購入したんだったよね。

惠美子さん:原美術館での展示とは別の作品だと思うのだけど。

一英さん:別?

惠美子さん:そう。...というようなことが、夫婦だと時々起こります(一同、笑)。

原美術館での展覧会のすぐ後に、当時六本木にあったメルセデスベンツのショールームで、佐伯さんの展示がありました。原美術館で観た際にとても印象に残っていて、本当に素敵な作品だと思っていたのですが、ショールームにはプライスリストがあり、「アートって買えるんだ」と気付いたのです。

MuuseoSquareイメージ

——原美術館に行かれたとのこと、もともとアートがお好きな同士だったのですね。

惠美子さん:私の趣味はずっと、音楽、文学、美術の文化系。欧米、特にヨーロッパに憧れた青春時代でした。美術に関しては、海外の旅先で現地の美術館に行くのが楽しみです。パリやロンドン、ニューヨークなど大都市の美術館で歴史あるコレクションの華やかさとその質と量に圧倒され、日本の美術にはなかなか関心を持てませんでした。

一英さん:私も美術館にいく習慣はありましたが、現代美術に関心をもつ前は、現代演劇をよく観ていました。野田秀樹さんや三谷幸喜さんのようなメジャーどころから、マイナーな劇団まで。現代社会に対する疑問を提示する点は、現代アートと共通するかもしれませんね。

お互いに趣味があった中でも、現代美術を意識的にみるようになったきっかけは、2009年に二人で訪れた直島です。それまで現代美術は観ても「これは何だろう?」が、率直な感想でした。

直島では、視覚的に優れた作品が多かったことに加え、学芸員の方が作品を説明してくださるギャラリートークに参加したことで、作品のコンセプトの重要性を知ることができたんです。

惠美子さん:現代アートの見方を教授された感じです。目の前の作品単体の好き嫌いや美しいと思うかどうかではなく、作品の背景やコンセプトをきちんと知ることで、こんなに面白くなるのだという体験をしました。

二人同時に同じ体験をして、一緒にスタートをきれたことは、どちらかが主導権を握ることもなく、コレクションを続けてこられた大きな理由かもしれません。

コレクターの次の一歩

——2009年に現代美術に目覚め、2011年に最初の1点を購入されたのですね。現在、おふたりのコレクションは、何点くらいあるのでしょうか?

一英さん:小さな作品も含め、100点ほどです。ペインティングやドローイング、立体も映像もあり、あえていうならば絵画が多いのですが、特にジャンルを意識していません。作品の半分以上は倉庫に預け、自宅で常時かけているのは7、8点でしょうか。あとは入れ替えながら楽しんでいます。

——作品情報の管理はどのように行っていますか?

一英さん:メモアプリのEvernoteで、作品の画像と情報を管理しています。

——おふたりは作品のコレクションだけでなく、E&K Associatesという法人を設立し、現代アートに関わっておられますね

惠美子さん:作家やギャラリーの役に立つ活動を行うことで、現代アート業界全体を盛り上げたいという思いで始めた法人です。大コレクターと違い、作品の購入だけでは、作家の役に立てているという実感は持てませんでした。そこで、マーケット自体にも影響があるような別の枠組みをと、考えました。

MuuseoSquareイメージ

——ギャラリーや作家の支援として、具体的にどのような活動をされたのですか?

一英さん:例えば、E&K Associatesを設立する前はTAKANAWA Unlimitedと題し、映像作品を持ち寄ったプライベート上映会を開催していました。美術館でも、近年は映像作品の展示の機会が増えています。しかし展覧会の一角で、映像を最初から最後までしっかり観るのはけっこう大変ですよね。

一方で、作品である以上、最初から最後まで観ることでわかる良さがあるので、まずはコレクター仲間で作品を持ち寄り、映像作品を座ってみる機会を作ってみました。参加者同士で作品の感想を共有するのが、けっこう面白くて、評判が良かったのです。

これを発展させた形のものを、2017年の恵比寿映像祭の協力プログラムとしてパブリックでも行ったところ、想像以上の反響がありました。そこでE&K Associatesを設立してからはAOYAMA Unlimitedとして、アーティストを招いて開催する流れとなりました。

——上映作品が、持ち寄りから、作家さんご本人からの提供に変わったのですね。

一英さん:著作権のこともあり、所有作品をパブリックで上映するのは、作家の許諾が必要です。作品ごとに、購入ギャラリーを通して、作家に許諾を得るという手続きは、作家本人に出ていただくことでクリアでき、さらに作品制作に関するお話も伺える形になりました。

