木考Vol.3 オークとナラを知る

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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こんにちは。ミューゼオ・スクエア編集部の高橋です。樹形の堂々とした出で立ちから、ヨーロッパでは「森の王」と呼ばれるオーク。また、日本の北海道産のナラは世界でも品質が高い木材として知られています。硬く傷もつきにくいため、家具はもちろん、ウィスキー樽や船舶など昔から様々なところで重宝されています。

この記事ではオークとナラの種類や、オーク・ナラ特有の木目、耐久性などの特徴を掘り下げて紹介していきます。

オーク材とナラ材の違い

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オーク材は、堅く重厚感があり耐久性にとても優れた木材です。ブナ科コナラ属の広葉樹で、秋にはどんぐりが実ります。オークは日本ではナラ材とも呼ばれますが、少し違いがあります。北海道産のナラ材は、オーク材に比べ木目が細かいことが特徴です。詳しくは後ほど述べますが、両材料に共通する点として独特の虎班(とらふ)模様があります。

オークにまつわる3つのキーワード

虎斑と呼ばれるオーク特有の木目

オーク材は、くっきりとした力強い木目が特徴としてあげられます。また、オーク材ならではの木目が「虎斑(トラフ)」です。虎斑とは、柾目の木目を横切るような縞状の杢目「斑(ふ)」のこと。

まるで木目が虎の毛のように見えることから、虎斑と呼ばれるようになりました。柾目は木材の中心近くを切り出した板のことで、収縮しにくく反りにくいという特徴があります。また、虎斑の木材は柾目板の中でも摩耗しにくく、木の中心近くからしか切り出すことができないため希少な材です。

コンソールの脚に表れている、銀色に輝く木目が虎斑。

コンソールの脚に表れている、銀色に輝く木目が虎斑。

傷や虫害に強い

オーク材は堅く重厚感があり耐久性にとても優れた木材です。オーク材には虫が苦手なタンニン(カテキン等が多数重合した渋み成分)がスギやアメリカンブラックチェリーと同様に多く含まれているので、害虫にも強くなっています。

また、オーク材はチェリーやウォルナットと比べると導管が大きいため、傷がついても目立ちにくく、比較的ラフに扱うことが許容される木材です。

エイジングによる色の変化

オーク材は、切り出した直後は淡黄色でナチュナル色味です。その後、オイルでメンテナンスをしたり、使いこんで経年変化すると、だんだんと色が濃くなり褐色に変化していきます。

ナラ、ホワイトオーク、レッドオークの違い

オーク材はナラ(ミズナラ)、ホワイトオーク、レッドオークの3種類に大きく分類され、それぞれ生育する環境によって異なる特徴を持ちます。

ナラ (ミズナラ)

ミズナラの主産地は北海道やロシアです。寒冷地で育つため、木目が細かく詰まっているのが特徴です。特に北海道産のミズナラは加工がしやすく、壁板やフローリング、家具材など幅広く使用されています。

1920年代にヨーロッパで起きたナラの集団枯死により、イギリスのオーク材は激減しました。それを補うために、北海道産のミズナラが大量輸入されたため、イギリスのアンティーク家具で使われているオーク材には北海道産が多いと言われています。

広葉樹は育つまでに時間がかり、供給が追いつかないため、近年ではミズナラの希少性が増しています。

ホワイトオーク

ホワイトオークは、北米を代表するオーク材です。その名の通り色が白く、ずっしりと重みがあるのが特徴です。ミズナラと非常に似ているため、代替品としてよく用いられています。

家具やフローリングをはじめ、耐水性が高いことから、ウィスキーやワインを入れる樽にも使われています。

レッドオーク

レッドオークもホワイトオークと同じ北米産です。辺材は淡い黄褐色をしていますが、心材は赤みがかかっていることからレッドオークと呼ばれます。ホワイトオークと比べると柔らかいのが特徴です。

ミズナラの代替品として使われているホワイトオークも希少価値が上がってきているため、そのさらに代替品として、レッドオークが使われるようになりました。

木の導管(水を通す管)を閉塞させる「チロース」と呼ばれる組織が未発達で、液漏れが発生してしまうので、ホワイトオークのように酒樽に使うことはできません。

人類の文化を下支えしてきたオークの歴史

オークの学名はラテン語で「美しい樹」を意味するQuercus(クェルクス)といいます。オーク材を使った樽が古代のローマ遺跡から発見されるほど、その歴史は長いと言われています。

古来より、人々はどんぐりを挽いてパンを作り、その大きな枝で小屋をつくり、堅固な船をつくり、たくさんの恩恵を受けています。

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やがて鉄の製造に必要な木炭として、大航海時代の船材として、様々な木造建築物の材料として、革なめしの素材として、オーク材を活用する知識が長く蓄積され、洗練されていきました。

オーク材は、ナチュラルな明るい色で塗装での着色がしやすい木材です。ヨーロッパでは昔から、オーク材を使った家具は流行に合わせて、明るい色から濃いチョコレートのような茶色までさまざまな色で着色されてきました。

例えば19世紀後半のヴィクトリア女王の時代には、英国全体に暗い色が流行したため家具も濃いチョコレート色のものが多く作られました。その後、アーツアンドクラフト時代になると形や塗装がシンプルなものに変化したので、オーク材の家具の着色も明るめに施され、使用されてきました。

美しい木目と高い耐久性を持ち、昔から家具材や船舶など幅広い用途で重宝されてきたオーク材。丈夫で、年月を経て深みと味わいが増していくので、永く愛用したい家具材の一つです。

ーおわりー

公開日:2019年7月6日

更新日:2019年10月4日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

終わりに

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ナチュナルな色味の家具を求めている方には、ぜひおすすめしたい木材がオーク材。傷がついても目立ちにくく、多少ラフに扱うことができるところもポイントです。また、チェリーやウォルナットと違って導管が大きいので、触り心地もざらっとしていて導管を感じられます。

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