二人のお気に入りのPEZを教えて!
お二人には事前に、お気に入りのPEZを持ってきてくださいとお願いをしました。この場で紹介してもらいたいと思っています。まず、井上さんから、お気に入りのPEZを紹介してもらっていいですか?
そうですね。やっぱりこれは一番、自分的に思い入れがあるやつですね。
第4回目のJapan PEZ Gatheringを開催した時に、PEZ社にお願いして、別注でイベントのために作ってもらったPEZです。初めて作ってもらった、特別な限定PEZということで。
井上さんの要望からPEZ社がオリジナル作成した「Japan PEZ Gathering」イベント限定のPEZ
PEZ社にお願いしたら、作ってもらえるもんなんですか?
何年もイベント(Japan PEZ Gathringを)続けて、色々繋がりができたので、PEZのロゴとかイベントで使わせてもらう時に、PEZ社に許可取ったりとか、色々と接触をしていました。連絡を取ってるうちに、これ(イベント用のPEZ)作っていいよって言われました。
ちなみに、ちょっと豆知識なんですけど、この年って、海外でも限定PEZが作られてたんですけど、日本だけ、キャンディーのレシピが違うんです。
そう。日本独特というか、、、他の国のキャンディーは、たぶん別物なんです。日本独特の決まりみたいなのがあるみたいです。
そうですか。なんか、他の国は大丈夫だけど、日本だけちょっとレシピが違うので待ってくれって言われて。ああ違うんだと思いましたね。
もう一本好きなPEZを選ぶとしたら「Annie(アニー)」です。
ミュージカルで有名な「Annie(アニー)」のPEZ
そうですね。これは、なぜ好きかっていうと、顔が気持ち悪いっていうこと(笑)。あと、これが作られた年が1982年なので、自分と同い年ということで好きです。昔っぽい、可愛くないところがいいですね。
よくこれでOK出したな、みたいなのがすごい好きですね。そんな感じです。
ありがとうございます。では、窪田さんの好きなPEZも紹介してもらえますか?
はい。レアなPEZでもなんでもないのですが、自分が一番好きな「サワーズ(Sours)」シリーズ。可愛くないでしょ?
PEZ社オリジナルのサワーズ・シリーズのPEZ
このサワーズって、キャラクターありきで作られてるんじゃないんですよ。キャンディーありきで作られたキャラクターなんですよ。逆なんですよ。普通はPEZ本体があって、そこにキャンディーが入るじゃないですか。これは、サワーズっていうキャンディーを作った記念に出た、PEZ社オリジナルのキャラクターなんですよ。
完全にオリジナルなんですよ。それで、スイカとかパイナップルとか、こういうのがいっぱい出たんですよ。しかも、サワーズシリーズのキャンディーは不味いんですよ。
不味いにもかかわらず、キャラクターを起こして、販売した。しかも、サワーズでクリスタルシリーズとかもPEZ社が出してるんですよ。どこまで熱量が高いんだと(笑)。
なんだろ、この安っぽさ。オリジナルのキャラクター出すんだったら、森永のキョロちゃんぐらいしっかりやれって思うんですけど、、、さすが、アメリカって感じ(笑)。
これ、PEZのコレクターの間では、人気は高いのですか?
(人気は)ないです。僕が、個人的に好きなだけです。一度、本当にキャンディー食べてほしかったんですけど。
今度は、キャンディーを食べながら対談しましょうか。他にも、お気に入りのPEZをご紹介してもらえますか?
ハロウィンのPEZです。
DEW MARTの店長写真として、これを使っているんですよ。「Dr.Skull(ドクター・スカル)」っていう名前なんです。これもPEZ社オリジナルなんですけど、なんでドクターなのか意味が分かんないじゃないですか。さらに、この安っぽさがいいですね。
右が「Dr.Skull(ドクター・スカル)」。医者の感じは全くないから不思議
もしも目の前に神様が現れて、何でも好きなPEZを1本くれるとしたら、何が欲しい?
もしも、目の前に神様が現れて、好きなPEZが1本だけ手に入るとしたら、何が欲しいですか?
1本だとしたら、本当にビンテージのPEZなんですけども「Make a Face」。自分で顔を作れるやつですね。
(映画Toy Storyに出てくる)ポテトヘッドみたいに、顔のパーツで。
顔に穴が開いていて、目、耳、口とかを差し込めるやつがあるんですけど、それが海外のオークションでもなかなか出ない。
はい。だから、1本貰えるって言われたら、それですね。
もしも、この対談記事を見てる人の中で、家にたまたまあったりしたら、井上さんが10万円で買い取りますか?
