2020/10/15 フルート

初版 2020/10/16 17:54

改訂 2022/09/07 12:42

公開日:2020/10/16

猿投山菊石遊歩道入り口手前のコアストーンにあたかも人為的に削がれたような円形の凹みがあります。水により浸食される位置ではありません。いったいどのようなメカニズムで創られたのでしょうか?

形状的には"フルート"と呼ばれる浸食微地形の形成初期に似ています。岩に付着した苔が乾燥して剥離する際に少しずつ岩自体を削り取ります。苔から分泌する成分や、腐敗した時の酸は浸食を速成する要素となります。水平で平坦な岩盤に形成される"グナマ"とは区別されます。当然、偶然割れた、人が削った、水により削られた跡のある岩が傾いたなどなど排除できません。永久不変とされるモノが、長い年月を経て、変化する仕組みを推理することは楽しいものです。

猿投神社近くの東海自然歩道沿いに赤いボールミルの復元があります。広沢川のボールミルは朽ち果て、山に還ろうとしています。人の創造したモノが自然の力で消え去る変化にいったいどのくらいの年月が必要なのでしょうか?

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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