——エディション、写真作品の販売もしていましたね。

惠美子さん:映像作品自体は、まだまだコレクションする人が少ないので、少しでも作家さんの支援につながれば、と考えました。それと同時に、2万円程度と控え目の価格帯で販売することで、ご参加くださる方に、作品購入の第一歩を提案しつつ、コレクションすることの楽しさを伝えたいと思いました。

長谷川さん自慢のコレクション:石川直樹さん

石川直樹 Everest #23  2011年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

石川直樹 Everest #23  2011年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

石川直樹 Everest from Lhotse #2  2013年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

石川直樹 Everest from Lhotse #2  2013年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

石川直樹 Makalu #38 2014年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

石川直樹 Makalu #38 2014年 C-print © Naoki Ishikawa Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

探検家と写真家の肩書をもつ、石川直樹さんの写真作品「Everest #23」、「Everest from Lhotse 2」、「Makalu#38」の3点。

1枚目は、2011年にエベレストの山頂から雲を見下ろし、山の影を写したもの。そこで彼は、エベレストの山頂に登ってしまうと、エベレストを撮れないと気がつく。そこで隣にあるローツェという8516mの山に登り、そこからエベレストを撮ったのが2枚目。その後、さらに別の山からエベレストとローツェを並べて納めたのが3枚目です。

彼の冒険と彼の思考を辿る写真ということで、気に入っています。

長谷川さん注目の若手アーティスト:毛利悠子さん

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

「Bride, Contingency (small)」(3枚組), 2018(AOYAMA Unlimited のオリジナル限定プリント)デジタルCプリント プリントサイズ:各90mm x 90mm | ペーパーサイズ:100 mm x 140mm | 3枚セット

マルセル・デュシャンの「泉/Fountain」100周年を記念して京都国立近代美術館で開催された「キュレトリアルスタディズ:泉/Fountain 1917 – 2017 | CASE 5: 散種」で、デュシャンの「彼女の独身者によって裸にされた花嫁、さえも(通称:大ガラス)」をベースにした展示作品「めくる装置、3つのヴェール」より、3台のスキャナーによって自動制作された、3種の作品の特別限定プリントセット。サイン入り作品証明書付。

2014年の札幌国際芸術祭での毛利悠子さんの展示を通して、インスタレーション作品の面白さと奥深さを知りました。展示場所やテーマごとに綿密なリサーチを行い、モノに纏わるストーリーや見立て、アイデアや偶然性を、インスタレーションに昇華させていく優れた手腕。

そして、必ず動きがあり、音があり、どことなくユーモラスだけど、美しくて敬虔ささえ感じさせる絶妙のバランス感覚。毎回、展示を楽しみにしています。作品には、国境やジャンルを超えて、ユニバーサルに共感を集める力が感じられ、グローバルな活躍を信じています。

この作品は、AOYAMA Unlimitedに登壇してくださったときに販売用に制作させていただいたオリジナル限定プリントです。

長谷川さん注目の若手アーティスト:岩崎貴宏さん

岩崎貴宏 アウト・オブ・ディスオーダー (薮) 2017年 歯ブラシ h. 9.5 x w. 17.0 x d.1.3 cm ©︎Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY, Tokyo Photo by Ichiro Mishima

岩崎貴宏 アウト・オブ・ディスオーダー (薮) 2017年 歯ブラシ h. 9.5 x w. 17.0 x d.1.3 cm ©︎Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY, Tokyo Photo by Ichiro Mishima

2017年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として選出された際、応援プロジェクトVenice Project 2017を企画させていただいたご縁で、近くで岩崎貴宏さんの活動を拝見する機会を得ました。

以前から、日用品を使って緻密な作業を積み重ねながら、大きな世界を形づくり、社会の課題を表現していく、その緻密さと大胆さのスケールの行き来がとてもユニークで面白いと思っていました。

国際的な大舞台でひるむことなく、表現に磨きがかかり、一段と大きく飛躍されたように感じています。その成長ぶりが頼もしく、ますます目が離せなくなっています。

日本の現代アートを取り巻く社会課題

——そもそも、E&K Associatesを立ち上げ、動き始めたきっかけを伺えますか?

惠美子さん:きっかけはURANOさん(現在は新ギャラリー「ANOMALY」として活動)の所属作家、岩崎貴宏さんがヴェネチア・ビエンナーレの日本館代表に選ばれたことです。

日本館代表に選ばれることは、世界のアートシーンにおいて大変名誉なことです。そこで、何か活動することによって、ヴェネチア・ビエンナーレ、その日本館代表作家、そして岩崎貴宏さんというアーティストに注目してもらえることができないかと考えました。また、アウェイ感やプレッシャーを抱きながら海外で活動する作家さんを、日本からの応援という形でサポートしたいと思いました。

——「Venice Project 2017」ですね?

