収集暦は15年。ジブリファンのくろすけさんが「非売品グッズ」を集めるわけ

取材日: 2017年9月16日

取材・文・写真/伊藤太成

収集暦は15年。ジブリファンのくろすけさんが「非売品グッズ」を集めるわけ_image

日本を代表するアニメスタジオ「スタジオジブリ」。となりのトトロや天空の城ラピュタなど次々とヒット作品を生み出し、日本だけでなく世界中のファンを虜にしている。

そんなジブリ作品の魅力に触れたことで、他のファンとは一味違った活動を行っている人がいる。スタジオジブリの「非売品グッズ」を集めているコレクターのくろすけさんだ。

コレクション・ダイバー【Collection Diver】とは、広大なモノ世界(ワールド)の奥深くに潜っていき、独自の愛をもってモノを採集する人間(ヒト)を指す。この連載は、モノに魅せられたダイバーたちをピックアップし、彼ら独自の味わいそして楽しみ方を語ってもらう。

普通のグッズ集めから始まった「非売品コレクター」

MuuseoSquareイメージ

ジブリの非売品グッズの収集家として活動を続けるくろすけさん。最初はジブリ作品の一ファンとして始まった活動だが、15年ほど前からグッズの収集をスタートさせた。

今ではグッズを揃えるだけではなく、コレクションを飾る棚を全てDIYで作成したり、作品ごとにレイアウトしたりとジブリ対する非常に強い熱量を感じさせている。

棚はホームセンターで2×4の木材を購入し、切ったりクロスを貼ったりして自分で組み立てた

棚はホームセンターで2×4の木材を購入し、切ったりクロスを貼ったりして自分で組み立てた

ジブリ作品の中では、深く考えなくとも純粋な気持ちで楽しむことができる「となりのトトロ」が特にお気に入りだそう。そんなくろすけさんがグッズを集めるようになったきっかけを伺った。

「これはまだ自分が子供の頃の話ですが、当時通っていた個人塾で天空の城ラピュタと風の谷のナウシカを見たのがきっかけでジブリファンになりました」

自分に子どもができたときに見せたいアニメがあったらいい、そんな想いをもっていたくろすけさんは、子供も大人も世代を超えて楽しめるジブリの作品観が自分と非常に合っているのだと気づいたのだという。

トトロの巨大ぬいぐるみは、部屋の中でも特に強い存在感を放っている。

トトロの巨大ぬいぐるみは、部屋の中でも特に強い存在感を放っている。

「グッズ集めを始めたのは大人になってからです。たまたま見ていた骨董品のコレクターが出演するテレビ番組で、手塚治虫のグッズがものすごい価値を持っているという内容が放映されていました。それを見て、なんとなく自分でもやってみようとグッズ集めに目覚めました」

こうして始まったくろすけさんのグッズ集め。最初は一般的なグッズから始まったものの、徐々にグッズ集めの方向性が変化していった。

「最初はアニメ作品のLD(レーザーディスク)や劇場用のパンフレットを集めていたのですが、色々集めているうちにコアなグッズに手を出したいという欲が出てきてしまって。一般の店舗では売られていない非売品のグッズに手をつけることにしたんです」

関係者にしか行き渡らないグッズにも手を抜かない

くろすけさんが主に収集しているのは、スタジオジブリに関連する非売品グッズ。その大半はジブリの作品の制作、劇場での作品上映、宣伝・広報活動に関わるもので、一般の流通ルートでは手に入れる事ができないものが占めている。

広報で使われる同じジャンルのグッズでも、年代が違えば質感や表現の方法も変わってくる。また、関係者向けに配布をするグッズをいくつか見てみると、販売品と同様にクオリティが高いものが多いことがわかる。

千と千尋の神隠し 第75回アカデミー賞長編アニメーション映画賞受賞記念品

千と千尋の神隠し 第75回アカデミー賞長編アニメーション映画賞受賞記念品

MuuseoSquareイメージ

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思い出のマーニー公開時に劇場で使用されていたフィギュア

「関係者にしか行き渡らないグッズも力を入れて作るジブリの姿勢からは、作品に関わった人もファンにしたいというような想いを感じます」

作品自体の魅力はもちろん、作品の制作者の想いやメッセージも感じ取ることができる。売り物でないからこそ、そういったことが強く感じられるのが、非売品グッズの魅力の一つなのだろう。

