ラルフローレンはアメリカ古着の面白さを知るのに最適
まず、一番の理由としてはアメカジの教科書的なブランドであること。
ラルフ氏が、ヴィンテージのアメリカ古着を膨大にコレクションしていて、洋服が生まれた背景や歴史にも詳しいんですよ。そういった知識をベースに洋服を作っているわけなので、たとえば「リーバイス」のデニムなどの王道アメリカ古着との相性は良いんです。
しかも、トラディショナルなディテールなどはヴィンテージを踏襲しつつ、時代に合ったサイジングで作られているので、ヨーロッパのワークウェアやミリタリーウェアのように洗練されたシルエットの洋服を組み合わせても上品に見えます。
そういう意味では、かなり汎用性が高いので取り入れやすいアイテムだと思います。あまり古着に馴染みのない方でも、まずは王道のボタンダウンシャツあたりから入っていけば、アメリカ古着の面白さを感じることができると思います。
さまざまなコレクションラインが存在するラルフローレン
ラルフローレンには、すべてを把握するのが難しいほど多くのラインが存在します。
さらに、ヨーロッパ向けに作られたのか、アジア向けに作られたのかなど、どこの国向けに販売していたかによって生地やデザインが異なるので、いわゆるヴィンテージ古着と同様に、生まれた年代で一概に価値を付けることができないんです。
ですが、タグを見ることでどんなテイストで作られたものかを判断することができます。まだまだ一部ではありますが、代表的なコレクションラインを挙げてみました。
1969年頃より「Polo by Ralph Lauren」表記に変更
1971年に設立した子会社「CHAPS(チャップス)」。Ralph Laurenの低価格ラインとしてスタート。
1971年より「Polo Players」ロゴに変更
1971年に登場したレディースライン「LAUREN」
1996年に登場した若者向けのカジュアルライン「POLO JEANS」
1998年に登場した高級スポーツライン「RLX」
1993年に登場したカントリーライン「RRL」。ヴィンテージ・マニアであるラルフローレン氏が自分自身でヴィンテージスタイルを作ろうとスタートした。
2004年に登場したヤング向けのトラディショナルライン「RUGBY」
とくにサイズに関しては、タグや年代、販売国によって全然違います。たとえば、S表記でもXLくらいあったり、アジア向けに作られているものはシルエットが綺麗だったり、ボーイズサイズでもかなり大きかったり……。だから、どの古着にも言えることですが、気に入ったデザインがあれば必ず袖を通してみた方が良いと思います。
逆に言えば、お店ごとにサイズ感だったり、仕入れるモノの趣向が異なるので、自分と相性の良いセレクトのお店を探すというのも手かもしれません。
ヴィンテージでは存在しない、レアなデザインがある
ラルフローレンの古着は、「Polo by Ralph Lauren」が登場した1969年から、現行品に近い2000年代のモノまで幅広く仕入れているお店が多いです。
それ自体の年代が浅くても、デザインの元ネタがヴィンテージモチーフのモノも多いので、面白い一点物がたくさん存在するというのも魅力です。
たとえば、このカバーオールもそうですね。
レディースのモノですが、1950〜1960年代頃のデニムカバーオールをベースにしつつ、ヴィンテージでは出てこないチェック柄のプリントを施しています。また、胸ポケットがスナップボタン仕様になっていたり、ポケットにフラップやベンチレーションが付いていたりと、王道のカバーオールでは絶対にないディテールが盛り沢山です。
あとは、このシャンブレーシャツも面白いですよ。元ネタはカジュアルなワークシャツなんですが、袖がドレッシーなカフス仕様になっているというのは珍しいですよね。
もちろんラルフローレンだから全部良いというわけではなくて、中には駄作もあります。その中でバイヤーの目に留まったものが、店頭に並んで後世に受け継がれていくので、そういう目線でラルフローレンの古着を見ると、より価値を感じることができるのではないでしょうか。
ーおわりー
ラルフ・ローレンを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
アメリカを代表するデザイナー、ラルフ・ローレン
Ralph Lauren: In His Own Fashion
ラルフローレン50周年の一環として出版されたこの本は、ファッションと文化的影響のレンズを通して、アメリカの象徴的なデザイナーの人生を見ています。ハイレベルでありながらも親密なラルフローレンの仕事と人生について、ブロンクス出身のプレッピーな少年がどのようにしてアメリカのファッション界で最も認知されているブランドの一つを作り上げたのか。
ラルフ・ローレンの人生と仕事
終わりに
個人的にも、ラルフローレンは王道過ぎるがゆえに、意外と深掘りしなかったモノの一つ。改めてタグの変遷や各コレクションラインのことを学び、その奥深さを知ることができました。次に古着屋へ訪れた際には隈なくチェックしてみようと思います。様々な古着屋を周りながら、“名作”探しをするのも楽しそうですね。