惠美子さん:はい。具体的には、URANOさんとの共同プロジェクトとして、岩崎さん監修のピンブローチ/ピアスを販売し、その収益を、現地で行われるパーティー費用に充当していただきました。現地でのパーティーは、世界中からアート業界に影響力をもつ人々が一堂に会するヴェニスで、自国の作家をお披露目するチャンスとして各国が競って開催しています。一方で、日本では、公的な資金ではパーティー費用を計上できない規則があり、民間の資金が必要となります。

一英さん:本来、ヴェネチア・ビエンナーレは、「アート界のオリンピック」とも言われるくらい、国にとっても重要な文化交流イベントです。個人の善意を集め、オールジャパンで応援する仕組みがあれば、ヴェネチア・ビエンナーレが日本でもっと注目されるのではないかと考えています。

ANOMALYでは、2019年1月26日(土)までChim↑Pom(チンポム)の展覧会「グランドオープン」が開催されている。Chim↑Pom「グランドオープン」展示風景 ©︎Chim↑Pom, Courtesy of ANOMALY, Tokyo Photo by Kenji Morita

ANOMALYでは、2019年1月26日(土)までChim↑Pom(チンポム)の展覧会「グランドオープン」が開催されている。Chim↑Pom「グランドオープン」展示風景 ©︎Chim↑Pom, Courtesy of ANOMALY, Tokyo Photo by Kenji Morita

惠美子さん:話が大きくなってしまいましたが、簡単にいえば、「ヴェネチア・ビエンナーレの日本館、次の代表作家は誰だろう」というワクワク感をもっと広く共有できるようになればいいなと思っています。

——一英さんも同じ思いでしょうか?

一英さん:彼女の話に加えて、私はもう一点意識していることがあります。アートとサイエンスの掛け合わせで、新しい価値が生まれるのではないかと考えているんです。

——それは、E&K Associatesとして?

惠美子さん:E(惠美子)はよくわかっていないので、K(一英)として(笑)。

一英さん:最近、アート作品にサイエンスを取り入れる作家さんをしばしばみかけます。逆に産業側でも、サイエンティストが何か作ったところに、アーティストの発想が入ることで、サイエンティストが思いもしなかった実用化の道が見つかるのでは、と期待する動きがあるんです。アーティストを産業界につなげる仕組み作りができたら、と考えています。

アートフェアを開催したいという思い

——E&K Associatesは休眠中とのこと、継続が難しくなる事情があったのでしょうか?

惠美子さん:2018年8月から京都府の職員として、京都でのアートフェア計画に関わっています。

もともと私は妄想癖がありまして(笑)、かつてあったG-tokyoのようなハイエンドなギャラリーだけの現代アートのフェアをやりたいという思いがありました。企画書を書き、何名かのギャラリストに意見を伺うところまでは進めていたのですが、なかなか道が見えず…。そんな折、京都府でアートフェアを立ち上げるというので、合流することにしました。

一英さん:公務員となるので法人への所属はできず、E&K Associatesは休眠ということになりました。

——過去に、惠美子さんが「アートフェアをやるのが夢」だとおっしゃっていた記憶があります。壮大な夢だと感じましたが、ついに叶うのですね!

MuuseoSquareイメージ

惠美子さん:京都府では、重点事業として、2020年にアートフェアを開催するのが目標です。その実現に向け、事業計画を立てて具体化していくことが、これからの仕事です。

——それはやりがいがありますね!?

惠美子さん:とはいえ、課題は多いです。そもそも、アートフェアは収益事業ですので、行政がやるべきことではないという意見が根強くありますし、ただでさえ規制や制約が多い行政にできるのかという問題もあります。

でも、日本の現代アート市場が抱えている問題を、京都でなら解決できるかもしれないと、可能性を感じています。何しろ京都は、日本の文化の聖地。伝統工芸からお茶やお花、食など幅広い文化が根付いています。色々な方にご協力を仰ぎながら、ハイエンドの伝統と最先端の現代アートが出会う場として、国際的に注目されるイベントを目指したいと考えています。

京都は芸術系の大学が多く、多くの芸術家が集結しています。京都でアートフェアを開催することで、アートシーンを顕在化し、世界に向けて発信するきっかけになればと思います。