はい、10万円で。ちょっと土下座しに行きます(笑)。
持ってる人がいたら、たぶん価値知ってると思うな(笑)。
たまたま、倉庫から出てくるものじゃないと思う(笑)。
僕は、PEZなんですけど、昔から「ベンダー」が欲しいですね。
自販機です。( 袋に入ったPEZを指差し)これが自動販売機用で売られたPEZなんですよ。出てくる方ではなくて、出てくる側を欲しいんですよね。
PEZの自動販売機
taro-pezさん所有の「PEZ vending machin」
From ミューゼオ
ないと思いますよ。アメリカのものなので、なかなか(オークションに)出てこないし、出てきても(高くて)なかなか手が出ないです。それを、一個欲しいですね。
なるほど。思い出に残ってるPEZってありますか?手に入れたときの感動がすごかったとか、入手するのが大変だったとか?
集め始めの頃は、「アステリクス」の「ローマン」とか、見つけたらすごい感動しましたけどね。
「アステリクス」っていうヨーロッパの漫画があり、けっこう有名なんです。このアステリクスっていうのがいて、ローマンっていう敵役がいるんですよ。
冒頭のほうでも話したんですけど、PEZって子供のものじゃないですか。そうすると、悪役って人気がないからアソート率が低い。アソート率っていうのは、一箱に対しての種類が何本入ってるかみたいなのがあるんです。悪役は、それが極端に少ないんですよ。
そのローマンっていう敵は、36本入りの箱の中に2本しか入ってない。そして、アステリクスは4種類あるんですよ。で、3種類集めたら、もう1種類も欲しいじゃないですか。その1種類のローマンだけが、やっぱり36本のうち2本しかないから、手に入らない。これを見つけた時は、ちょっと嬉しかった。
そういうケースが多いんですよ。例えばPEZの「ハルク」とかも。
やっぱりシリーズ物で集めていると、1種類が欠けると、それをどうしても手に入れたくなる?
どうしても手に入れたい。そこは絶対に手に入れたいですね。
シリーズ物で言うと、どんなシリーズのPEZが好きでしたか?
ロックバンド「KISS」のPEZ
確かにあのディテールはすごいですよね。井上さんは好きだったシリーズはありますか?
日本限定発売なので、けっこう海外からも人気があるシリーズですよね。
日本限定発売のキョロちゃんシリーズは、海外のPEZファンからも人気が高い。
過去にオークションで1,000万円の値段を付けたPEZ「アストロノーツ」。
ちょっと知りたいのですが、PEZって世界中にコレクターの方がいるじゃないですか。そうなると、価値のあるPEZは値段が上がってくと思うのですが、過去に一番高額で取引されたPEZっていくらぐらいで、それは何なんですか?
サザビーズのオークションで取引された、1,000万円のやつですよね。
アストロノーツ?どうして1本のPEZで、そんな値段がついたんですか?
完品で数が少なくて、みんなが欲しがってるからです。単純にそれですね。どんなに数が少なくても欲しがらなければ、値段って上がらないじゃないですか。それがたぶん聞いた中では、最高額です。
アストロノーツというのは、世界で何本ぐらい出回ってるんですか?
数は少なかったはずですけど、特別に何かっていうわけじゃなかったと思います。
お二人が言える範囲で構いませんので、一本のPEZに費やした金額で、一番高かったのは何でしたか?
そうですね(笑)。なかなか言いづらいですよね。言える範囲で構いませんので。
僕は、イベント物のPEZとか、セット買いがけっこう多いので。セットだと、けっこうするんですよね。1本自体だと、、、2、3万円ぐらいですかね。
僕、詳しくは計算しないことにしてるんですよ。負けるんで(笑)。
あのドキドキ、ワクワクは中学時代から変わらない。僕らがPEZにハマる理由とは?
PEZにハマる理由って、お二人はどう捉えてますか?
規格が変わらないところに、すごいハマる魅力がありますよね。
なるほど。PEZの基本的構造は変わんないですもんね。昔から”ヘッド”と呼ばれる頭部分と”ステム”と呼ばれる棒状のキャンディーを入れる部分で構成されていますね。
本当に変わらない。例えば、50年前のPEZにも、今のキャンディーが入るはずなんです。そういう変わらない点っていうのが1つの魅力ですし、当然、種類がたくさんあるっていうのも魅力です。さっきも言ったけども、1つ種類が欠けたら気になっちゃう。4本セットなのに3本しかないってなると、次も買いたくなるじゃないですか。そういう、泥沼化していく要素がたくさんあるんですよね。
しかも、同じ頭が付いていても、ステムの部分が違うとか。原産国が違うから、色が違うとか、そういうバリエーションもすごいあるので、当然、並べて楽しいっていうのもありますけど、、、さらに好きになると、普通の人が見たら「何が違うの?」っていう違いも好きになる。例えば、頭部分に1本の線が入ってるかどうかの違いなど、掘り下げれば掘り下げるほど、泥沼化していく魅力がたまらないですね(笑)。
なるほど。種類の多さが魅力の一つとのことですが、PEZって今、何種類ぐらいあるのですか?
分かんないと思いますね。PEZ社も分かってないと思いますね。どういう分類にしていくか?ステムの色違いだけでもたくさんある。同じ黄色でも、普通の黄色とパステルイエローとか。それに原産国、例えば、スロベニアなのか、ハンガリーなのか、オーストリアなのかとか。
なるほど、きりがないですね。では、ヘッド部分だけで言うと何種類ぐらいあるとか分かるんですか?
