コーデュロイの歴史と特徴。ルイ14世が生みの親!?
コーデュロイ(コール天)は緯パイル織物の仲間で、もこもこした畝のある表面が印象的。パイルのループ状になった部分をカットし毛羽立たせることで、縦畝(たてうね)を作っています。また色合いが綺麗に出やすいのも特徴の一つで、ミューゼオ・スクエアの編集長は学生時代に出会った綺麗なグリーンのラルフローロレンのパンツが今でも忘れらないそう。
最近のコーデュロイはナイロンとの混紡やウールのものが増えていますが、本来は綿だけで作られているコットンファブリックです。
語源は、17世紀・フランスの太陽王=ルイ14世が、この生地のジャケットを庭師に着せたことから、フランス語の「王の糸(corde du roi)」となった説が有力です。近年では異説も登場しています。
日本では明治時代に輸入されるようになり、その頃から「コール天」と呼ばれていました。
コーデュロイの魅力とは? 暖かく着心地がいい、冬場の強い見方!
毛羽やパイル(毛房)により、保温性に優れているのが最大の魅力です。地が詰まったコットンなので、生地内に空気を溜め、空気の流れを遮断してくれます。よほど寒くない限り昼間なら冬場でもコート要らず!
起毛素材のふんわり滑らかな肌触りや、見た目の素朴さも人気の秘訣です。以上の点から、冬の代表的な機能素材の一つとなりました。
またコーデュロイは、なんと言っても丈夫。着れば着るほど味が出ます。ツイードジャケットやデニムなどと同様、新品の時はゴワゴワしているのですが、着込んでいくうちに身体に馴染んでいきます。
※上質の生地でないと毛羽が薄くなり、空気の遮断効果が低下する(防寒性が弱くなる)という一面もあります。
畝の幅で呼び方と見た目の印象が変わる! コーデュロイの種類について
畝の太さで印象が変わるコーデュロイ。畝の太いものを「鬼コール」「太コール」、中くらいのものを「中コール」、細いものを「細コール」と呼び分けられています。太い畝と細い畝をミックスした「親子コール」と呼ぶものもあります。
また畝の太さの単位をウェール(Wale)と呼び、1インチ(2.54cm)にいくつの隆起があるかでも区分されています。一般的には4~18列(1.5~21列が製造可能)で、数が大きくなるほど畝が細く、数が小さくなるほど畝が太くなります。
畝が太い方が素朴でカジュアル度が高い印象。ヨーロッパ製のコーデュロイは8~10ウェールの太畝が主流で、アイビーでは11ウェール以上の細畝が使用されていたそう。
コーデュロイの洗濯方法とお手入れのコツ
生地表面の畝と光沢感のあるコーデュロイ。この美しい毛並みを保ったまま洗うにはどうすればいいでしょうか?
基本的にコットンを使った繊維なので問題なく自宅で洗えるのですが、毛並みを崩さないようお手入れするには少しコツがあります。
<準備するもの>
・中性洗剤
・柔軟剤
・洗濯ネット
コーデュロイを洗う場合は、素材への刺激が少ない「おしゃれ着洗い用の洗剤」を使うことをおすすめします。また、柔軟剤を使用することで、コーデュロイの畝がふんわりと仕上がります。
まずは、洗濯表示を確認し「洗濯機洗い」か「手洗い」かをチェックしてください。
<洗濯機洗いの場合>
①生地表面を傷つけないよう、服を裏返して洗濯ネットに入れる
②「ドライコース」などの弱流水コースで洗う
③シワや形崩れを整えながら、風通しのいい日陰に干す(吊り干しでOK)
<手洗い>
①中性洗剤と水を混ぜて洗浄液を作る
②服を裏返し、洗浄液につけ、押し洗いする
③泡がなくなるまで、しっかり濯ぐ
④柔軟剤と水を混ぜた液に入れる
⑤水を切る(洗濯ネットに入れ、洗濯機で脱水を行ってもOK)
⑥シワや形崩れを整えながら、風通しのいい日陰に干す(吊り干しでOK)
◆コーデュロイの毛並みをキープするお手入れと保管のコツ◆
・色の濃いコーデュロイは、他の衣類に色移りしないよう単独で洗いましょう
・干す前に形を整え、手でなでて毛並みを整えると、より美しく仕上がります
・折りたたまず、ハンガーにかけて保管するのがおすすめ(折り目に力がかかり、跡が残ってしまうことがあります)
毛並みをキープするお手入れももちろん大切ですが、編集長いわく「毛が抜けてくるのも味。それはそれでいいんだよ。肘や膝にパッチワークを付けながら、経年変化を楽しむのもコーデュロイの魅力」なんだそう。
ジャケットだったらボタンを付け替え、イメージを変えてみるのも面白いかもしれません。丈夫な生地ならではの楽しみ方は他にもありそうです。
ーおわりー
クラシッククロージングを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
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