<町田忍コレクション>歯磨き粉パッケージの世界

<町田忍コレクション>歯磨き粉パッケージの世界_image

取材・文 / 井本 貴明
写真 / まきの ともあき

クリニカ、ホワイト&ホワイト、アクアフレッシュ、コルゲート。
これらは、歯磨き粉の製品名である。
歯磨き粉のパッケージを集めている町田忍さん。そのコレクションの数は1000個以上になる。
中学生の時に歯磨き粉チューブが世の中に出現し、それ以降、町田さんは歯磨き粉パッケージを集め始めたのだ。そんな歯磨き粉パッケージの魅力を探ってみた。

MuuseoSquareイメージ

よく周りの人に、おすすめの歯磨き粉を聞かれるけど、僕にとって歯磨き粉の中身は全部同じ(笑)

「歯磨き粉自身の味や磨きやすさには、全く興味がない」
今まで、1000種類以上の歯磨き粉を使ってきた町田さんに、お気に入りの歯磨き粉を聞いたところ、衝撃的な回答が返ってきた。
「僕は歯磨き粉のパッケージを集めている。だから、パッケージから商品を取り出したら、中身の商品には興味がない。パッケージの方に興味があるから。よく周りの人に、おすすめの歯磨き粉を聞かれるけど、僕にとって歯磨き粉の中身は全部同じ(笑)」

町田さんが幼少の頃は、瓶に入った歯磨き粉を家族全員で利用していた。当時はチューブ型の歯磨き粉がなく、どこの家庭も歯磨きを濡らして、瓶の中に入っている粉をつける形だった。中学生の頃に初めてチューブ型の歯磨き粉が登場する。そして、商品を包むパッケージはド派手な大きさのロゴと配色が斬新だった。
町田さんはそれ以降メーカーを問わず、パッケージが変更する度に購入を続け、今ではその数は15カ国以上のパッケージが集まり、総数は1000個以上になった。

MuuseoSquareイメージ

町田さんだけが見える ”微小な変化” を発見する喜び。

町田さんにとって、歯磨き粉のパッケージを集め続ける魅力は、”変化”を発見することだと語る。例えば、LIONから出ているロングセラーの「ホワイト&ホワイト」を並べてみると、時代毎に文字の大きさや、配色が異なる。さらには、背面の説明書きの文字やバーコードの位置が若干変わったりする、微小な変化を見つけるのが楽しいという。

LION「ホワイト&ホワイト」の歴代のパッケージ

LION「ホワイト&ホワイト」の歴代のパッケージ

お気に入りの歯磨き粉パッケージは、コルゲート。その理由とは?

パッケージのデザインという観点で、一番好きなのは「コルゲート」だと語る。理由は、垢抜けたデザインであることと、ロングセラーの製品なので、長い歴史の変化を感じることができる。例として、コルゲートは一時期、ライオン社とコラボした時代があるのだが、その時だけはガラッとデザインが変わっている。世界的に同じデザインを利用しているコルゲートが、日本向けにデザインを変えたのだが、ライオン社との提携が終わった後は、いつものコルゲートのデザインに戻っている。
このような変化は、ロングセラー製品で長い歴史があるからこそ楽しめるものである。(ちなみに、コルゲートだけで100個以上のパッケージコレクションが存在する)

「コルゲート(Colgate)」の歴代のパッケージ

「コルゲート(Colgate)」の歴代のパッケージ

さあ、町田さんの歯磨き粉コレクションの世界を覗いてみよう!

町田さんに協力してもらい、所有している1000個以上のコレクションから、幅広いメーカーの歯磨き粉を厳選して、ミューゼオにてコレクションルームを作成した。メーカー、ブランド、海外、子供向けなどの異なる観点でパッケージ・デザインを眺めることができる。ぜひ、デザインの変化を楽しんでいただきたい。

透明のクリアファイルを使って綺麗に保存

透明のクリアファイルを使って綺麗に保存

LION「デンター」の歴代のパッケージ

LION「デンター」の歴代のパッケージ

MuuseoSquareイメージ

ーおわりー

コレクションを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍

昭和時代に誕生し、現在の生活にも大きな影響を与え続ける生活文化

51tfoin7e0s. sl500

町田忍の昭和遺産100 令和の時代もたくましく生きる

風俗文化研究の第一人者・町田忍の昭和研究50年を集大成。
町田忍がフィールドワークで撮りためた約300点の写真とともに、「昭和遺産」に斬り込んでいく。巻頭では「町田忍の昭和遺産ベスト20」を紹介。本文では、「建築」「乗物」「風俗」「広告・看板」「商品」「実用品」「日用品」「その他」「町田忍昭和遺産研究60年のあゆみ」などに分けて紹介。巻頭に巻末に「昭和遺産と流行年表」を合わせて収載。取材イラスト集「町田忍の昭和グラフィティ」をセンター頁に綴じ込む。

あの元気な時代の、ときめきがいっぱいに詰まった商品たちをズラリご紹介

61vptvtb3tl. sl500

帰ってきた! 昭和レトロ商店街

今はなき、または、まだまだ現役でがんばっている昭和のロングセラー商品たちのおもしろエピソードが満載! なつかしい思い出や、ベストセラー商品の熱い誕生秘話に、心がおどります。
・甘栗太郎兄弟たちの不思議な系譜とは?
・肝油ドロップの缶に載っている少年の写真が変わった理由とは?
・少年たちのあこがれ・野球盤ゲームの熱き誕生秘話
・国内唯一! レトロなデザインがたまらない、そばの薬味の掛け紙コレクション公開
やくみつる氏との名対談も必見!

公開日:2016年2月22日

更新日:2022年1月13日

Contributor Profile

File

本多 祐斗

Muuseoにて1年間、編集部のアシスタントやライター、カメラマンとしての業務に携わる。 現在は、外資系企業にて、車の部品サプライヤーのエンジニアとして活躍。趣味は、カメラとドライブ。

終わりに

本多 祐斗_image

毎日使う、歯磨き粉。それだけに買い換える機会が多いのですが、正直パッケージを気にしたことはなかったです。しかし、町田さんの話を聞いたり、各社のパッケージを眺めていると、それぞれのブランドのカルチャーを感じることができて面白いですね。個人的には、イタリアの歯磨き粉パッケージがオシャレで好きでした!今度薬局に行ったら、パッケージのかっこよさで選んでみたいと思います!

Read 0%