サム・フランシスとは?

アメリカ抽象表現主義の画家サム・フランシス(Sam Francis, 1923~1994)。20代でパリに渡りアンフォルメルの画家達と親交を結び、早くから抽象画家として認められる。1957年に初来日し、日本に長期滞在。アンフォルメルを日本にもたらし、南画廊のオーナー志水楠男や評論家の東野芳明ら文化人たちと交流を深める。日本で多くの作品を制作・発表するなど、日本にゆかりの深い作家としても知られ、作品には、水墨画を思わせるハネや滲み、大画面に大胆に残される余白の効果など、日本や東洋の美術に通ずるものがあるといわれている。1959年に東野芳明が義父の出光興産会長の出光佐三に紹介。パトロン、友人、そして最終的には親族(フランシスは佐三の娘・真子(=フランシス真悟の母)と1965年に結婚する)となる。1980年にロサンジェルス現代美術館の評議員に選出され、初代館長にポントゥス・フルテン、建築家に磯崎新を起用するうえで影響力をもった。主な展覧会に「サム・フランシス」(ベルン・クンストハレ、1960)、「ドクメンタIII」(カッセル、1964)、「サム・フランシス1947-1972」(オルブライト=ノックス美術館、1972)、「サム・フランシス:近作の絵画1976/1978」(ポンピドゥー・センター、1978)、「サム・フランシス:絵画1947-1990」(ロサンジェルス現代美術館、1999、メニル・コレクション(ヒューストン)、国立ソフィア王立芸術センター(マドリッド)、ローマ現代美術館に巡回)。

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金箔、伝統工芸に加えてアート。これだけで、ピリッと張り詰めた緊張感の中での取材をすぐに想像できるだろう。
でもお会いして10分後には笑っていたし、取材開始30分後には、用意していた半分以上の質問は見当違いだったことに気づいた。

裕人礫翔さんは、とてもよく笑うし、笑わせてもくれる。そして想像していた箔工芸とは別の角度から箔を見ている。「伝統工芸」のイメージとはかけ離れた、無限大に広がる箔の世界に彼はいる。

もちろんそうなるまでには、ひたむきに箔工芸と向き合ってきた歴史があった。400年以上紡がれてきた京都の箔工芸から、アーティスト・裕人礫翔という異物が誕生したその軌跡を辿りながら、箔の世界を見てみよう。