たぶん、集めれば集めるほど、そこ考えたくないんですよね。
例えばこれ、芳屋(よしや)さんオリジナルなんですよ。
そうです。芳屋さんのじゃないやつは、ちょっとだけ青みがかかってないんですね。
まっ透明な感じなんですよ。でも、芳屋さんのほうが青っぽいんですね。見てもらうと分かるんですけど。
これ、ブルークリスタルって言われていて、これが芳屋限定。そんな事を入れていくと、この「ノーティーネイル」のPEZだけでも、5種類。あとは、海外のディーラーさんや、井上さんみたいな、コンベンションで作っている人が何人もいて、、、その人とかが作ったのをいれると、これだけで色が5種類作。
どれぐらいだろう。ヘッドだけで1万種類はあると思う。
ここまで種類があると、全部集めるのって、絶対無理じゃないですか。
無理ですよね。お二人は、PEZを20年以上集められて来たと思うのですが、PEZを集める上でゴールってあるんですか?
そういうことを考えてないから続けてるんでしょうね(笑)。飽きがあまりこないコレクションであることは間違いない、とは思ってるんですよね。
確かに。やっぱり、新しいものが出たら、ワクワクするし、PEZは海外で作ってるので、日本で発売されるのは若干のタイムラグがあるんですね。海外で作って、森永だったら船便でコンテナで届くんですけど。だから、(日本の店頭に並ぶ前に)海外で一回情報が出るんですよ。日本では、それをネットの情報でしか見れなくて、、、「ああ、いつ手に入るのかなぁー」みたいな感じで、ドキドキするっていうのがある。やっぱり、新しいのが出るたびにワクワクはしますよね。
なるほど。そのドキドキ、ワクワクは、中学生、高校生の頃と変わらず、今も?
羨ましいです。普段の生活の中で、その楽しさがあるって。
今回、井上さんの監修の元、いくつかの切り口で「PEZ図鑑」を編集部で作成。
馴染みがあるキャラクターから、日本限定PEZ、オールド・ペッツなどを取り上げた。
PEZのこれからに期待する事。未来のPEZに見たいモノ。
最後に僕から1つ質問をさせていただいて、対談を締めたいと思うんですけども、一言で回答してください。PEZのこれからに期待すること。期待するPEZの未来とは?
とりあえず、自分が生きてる間は、新しいのをじゃんじゃん出して欲しい。PEZはなくならないでほしいという気持ちですよね。もうここまで来たら、一生集め続けたいという気持ちですよね。
少し回答が似ていますけど、PEZ生誕の100周年が近いので、ここまで来たら、やっぱり倒産するまでずーっとこの規格のままでいてほしいですね。変えないでほしいですね。
Bluetooth搭載にしてiPhoneからの操作で頭が動くとか、そういうテクノロジーは要らない?
要らない。過去にも失敗したけどテクノロジーのPEZはありましたしね(笑)。
あったんですか?(笑)じゃあ、PEZはこのままであり続けて欲しいと。
あ、でも1つだけ欲を言うと、2020年に東京でオリンピックあるじゃないですか。その時にまで、「ジャパン・オリンピックモデル」っていうPEZを出してもらいたいですね。過去には、サラエボ・オリンピックとかのPEZを出しています。
そうですね。たぶんオリンピック限定で、過去にはけっこう作ってたりする。
まあ、近い将来、本当にお願いしたいのは、日本限定、オリンピックのPEZは作ってもらいたいなと思いますね。
なるほど。最後に、PEZ対談で言い残したことありますか?あれ、しゃべりたかったんだみたいな。
まあ、でも(PEZの世界の)1割ぐらいしか話してないですからね。
じゃあ、続きは、飲み屋さんでやりましょうか?(笑)
本日はPEZ対談、長い間、ありがとうございました。
2016年に開催された第7回目の「Japan PEZ Gathering」の様子。各地からレア物のPEZが集まり、販売会、オークションなどが実施された。
希少価値が高いPEZもお目見え。(左)Crazy Fruiteシリーズ(右)OWL Whistle
トイ・フィギュアを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
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PEZ: From Austrian Invention to American Icon (American Palate) (English Edition)
PEZはアメリカの定番商品であり、子供の頃の思い出の品でもあります。PEZの起源はオーストリアにあり、1927年にタバコに代わるものとしてペパーミントを圧縮したタブレットを販売したのが始まり。1952年にアメリカに到着すると、PEZはすぐに新しい方向性を示し、フルーツフレーバーや立体的なキャラクターの頭部をディスペンサーの上に載せました。現在、コネチカット州オレンジで生産されているPEZブランドは、世界80カ国以上で販売されており、年間6,500万個以上が販売され、世界中のコレクターやファンを魅了しています。世界初で唯一のPEZ公式ヒストリアンであるショーン・ピーターソン氏と一緒に、世界で最も愛されているインタラクティブ・キャンディの内側を見るための甘い旅に出かけてみませんか?