どれだけの種類があるかわからない。だからこそ集めたくなる。

グッズ専用の部屋を作るほど、熱を入れたコレクターライフを続けるくろすけさん。これまでどれほどのグッズを集めたのだろうか。

「グッズを集め始めたのは15年ほど前になりますが、それから1000点以上のグッズを集めています。非売品ともなれば、新しいものを入手するのは簡単なことではありません。ただ、今でも年間100点以上は増えていると思います」

最近コレクションに加わった平成狸合戦ぽんぽこのぬいぐるみ。映画公開時に、劇場カウンターなどに置かれていた

最近コレクションに加わった平成狸合戦ぽんぽこのぬいぐるみ。映画公開時に、劇場カウンターなどに置かれていた

市販で売っているものとは違い、いつ購入のチャンスが巡ってくるのかわからない非売品のグッズ。このようなものを集め続けることは容易ではないはず。

「今はネットのオークションやフリマアプリなどを使ってグッズ集めを行っています。大体9割くらいはインターネットからの購入ですね。あとの1割は自分の足で、秋葉原や中野にある中古アニメグッズを取り扱うお店、シネマショップ、古本屋などといったお店に出向いてグッズを集めています」

非売品グッズはスポンサーや外部企業のために作られたものも非常に多く、流通の経緯もさまざまだ。そのため、グッズの種類を網羅することは簡単でない。

「例えばもののけ姫で言えば、映画の宣伝で使われる大型のポップ、チケットカウンターに置くフィギュアなどがありますが、スポンサーになっている保険会社の為の宣伝グッズも作られています。ジブリだけでなく、外部企業の意向など組んで作られていることがありますね」

もののけ姫公開時に劇場で使われていたフィギュア

もののけ姫公開時に劇場で使われていたフィギュア

「耳をすませばのころまでは、スタジオジブリ作品関連資料集という非売品グッズなどを網羅したものが出ていました。しかし社内で作品毎にまとめた資料がつくられるようになると、同じタイミングで発売されなくなってしまいました。なので、以降は内部向け資料を参考にしてグッズを集めています」

一般にはオープンにはならない商品を網羅した資料集が発売されている、というのは珍しい例だと思われるが、こういったものも時代が進むことによってなくなってしまう。だからといってグッズ集めを諦めるわけではなく、グッズを集めるための資料を見つけ出すという姿勢。それは、物を集め続ける愛好家としての本質なのかもしれない。

「今は非売品のジブリグッズがどれだけあるのか、というのが知られていない状況です。なので、今後は多様なグッズが存在するという情報を広め、スタジオジブリのより奥深い世界観を知ってもらうために、さまざまな方法で情報を広めていくという活動も行っていきたいと思っています」

人と人の輪を作って、グッズの魅力を広めていきたい

最後に、グッズを集めていて一番良かったと思うことを伺った。

「グッズを集めていて一番良かったのは、コミュニティの輪が広がっていったことです。同じようにグッズを集めているような友人もたくさんできましたし、あるときからは動画サイトの生放送番組にも出させていただくようにもなりました。おかげさまでジブリが好きなタレントさんや芸人さんなどともお知り合いになることができました」

「あとは、スタジオジブリの関係者ともお会いする機会にも恵まれました。うれしかったですね。お会いしたときに関係者にグッズの話をすると、『こんなグッズがあったのは知らなかった』と言われることもありました(笑)」

MuuseoSquareイメージ

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となりのトトロに出てくるサツキとメイの家 既存の模型キットにくろすけさんが手を加えてつくったという。非常に時間をかけて作った自慢の1品。

人との繋がりが広がっていったことがなによりもうれしいことだと語るくろすけさん。今ではジブリ関連のスタッフとも関わりがあり、情報を交換する機会もあるのだとか。

「直接映画制作に関わった人でも存在を知らないようなグッズがあると聞いています。そのようなもの一つ一つにもストーリーが必ず存在しています」

近年はヨーロッパなどでジブリ作品の人気が沸騰しており、非常に高い熱量を持ったファンが急増している。合わせてグッズを集めている人も増えているに違いない。くろすけさん自身の活動を通して、ジブリグッズの魅力を届けていきたいと目を輝かせながら語ってくれた。

—おわり—

非売品グッズの中にはアイスの箱も含まれている

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まっくろくろすけのグッズも数多く所有している

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「風の谷のナウシカ」イベントで使用したオリエンテーションシート

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作品ごとに並べられたディスプレイにもこだわりが見える

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