2021/6/28 大谷崩の丸い石

初版 2021/06/30 04:59

改訂 2022/09/07 12:42

公開日:2021/06/30

大谷崩は安倍川の最上流、赤石山地南部の大規模崩壊地です。1707年の宝永地震によって大崩落を起こした日本三大崩のひとつです。

崩壊斜面には、褶曲したり断層で破砕された地層が観察できます。瀬戸川層群と呼ばれる始新世~暁新世に深海底に堆積した、タービダイト流による砂岩泥岩の互層です。

崩落礫の中からは、分離脱落した楕円体のノジュールが容易に見つかります。母岩のスレートから顔を出すモノの観察からは、未固結の泥の内部で形成された球体が圧密により潰されて楕円体に変形したと想像できます。内部には細かな黄鉄鉱が晶出し、緻密で硬く重い石は"鉄丸石"の名があります。

成因については決定打がありません。何かしら生物が関与している説が有力です。

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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