てれふぉんミュージアム 稲谷さんインタビュー

取材日: 2015年1月24日

文章・写真:井本貴明

てれふぉんミュージアム 稲谷さんインタビュー_image

てれふぉん博物館は30年にわたって収集した電話機コレクションを保存するため大阪市住吉区内に作った私設博物館。
「展示室」「収蔵庫」「書庫」の3部屋あわせて、約100㎡ほどの小さな博物館であるが、戦前~昭和30年代の電話機を中心に数多く所蔵されている。
今回はてれふぉん博物館の稲谷さんに取材してきました。

当時は区別もあまり出来ずに、購入後に家で詳しく見てたら、違う電話機を購入した事に気づきました(笑)

取材した稲谷さん

取材した稲谷さん

Muuseo(以下mso):最初の質問になりますが、「てれふぉんミュージアム」の成り立ちを教えて下さい。

てれふぉんミュージアム(以下稲谷):30年以上前から古い電話機を集めていまして、収集を続けるうちに東京の自宅で保管できない量になってきました。
将来的には大阪の実家に戻ろうと思っていたので、実家にミュージアムを作ろうと考えました。今思えば、これだけの量が、東京の自宅に収まっていたのが不思議ですね(笑)。
てれふぉんミュージアムを建設する際には、ノートにイメージだけ書いたものをもって建築家の方に相談しました。建築家の方も興味をもってくれたおかげで今の建物が完成しました。建物内には、美術家の緒方修一さんにお願いした電話機のステンドグラスなども飾っており、建物自体も電話に関連したユニークな物になっています。
てれふぉんミュージアムは電話機の展示だけではなく、電話に関する歴史的な資料や、製造メーカーのカタログなども収集しています。昭和当時の電話機のポスターや、戦前戦後の電話帳なども揃えています。
珍しい展示で言いいますと、電話の発明者グラハム・ベルが友人である伊沢修二に書いた自筆の書簡も見る事ができます。


mso:電話機を集め始めたきっかけは何ですか?

稲谷:30年前になりますが、たまたま見かけた雑誌に「イー661自動式卓上電話機」が載っていて、このデザインをとても気に入りました。蟹がハサミを上げているようなデザインですね。紹介されていたお店に電話をしたら“”売り切れました”ということで、それならと、その電話機を自分で探し始めたのが最初ですね。それが、昭和60年頃の話です。
探し続けていたら、ある時骨董屋さんで発見して、念願であった電話機を購入しました。しかし、「イー661自動式卓上電話機」だと思い購入した電話機は、実は「3号自動式卓上電話機」だったんです。当時は区別もあまり出来ずに、購入後に家で詳しく見てたら気づきました(笑)。改めて「イー661自動式卓上電話機」を探し始めて、渋谷区の東郷神社の骨董市でついに発見して購入をしました。その時点で、持っている電話機が2台になり、それが本格的に収集を始めるきっかけになりました。
最初は様々な黒電話を集めていたのですが、そのうち木製の壁掛け電話や公衆電話も集めるようになりました。

コレクション集めのきっかけとなった最初の1台

コレクション集めのきっかけとなった最初の1台

骨董市では何が売り出されるのか事前には分からないので、「発見する」というよりは「無いこと」を確認しに行っていました

明治23年、東京-横浜にて日本最初の電話交換事業が開始した際に使用された「ガワーベル電話機」

明治23年、東京-横浜にて日本最初の電話交換事業が開始した際に使用された「ガワーベル電話機」

mso:なぜコレクションの対象が、電話機だったのでしょうか?

稲谷:デザインが面白いからです。これだけ様々なデザインがあるものって、他にないんじゃないかと思います。
あと、もしかしたら子供の頃はカブトムシに熱中していて、その影響があるかもしれませんね。黒電話って、なんとなく甲虫に似ているので(笑)。


mso:コレクションは、どのような方法で集めたのですか?

稲谷:現在のようなインターネットの時代になるまでは、骨董市を回りました。東京では日曜日毎にどこかで骨董市が開かれていました。
当時は第一、第四日曜日は東郷神社、第二日曜日は乃木神社、高幡不動といった具合に顔を出していました。骨董市の日は早朝から出向いて、朝の9時ぐらいには家に帰って来ているという感じでした。骨董市では何が売り出されるのか事前には分からないので、「発見する」というよりは「無いこと」を確認しに行っていました。当時は、骨董市に行かないと悶々としました。そんな感じで、骨董市に行って「無いこと」を確認するのが日課でした。
インターネットが普及してからは、徐々にネットの方に物が流れるようになってきました。その反対に、骨董市は寂れてきましたね。
ネットではヤフオクを利用しています。一時期、eBayという海外のオークションを使っていましたが、送料が高いのでヤフオクに落ち着きましたね。


mso:ヤフオクでは、欲しい物は簡単に見つかるのですか?

稲谷:タイミングにも寄りますが、出る時は一斉に出ます。また、現実社会では電話機のカタログや資料などの”紙物”を探すのは難しいですが、ネットだと検索で探せるので、今ではネットが中心になってきましたね。

500台以上はあると思います。300台を超えた辺りからは数えてないですね(笑)

日本でも珍しい私設電話機が数多く展示されている

日本でも珍しい私設電話機が数多く展示されている

mso:現在、何台ほどの電話機を所有しているのですか?

