2020/6/8 那智黒石

初版 2020/06/12 17:55

改訂 2022/09/07 12:42

公開日:2020/06/12

紀州のお土産といえば"黒あめ那智黒"、那智黒石は和歌山県の那智勝浦町が産地と思われがちですが採掘は三重県熊野市神川町神上地区です。

古くは「神上石」「神渓石」「試金石」などと呼ばれ、平安時代には硯材として使用されていました。天保10 年(1839年)の「紀伊続風土記」には"那智黒石"の名前で七里御浜海岸で採取された玉石が江戸の武家屋敷の庭園に使われたと記されています。

岩石的には中新世熊野層群の黒色珪質頁岩(粘板岩)で、薄く剥げる性質があります。黒色の碁石として加工される他、動物や干支の置物・花瓶・カップ・アクセサリーなどの工芸品が制作されています。穴の開いた板は碁石を打ち抜いた廃材です。「用途はあなたの工夫しだい」とあります。メリケンサックでしょうか?

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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