カジュアルブーツの代表格。チャッカブーツの特徴と代表モデル

取材日: 2019年3月26日

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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「お気に入りの革靴を履いている」満足感は、仕事や学業のパフォーマンスをあげてくれるもの。この連載では、革靴のデザインごとに代表モデルやディテールについて解説します。

愛せる革靴を探す旅。スポーツをルーツに持つチャッカブーツを深掘りしていきます。

チャッカブーツとは?

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チャッカブーツとは、くるぶしを覆う程度の丈に2、3対の鳩目が施されており、ラウンドトゥが特徴の靴です。広義にはレースアップブーツに分類されます。

足の甲および爪先を覆う皮革とインステップから踵にかけてを覆う皮革 び2つのパーツが組み合わさった構造となっており、それぞれが一続きの皮革によって作られることが通例です。そのため、チャッカブーツはドレスシューズよりも構造的に簡易的で、高い柔軟性を持っています。

チャッカブーツはイギリスのポロ競技に由来する靴で、騎乗時や歩行時に負荷や摩擦が生じた際にも耐えることができる高い強度を持っています。

時代とともに、チャッカブーツには様々なバリエーションが生まれました。例えば、チャッカブーツであっても、つま先にステッチングやブローギング、それにメダリオンが入るデザインもあります。しかし、基本となるデザインは、あっさりと丸みを帯びたプレーンなデザインが主流です。

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ジョージブーツとデザートブーツ

チャッカブーツをベースとして1952年当時英国国王であったジョージ6世は、陸軍将校向けに「ジョージブーツ」を開発しました。

ジョージブーツは、チャッカブーツとは異なり、足首部の3対の鳩目に対して靴紐を通して締め上げられる構造となっていることが特徴です。ジョージ6世はパンツの裾から靴紐が見えることを好まなかったことから、高い位置に靴紐がくるように配しました。結果として、ジョージブーツの方がチャッカブーツよりも丈が長い傾向にあります。

チャッカブーツはもともとポロ競技というスポーツに由来する靴ですが、ジョージブーツは軍用ブーツが由来となっており、将校の正装である夜会服の際に着用されることもあります。チャッカブーツは基本的にそのようなことはありません。

ただし、現在ではチャッカブーツとジョージブーツを分ける明確な基準も存在しません。どちらかに分類することが困難なケースも存在します。

他にも、チャッカブーツと似たシューズとしてデザートブーツがあります。チャッカブーツとは異なり、デザートブーツはソールがゴム(クレープソール)でできています。クレープソールによって履き心地が柔らかくなり、クッション性が高まります。

デザートブーツの「デザート」は英語で砂漠を意味する単語です。デザートブーツの名前の由来は、砂漠でも砂が靴の中に入りにくい靴に由来します。

なお、チャッカブーツとデザートブーツについても、現在では明確に区別できないケースがあります。

チャッカブーツの歴史

チャッカブーツはポロ競技用の靴として19世紀半頃に誕生したと言われています。

もともと、「chakkar(チャッカ)」とはヒンディー語で回転や円環という意味を持った言葉で、これがポロ競技に取り入れられたと言われています。ポロ競技で言うチャッカとは、競技時間の単位を示していて、1チャッカは7分30秒と定められています。ポロ競技ではこれを6回行うのが通例です。

ポロ競技では、1チームは4人で構成され、選手は馬に乗ってマレットと呼ばれるスティックで玉を打って得点を競います。そのため、馬上で激しくぶつかったり、土の上を歩く機会が多いことから、くるぶしよりも低い高さの靴では足が汚れてしまうため、チャッカブーツが重宝されるようになりました。

通常の靴と比較すると、革がくるぶしより上まで覆ってくれ、鳩目の少ない外羽根式が高い泥除け効果を可能としています。さらに、この構造は泥除けとして優れているだけではなく、ブーツでありながら着脱も非常に容易である点も、ポロ競技者から愛用される特徴であると言えるでしょう。

チャッカブーツを有名にしたのはウィンザー公であると言われています。彼は1920年代〰1930年代のファッションアイコンでした。ウィンザー公がポロ競技を行う際にチャッカブーツを履いていたことから、多くの男性にもチャッカブーツが浸透していくようになりました。

チャッカブーツの代表モデル

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クロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones) 「CHERTSEY」

世界中で最も多くの木型の種類を有する靴メーカー、クロケット&ジョーンズ。「ポールセン・スコーン」、「ジョージ・クレバリー」、「ジョン・ロブ・パリス」といった伝統的なハンドメイドのビスポーク靴店の靴を高級既製靴ブランドとして製品化させた実績も持っています。

「CHERTSEY」は、クロケット&ジョーンズのチャッカブーツの人気No1モデル。木型は224を採用しており、トウにボリュームを持たせたクラシックなラウンドトゥになっています。チャッカブーツの由来に忠実なスポーティな顔つきが特徴です。

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Jinto SHOEMAKERS(ジント)「CHUKKA BOOTS」

Jintoは現代的なカラーをプロダクトに融合させた、宮城興業の若手社員によるファクトリーブランド。プランニングからプロダクションまでの工程を国内一貫生産、「JAPAN MADE」にこだわった靴を提供しています。

「CHUKKA BOOTS」に使われている革は、表面に「蝋」が塗付されているワックスレザー。ロウが付いているため、磨くとツヤを出しやすいことが特徴です。

ソールには耐摩耗性に優れているヨーロッパ産のベンズレザーを採用しています。

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RENDO(レンド)「CHUKKA BOOTS」

浅草に店を構えるシューズメーカー「RENDO」。RENDOは全ての靴をグッドイヤーウェルテッド製法でつくっており、またビスポークシューズと見間違えるほどシェイプがきいた木型を用いるなど、手間暇を惜しまずに靴作りをおこなっています。型紙のみならず、木型もブランドを主宰する吉見氏が自らの手で設計したものを用いています。

RENDOのチャッカブーツは、カジュアルな雰囲気のチャッカーブーツを上品に仕上げるため、パターンのラインやステッチの流れなどに細かい工夫が詰め込まれています。

まとめ:リラックスした雰囲気に合わせたい

チャッカブーツは19世紀前半に誕生したにもかかわらず、1世紀以上ものあいだ基本的なデザインは変わらずに人々に愛されてきました。現在でも、他のシューズメーカーはもちろん、イギリスの高級靴メーカーでもチャッカブーツは製造されており、その人気の高さを伺い知ることができます。

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チャッカブーツは、くるぶしをすっぽりと覆う程度の丈があるため、見た目的にもあたたかみがあり、機能的にも秋冬の寒さを防ぐことができますす。

チャッカブーツは革靴の中ではカジュアルな靴として分類されます。オーソドックスかつシンプルなデザインで足元にボリュームを出せるチャッカブーツと、起毛感のあるツイードジャケットとの相性は間違いありません。また、起源はスポーツ系にあるので、上にはポロコートやハンティングジャケットを羽織るのも合わせの好例と言えるでしょう。

ーおわりー

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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