稲谷:500台以上はあると思います。300台を超えた辺りからは数えてないですね。収蔵庫にある電話機を整理して、そのラベル付けが終われば、台数がわかるようになるんですが(笑)。


mso:コレクターとしてのゴールはありますか?

稲谷:まだ、欲しくて見つかっていないものが若干あるので、それらを探しています。
集め始めた頃は探している物が簡単に見つかるのですが、ある程度集まると、そのうち欲しい物を見つけるのが難しくなる。そこが、コレクターとして寂しいところですよね。


mso:電話機を集めていて、困った事はありましたか?

稲谷:やはり保存ですよね。スペース的な問題もあるし、温度、湿度の管理が困ります。
古い電話機が自分の手元に回って来た時に、自分の手元で劣化させたくないという思いがあります。


mso:電話機を集めて、良かった事、楽しかった事はなんですか?

稲谷:やはり自分が探しているコレクションが見つかった時は嬉しい。それだけですね。後はしんどいです(笑)。


mso:実際に私設ミュージアムを作ってみて、良かった点、困った点はありますか?

稲谷:よかった点として、自分が集めているコレクションを保管、保存出来る場所が見つかったという事で安心しました。
しかし、実際に作ってみたら展示室のガラス磨きや、電話機の維持管理が大変な事が分かりました。


mso:てれふぉんミュージアムの展示方法に関して、工夫されている点はありますか?

稲谷:コレクションを加入者電話機、私設電話機、公衆電話機という3つの区分に分けて見れるようにしています。
旧電電公社系の電話機博物館では、加入者電話機や公衆電話機をメインに展示されています。しかし、私設電話機を専門に展示している場所はあまりなく、戦前の私設電話機を数多く展示しているというのが、当館の特色でもあります。沖電気・日本電気・日立製作所・富士電機(富士通)の4社の製品を中心にご覧いただけます。

他の電話機コレクターの方や、電話機メーカーの方に来てもらい、情報交換などが出来たらいいですね

作家緒方修一さんが制作したステンドグラス

作家緒方修一さんが制作したステンドグラス

mso:稲谷さんは、電話機以外にも集めていた物はありますか?

稲谷:子供の頃はいろいろな物を集めるのが好きでした。ウルトラマンの怪獣の写真や切手です。大人になってからは、電話機一筋ですね。


mso:てれふぉんミュージアムの最新情報はどこから入手できますか?

稲谷:ブログをやっています。それを見て頂ければと思います。


mso:実際に、てれふぉんミュージアムを見学する方法を教えてください

稲谷:ブログを見て頂き、そこにあるメールアドレスに事前に申し込みをしてください。日程を調整をさせて頂き、こちらからアクセス方法などをお伝えします。
普段は東京にいるので閉館状態なのですが、月に1回ほど大阪に帰ってくるので、そのタイミングでぜひ遊びに来てください。


mso:てれふぉんミュージアムの今後の展開を教えてください

稲谷:当分は、未整理の電話機があるのでそれらを整理したいと思っています。
てれふぉんミュージアムを作ったので、他の電話機コレクターの方や、電話機メーカーの方に来てもらい、情報交換などが出来たらいいですね。
古い電話機の情報は、国会図書館などでも見つからないものがある。どうしても電話機メーカーでしか分からない情報があるのです。何とかして、私が抱えいている古い電話機の謎を解き明かしたいと思っています。


mso:最後に、てれふぉん博物館に興味がある読者の方にメッセージをお願いします

稲谷:電話機に関して興味がある方は、ぜひ一度ご来館いただきたいと思います。電話談義でワイワイ盛り上がれることができたら嬉しいです。

ーおわりー

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左が戦後直後の電話帳。右がそれから数年後の電話帳。電話機の普及数という観点から戦後復興の歩みが読み取れる

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File

てれふぉんミュージアム

30年にわたって収集した電話機コレクションを保存するために作った私設博物館。
「展示室」「収蔵庫」「書庫」の3部屋あわせて、約100㎡ほどの小さな博物館。
展示室は、「加入者電話機の変遷」「私設用電話機の発展」「公衆電話機のあゆみ」の3つのコーナーから 構成されており、約100台の電話機を展示している。
収蔵庫には、約400台の電話機が収蔵されている。
書庫には、電話に関する2000点を超える文献・資料が収蔵されている。

住所非公開
大阪府大阪市地下鉄御堂筋線あびこ駅から徒歩10分ほど。

開館は不定期のため、見学希望者は、住所・氏名・電話番号を記入し、メールで申し込み。
メールアドレス:telephone_museum@yahoo.co.jp *送付の際には、@を@に直してください
開館可能日は、月に2、3日程度。午前・午後各一組のみ。(見学無料)

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

Shop

取材ライターが感じたひと言

大阪の地下鉄あびこ駅から徒歩数分のところにある「てれふぉん博物館(ミュージアム)」。
館長の稲谷さんが30年ほどで集めた300台あまりの電話機が、壁一面に展示されている姿は圧巻でした。
稲谷さんもインタビューで述べていますが、電話機には様々なデザインの物があり、一つ一つ眺めているとあっという間に時間が過ぎてしまいました。
また、てれふぉん博物館には電話機以外にも、歴史的な資料や、当時のポスターなどが展示されているので、電話の歴史という観点でとても興味深い内容になっています。
てれふぉん博物館の見学は、事前予約制になっています。ぜひ、電話機に興味がある方は稲谷さんに連絡をしてみてください。きっと、新しい発見があるはずです!

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