いつかコレクションを振り返って

——E&K Associatesでも、京都でのご活躍でも、おふたりにとって現代アートは、そこまでの行動を引き起こさせる存在なのですね。

惠美子さん:アーティストとして生きるって、大変なことだと思うんです。作品を創り、それを世に問うことで生きていくという覚悟に対して、まずリスペクトしています。コレクションすることは、それを陰ながら応援していく行為の一つだと考えています。応援したいし、それにより同じ時代を生きていると体感したい。

応援している作家さんたちが、時代を象徴するような作家さんになってくれたらうれしいですね。そういう才能を見極められる、目利きコレクターになれるといいなと思います。

MuuseoSquareイメージ

一英さん:コレクションそのものの姿が、今後どうなっていくかはまだわかりません。ですがいつか、活動の変遷を含めた回顧展のようなものができたら面白いと思っています。

惠美子さん:そんなこと考えていたんだ!(一同、笑)

——活動も含めての長谷川コレクションなのですね。最後に現代アートは観るけれど、まだ購入したことがない方へ、コレクターとしてのアドバイスを一言いただけますか?

惠美子さん:プライマリー・ギャラリーのオープニングに足を運び、まずは作家さんと話をしてみてほしいですね。作品そのものを気に入って購入するのもよいのですが、作家さんと話すことによって、作品についての理解が深まり、人としてのつながりも生まれるきっかけになるので。応援したくなる作家さんが見つかると、長く楽しく続けていけるのではないでしょうか。

一英さん:僕もそれに賛成なのですが、とはいえ、やはり最初は敷居が高いと感じるでしょう。ですから一番最初は、先輩コレクターをみつけて連れて行ってもらうとか、アートフェアで開催されるツアーに参加するというのも、いいかもしれません。

ーおわりー

石川直樹「この星の光の地図を写す」

記事で紹介した写真家、石川直樹の個展が初台の東京オペラシティアートギャラリーで開催されている。

北極、南極、ヒマラヤ8000m峰といった極地を撮影した各シリーズ、ニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』、ポリネシア地域に浮かぶ島々を星に導かれるように巡った『CORONA』、世界各地の洞窟壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』、そして日本列島の南北に広がる島々を探索する『ARCHIPELAGO』など、石川の初期から現在に至るまでの軌跡を写真や使用してきた道具などを通じて辿ることができる。

会期: 2019年1月12日~3月24日
会場 :東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間:11:00~19:00(金土~20:00)
休館日:月(祝日の場合は翌火)、2月10日(全館休館日)
観覧料:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料

公開日:2019年1月25日

更新日:2020年3月30日

Moderator Profile

File

深野一朗

現代アート・コレクター。 国内外のアートコレクターとギャラリーのためのオンライン・プラットフォーム 「CaM by MUUSEO」をプロデュース。主な著書は『「クラシコ・イタリア」ショッピングガイド』(光文社)。

Contributor Profile

File

塚田 史香

東京在住。ライター。PRSJ認定PRプランナー。好きな場所は、自宅、劇場、美術館です。

終わりに

深野一朗_image

いつかアートフェアをやりたい。何年か前に惠美子さんからそう伺ったときの衝撃を今でも忘れない。

コレクターにはいろいろな夢がある。コミッション・ワークの依頼からプライベート・ミュージアムの創設まで、その夢は様々だが、アートフェアをやりたいというコレクターに出会ったのはその時が初めてで、その夢の壮大さに驚いたものだ。

その後お二人は「Venice Project 2017」や「AOYAMA Unlimited」などで積極的にアートの世界に関わり、はたで見ていた僕の目には単なる「コレクター夫妻」ではなく「行動するコレクター」として映っていた。

ギャラリーのオープニングなどでお会いするときは、いつもお二人ご一緒でいらしていたのが、一英さんお一人でお見えになるようになったのはごく最近のことだ。いったい惠美子さんは京都で何をされているのか、この取材を行うまで詳細を知らなかった。

だから今回の取材でご本人から、京都でアートフェアを実現すべくご尽力されていると伺ったときは、実に吃驚した。正直、数年前にその夢を伺ったときは、あまりのスケールの大きさに半信半疑であったが、まさか本当に実現に向けて行動を起こされていたとは!!

ちょうど今年の2月にLAで新しいアートフェア「Felix LA」がローンチするが、このフェアを立ち上げたのは当地のコレクターである。
メガフェアに対するカウンターとして、Condoのようなオルタナティブなフェアが求められているなか、コレクターによるフェアも今後は増えるかも知れない。もしそれが日本で立ち上がるとすれば、間違いなく長谷川ご夫妻がキーパーソンになるだろう。今後もお二人の「行動と実践」に大いに期待したい。

Read 0%