3000個のスノードームを所有するコレクターが語る、わずか10cmの「世界」に没頭する楽しさとは?

取材日: 2015年9月22日

取材・文 / 井本 貴明
写真 / sonoda satoshi

3000個のスノードームを所有するコレクターが語る、わずか10cmの「世界」に没頭する楽しさとは?_image

子供の頃にテレビで見たアメリカの映画。
映画のタイトルは思い出せないけど、クリスマスツリーの足元に置かれたスノードームのシーンは今でも覚えている。無邪気な子供がスノードームを振ると、ガラス玉の中では星が降ってきたかのような、まばゆい輝きを放っていたのだ。

あれから30年近くが経ち、何気なく見ていたテレビ番組で、スノードームのコレクターを特集を見かけた。そのコレクターの名前は伊達ヒデユキさん。20年ほど前からスノードームを集め始めた長年の収集家だ。今では3000個以上のスノードームを所有し、伊達さんの仕事場には綺麗に並べられている。
さっそく、伊達さんに取材にお願いをしてみた。
あの映画で出てきたスノードームの輝きを、もう一度見たくて。

コレクション・ダイバー【Collection Diver】とは、広大なモノ世界(ワールド)の奥深くに潜っていき、独自の愛をもってモノを採集する人間(ヒト)を指す。この連載は、モノに魅せられたダイバーたちをピックアップし、彼ら独自の味わいそして楽しみ方を語ってもらう。

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無限の広がり。完結されている世界。2つの矛盾を併せ持つスノードームの性質

まず始めに、スノードームの歴史を少し紹介したい。
19世紀前半のヨーロッパで誕生したと一般的に言われ、その後、1889年に開催されたパリ万博博覧会で、エッフェル塔をモチーフにしたスノードームが販売され、それが各国からの観覧者へのお土産としてに人気が高まり、世界中にスノードームの存在が知れ渡った。
海外ではSnow Globe(スノーグローブ)という名称で一般的に呼ばれており、アメリカ、フランスを代表とする海外コレクターが多いのが特徴である。

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今回お話を伺った伊達さんは、20年前からスノードームのコレクター人生が始まった。
そのきっかけは、友人から頂いたハワイお土産である。
「友人からハワイお土産としてスノードームを貰いました。子供の頃からスノードームの存在は知っていましたが、大人になり、スノードームを実際に手にすると不思議と面白かった。手の中にすっぽりと収まるサイズなのだけど、その中には無限の広がりを感じた。一方で、矛盾するが、その中で完結してしまう世界でもある。全てが凝縮されている感じが面白かった」
その後、伊達さんは好奇心を頼りにスノードームを集め始めた。

見知らぬ外国の人から、突然送られてくるメール。その正体は、、、

スノードームのコレクションを集め始めた当初は、国内の雑貨屋などを探し回った。そして、知人が海外旅行に行く際には、スノードームの購入をお願いし、海外物も増えてきたのである。また、最近では、このような面白い現象が起きている。

「ここ10年ぐらいは、海外のコレクターとの交換が増えてきています。突然、海外の知らない人からメールが来るのです。私が持っているスノードームと交換してくれって。何で僕のメールアドレスを知っているのだろう??とても不思議です。。。あっ、そうだ、昔オークションサイトのeBayで活発に行動していたから、海外の人は僕がスノードームコレクターって知っているんだ。そこでメールアドレスが知れ渡ったのか」

海外のコレクターからは、日本の観光地物や「Tokyo」と文字が入ったスノードームを求めて、伊達さん宛に交換の依頼がたくさん来るのだ。
余談ではあるが、海外コレクターとの交換で、郵送に不安を感じるかもしれないが、伊達さんの元には配送が多少遅れることはあっても、届かなかったり、破損していた事は一度も無いと言う。

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3000個のコレクションから選んだ、お気に入りのスノードームとは?

スノードームには大きく3つのタイプがあると伊達さんは語る。
・観光地で売っているご当地物(エッフェル塔、自由の女神 etc..)
・企業が出す広告物(映画の販促や、お店の宣伝 etc..)
・サンタクロースなどの季節物
アメリカでは、企業の広告にノベルティとしてスノードームを作成する事が多い。そして、それらは数量限定物が多く、コレクターの間では希少価値が付いている。日本の企業にも、スノードームでノベルティを作って欲しいものだ。

スノードームの前提情報を紹介してもらった上で、伊達さんが所有している3000個のスノードームから、特にお気に入りの3個を紹介!

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アメリカのスノードーム作家である、Walter Martin & Paloma Muñozの作品。海外のスノードームコレクターの間では、とても人気が高い。
「eBayで偶然見つけて、入手しました。他のスノードームと比べて、映画の一場面を切り取ったような構成にストーリー性を感じますね」
Walter Martin & Paloma Muñozのスノードームをもっと見たい方は、こちらを参考(http://gigazine.net/news/20100103_snowglobe/

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映画『FARGO』のスノードーム。映画監督であるコーエン兄弟の名作と言われている映画で、ビデオが発売されるときに、セットでスノードームも付いてきた。
2種類あるが、映画の最後のシーンを再現したスノードームは流通した数が少なかったので貴重である。
「映画のシーンを再現して、振ると、雪に混じって血が舞うというアイデアが気に入っています」

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アメリカのエネスコ社のスノードーム。この会社が作る、スノードームはユニークな物が多いことで有名。
「振ると、ハゲ頭の周りに髪の毛が舞います。他のエネスコ社の物には、振ると札束が舞ったりする物もあります。この遊び心が好きです」

気分転換をしたければ、スノードームを振る、眺める、そしてまた振る

「スノードームの魅力は、気分の切り替えが出来る事です。しかも、手のひらに収まる。スノードームを振って、ドームの中で雪が舞っている景色を眺めると、気分転換ができて嫌なことも忘れられますね。」

そう語る伊達さんは、スノードームの魅力に引き込まれ、4年ほど前にサラリーマンを辞めて、自作のスノードーム販売を仕事にしている。東京のお土産屋などに置かれている伊達さんのスノードームは、海外からの観光客に人気だと言う。彼らは自宅に持ち帰り、そのスノードームを振るたびに、東京の街を思い出すのだろう。

冒頭で述べた映画の中で、スノードームが輝いて見えた理由が分かった気がする。
子供が振るスノードームに雪が降る。その瞬間、スノードームを眺めている家族全員が、いろいろな嫌なことを忘れて、楽しいことだけを思い描いているのだと思う。
映画で感じたスノードームの輝きは、ガラス越しに映った家族みんなの笑顔だったのだろう。

(おわり)

スノードーム内で、キラキラと雪が舞っている様子が見れます。

参考:スノードームの作り方

実は、スノードームは意外と簡単に自作もできる。
必要な材料はビン、接着剤、洗濯のり、水、オーナメント、ラメなど。
作り方はビンにオーナメントを接着し、洗濯のりと水を混ぜたものにラメを入れるだけ。

ポイントは、洗濯のりと水の割合。うまい具合に調整してあげるとキラキラとラメが舞いながら落ちていく。もっと手軽に作りたい方は、キットが100円均一などに売っているのでそれを使うのもよさそうだ。

オーナメントは好みのものを選べるのに加え、雑貨屋に行けば形状が変わっているビンもたくさん売っているし、自分だけの手作りスノードームを作ってみてはいかがだろうか。

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