ビジネスからアウトドアシーンまで大活躍。ウールの代表選手「メリノウール」のルーツと機能、種類を解説

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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秋冬の衣類に欠かせない原料、ウール。羊から採れる羊毛ですが、その種類は現在3000種以上と言われており、生息地域の環境やルーツによって繊維の長さ・太さ、質感が異なります。

その中の一つ「メリノウール」といわれる種類は、ウールの中でも品質の高さと安定性で世界的に有名です。服地の原料としてスーツやジャケットはもちろん、アウトドアウェア、ベースレイヤー(アンダーウェア)にも多く使われています。

高価なオーダーメイドスーツ用の生地はモヘアやカシミア、キャメルヘアなど希少素材を除けばほとんどがウール製、その多くがメリノウールを主要素材としていることからも分かります。中でも高級品に使われるsuper150’sや200’sなどはメリノウールの独壇場。ミューゼオ・スクエアの編集長も最近でこそビジネススーツの着用率が減り、独特な生地感のあるモヘアやブリティッシュ・ツイード、野趣溢れるヴィンテージの生地などを使ったジャケットを着ることが多いのですが、ここぞという時にはドレープ感のあるスキャバルや実用性を兼ね備えたハリソンズオブエジンバラなど、メリノウール製の生地で作ったスーツが活躍しているそうです。

また、機能面という観点からも、海外での一人旅や登山好きのミューゼオ社員曰く「メリノウールは寒い時期だけでなく、夏場にもおすすめ。灼熱の中東旅行のために選んだTシャツは、防臭・殺菌効果があるということで、それがどこまで機能するのか試したくて1週間ほど洗わず着たおしました。さすがに汗染みはつきましたが、臭いはほぼしなかったと思います。帰国して洗濯したら、汗染みも目立たなくなりましたよ」

今回は、そんな「メリノウール」の優れた品質をはじめ、特徴やルーツ、種類までをご紹介します。

まずはウールとメリノウールの違いを知る

ウール(メリノウール)100%のニット

ウール(メリノウール)100%のニット

ずばりウールは羊の体毛で、メリノウールとはメリノ種の羊から採った羊毛です。つまり、さまざまな品種の羊から採れるウール原料の中の一つ。
保温性や吸湿性、撥水性など、ウールの特性を持っています。

羊毛界の王者!メリノウールの特徴とルーツ

メリノウールは、スペインをはじめオーストラリア、ニュージーランド、フランス、パタゴニアなど世界各地、広範囲にわたって分布しており、現在良質なウールを最も安定して多く産出する羊種と言われています。

非常に細い繊維でしなやかなのに強度もあり、衣類にも適しています。特に保温性と速乾性に優れており、身に付けたそばから暖かく汗をかいても素早く吸湿・蒸発してくれます。防臭抗菌効果もあるので、アウトドアウェアやインナーに使われることも多いのです。

メリノウールのルーツは、スペイン・メリノ羊毛と言われています。アフリカから輸入された牡羊によって改良され、13世紀以降ベニ・メリネス族の放牧方法を使って白色のウールのみ生えるよう進化しました。

メリノウールの中で最も品質が安定した「オーストラリア・メリノ」

メリノウールを語るのに欠かせないのが、「オーストラリア・メリノ」です。「メリノ=オーストラリア・メリノ」と言われるほど、オーストラリアのメリノ種は他国に比べて優れた特性を持っています。ウールの最上級と言われるメリノ種の中でも、最も白度が高く、クリンプ(繊維の縮れ)が多くて柔らかい「羊の芸術的品種」と言われています。

前述のとおりルーツはスペインのメリノ羊で、オーストラリアの気候風土に適合するように品種改良されました。

ちなみに、メリノウールは生息する地域の環境に大きく左右されるので、仮にオーストラリアのメリノ羊を日本で育てたとしても同質の毛を採ることは難しいそう。

オーストラリア・メリノは、繊維の長さと太さにより以下の3つのグループに分けられています。

①ファインメリノ

ファインメリノは他と比べ体力がなく、エサとなる上質な牧草が豊富にある限られた地方でしか飼育できません。繊維の長さは70~75mmほどで、繊維の太さは18~19ミクロンで非常に細い。高級梳毛織物、ニット、スーツ、ドレスなどに使用されています。

②ミドルメリノ

ミドルメリノの繊維長は90mmほどで、繊維の太さは20~22ミクロンとやや太め。高級な毛布や梳毛織物に使用されています。

③ストロングメリノ

ストロングメリノは、厳しい環境下でも元気に育つ生命力を持っています。そのため、オーストラリアの広い地域に分布しています。平均繊維長は100mmほどで、繊維の太さは23~25ミクロンと3種の中でも圧倒的に太い。梳毛織物、毛布などに使用されています。

メリノウールを使用した服地コレクションを紹介

最後に、メリノウールを使用した「ハリソンズオブエジンバラ」の服地コレクションをご紹介します。スーツやジャケットを仕立てる際の参考にしてください。

サマージャケッティングコレクション「インディゴ」

80% WOOL & 20% LINEN 230GMS 25色

80% WOOL & 20% LINEN 230GMS 25色

厳選されれたメリノウールと高品質リネンのマリアージュによって織り上げられた、サマージャケッティングコレクションです。

ブランドを代表するスーツ地の一つ「プルミエ・クリュ」

99% SUPER100'S WOOL & 1% CASHMERE 330GMS

99% SUPER100'S WOOL & 1% CASHMERE 330GMS

厳選されたオーストラリア ビクトリア州産メリノウールは、3回梳毛され最後に残った最も長い繊維のみが伝統的工法で織り上げられています。

グローバルに活躍するビジネスマン向け「リージェンシー」

100% WOOL 280/300GMS

100% WOOL 280/300GMS

プルミエ・クリュと並び、ハリソンズの代名詞とも言えるコレクション。厳選されたメリノウールから紡がれた糸を経緯(縦横)2本ずつ使用し、軽快感のあるしなやかなボディーへ織り上げられています。

ーおわりー

公開日:2020年3月12日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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